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53. 冒険者ギルド

 おはようございます。

 朝のコーヒータイムの時間です。昨日に引き続き、朝食は、碾きたて淹れたてのコーヒー、焼きたてパン、目玉焼きになっております。


 ククリ、エース、ビーツ、ついでに桔梗の目が爛々と輝いている。


 コーヒー、うまいよ?

 苦いのが苦手な人には牛鬼のミルクもあるよ?


 やはり、食の力は偉大である。

「このコーヒーはですね。葉隠にある喫茶ライゾーで手に入ります。そこには焙煎度合いを変え風味の違う豆があります。パンはダリアのパン工房で焼きたてが買えますよ」


 ふははは、さあ、天獄魔封域の新緑の隠れ里葉隠の第一観光客となるがいい。


「そうなのですね。大量に仕入れて持ち帰れば・・・。これは大儲けの予感がしますよ。ギアナさん、昨晩の件、正式に受けさせていただきたいと思います」


 ククリとギアナの間で専属契約を結ぶ話をしていたようだ。

 ククリの儲けの10%がギアナに入る。代わりに、ククリは葉隠の専属商人として、転移陣を5割引きで利用できる。転移陣の利用料が1人500Gである。往復するので500Gの節約になる。護衛がいればさらにお得感がある。


 それにしても専売契約でマージンをとるとか、やるなギアナ。


 さて、コーヒーの話に戻ろう。

 冒険者が朝コーヒーを入れるのは難しい。

 なぜなら、ミルやフィルターを持ち歩くより、保存食や水を優先するからだ。


 ちなみに、俺は忍術 風遁でコーヒー豆を引き、沸騰させた水を魔力で操作してサイフォンを再現しているので、道具いらずなのだ。


 こんな芸当は、普通の冒険者にはできないので、ちゃんと商品は考えてある。

 抜かりはないのだよ。


 ライゾーこだわりのコーヒーを大量に入れて、氷遁で温度を下げ、風遁で、ほぼ真空状態を作ることで、味を損なうことなく水分を蒸発させる。名付けて忍法フリーズドライ。もちろん、ライゾーに伝授されている。お湯を入れるだけで美味しいコーヒーが作れる優れもの。その名も瞬間コーヒーだ。小瓶に入れて販売する予定だ。


 もちろん、サンプルはここにある。

 大体、5杯分で100Gだ。食事一食で20G程度の世の中で、コーヒー一杯だ20G。高いと思うかね?コーヒーの希少価値を考えれば、安いと言わざるを得ない。


 その証拠に、エースもビーツも即買いしている。

 ククリも10本分購入している。街でいくらで売るのやら・・・


 食事中、ククリから大人数向けのテントの依頼を受けた。荷馬車に積むから重たくても問題ないということだ。それから、魔物避け(小)の対象に虫が含まれていることがわかったことで、さらに有用性が上がったのだ。


 朝食の時間を使ったPRができたところで、トリプレットデザートの王都に向けて出発する。


 ・・・・・・・・



 荷馬車に揺られること2時間。トリプレットデザートの王都に到着した。

 王都を守る城壁を通る関門へと入っていく。冒険者証や商人証明書などの身分証明書の提示を求められたが、ククリさんが身元保証人になってくれたことで難なく通ることができた。


「ここが、トリプレットデザートの王都かぁ」

「これが、人の街なのじゃな」

「人がいっぱいだよぉ」

「我、いや、わたくしも空から見下ろす以外で街を見るのは初めてですわ」


 桔梗がちゃんと女性らしい喋り方をしてくれている。意外と律儀なんだよ。このドラゴン。

 師匠は、・・・のじゃ子なので違和感なく受け入れてもらえるだろう。たぶん。


「それじゃ、冒険者ギルドに行きましょう」

 エースが俺たちを案内してくれている。


 ギアナはククリさんと一緒に商人ギルドへ寄って、ククリさんの店で打ち合わせすると別行動となった。








「ここが冒険者ギルドだ」

 ビーツがドヤってくる。


 冒険者ギルド。荒くれもの達の集まる場所。

 扉を開けて、受付に近づく。


 受付のお姉さんがすごく薄着なのがGoodです。

 トリプレットデザート王国はその名の示す通り砂漠に面した王国である。

 なので、“アラジンと魔法のランプ“の世界のような格好の人たちが結構いる。

 それ以外の人たちは、兵士だったり冒険者だったり商人だったりする。


 お姉さんの説明によると、冒険者登録は10歳からできるという。

 まぁ、10歳からというのは貧困対策の面が強いらしい。13歳以下限定のクエスト(おつかい)もあるくらいだ。街中の清掃や一人暮らしの老人の御用聞などだ。


 お姉さんに登録をお願いする。

 登録するのは、俺と師匠と桔梗だ。

 まぁ、師匠は8歳くらいの見た目だが、10歳と言い張ってもいけるだろう。


「それでは、こちらに名前と分かる範囲でいいので埋めてください」


 俺が3人分書く。


「では、簡単な適正試験を受けていただきます。あ、そちらの楓ちゃんは大丈夫ですよ」


 よかった。魔法の試験とかでやらかしそうだったので一安心。


 試験は3つ。

 得意武器での攻撃。

 得意魔法での攻撃

 回復魔法や防御魔法、鍵開け、罠解除などの戦闘以外でパーティに貢献する職業向けの試験。


 どれか一つをクリアすれば、Eランク冒険者に登録できる。

 ちなみに、13歳未満の子供たちは、自動的にFランク冒険者に割り振られる。いわゆるランク外というやつだ。


 ということで、俺は武器での攻撃試験。桔梗は回復魔法での試験を受ける。

 なぜ桔梗が回復魔法なのかというと、攻撃系の試験をやらせると、街がなくなる可能性があるからだ。


 俺の試験の試験監督は、引退したAランク冒険者。

「どこからでもかかってこい」

「よろしくお願いします」


 そーっとそーっと、全力で手を抜いて、ゆっくりゆっくり切りかかる。


「はっはっは。坊主、なかなか筋がいいぞ!ほれこれならどうだ!」

「うわ」


 わざとらしく転んで起き上がる。

「これならどうだ」

「うむ、なかなかの一撃だ。合格」






「え、えええええええ。腕が生えた!?」

 あちゃぁ。桔梗が回復魔法の試験で冒険者の傷を治すついでに、失った左腕を生やしたようだ。


 目立たないように頑張ったのに、目立たないように頑張ったのに!


 ということで、

 師匠こと楓ちゃん Fランク

 俺、Eランク

 桔梗、Sランクになりました。


 ・・・桔梗が聖女様扱いされてます。みなさん。そいつの中身ブラックドラゴンですよぉ。


 師匠が、なぜ妾がFランクなのじゃとぷりぷりしていたが、ここで師匠も暴れたら俺の精神が持たない。エースとビーツが半笑いなのは俺と同じ気持ちなのだろう。


「おい、小僧。お前みたいな奴が桔梗さんのような美人とパーティを組んでるのは不釣り合いだと思うだろう?思うよなぁ」

「やめろよ。ヌイセマカ。小僧がびびってるじゃないか」

「許してやるから、桔梗さんとのパーティを解消してきな」


 ああ、テンプレート通りの展開が・・・。


 1. ここで実力を見せつけて退場いただく。

 2.大人しくいうことを聞く。


 俺が選ぶのは2だ!


「あ、いいですよ。パーティ解消しまーす」


 肩透かしを食らったヌイセマカが微妙な顔をしている。


「あ、アキラよ。ひどいではないかぁ。我を捨てるのか?」

「桔梗さん。我でてますよ」

「こんな雑魚など、お主にかかれば瞬殺だろうが」

「いやいや、僕は目立ちたくないんで」

「ここにいる雑魚どもが束になっても楽々勝てるというのに、お主はなんという怠け者か」


 ああ、桔梗が悪気なく冒険者全員に喧嘩を売りやがった。

 先ほどEランクに登録したばかりの小僧がBからDランクの冒険者全員に喧嘩を売るの図が完成してしまった。どうやら選択をミスったらしい。


 ヌイセマカが怒りにプルプル震えている。あとで知ったが、実はBランク上位らしい。


 これは、1人を生贄に全員の心を折るか、全員を叩きのめすか。優しい受付のお姉さんまたは、ギルドマスターの仲裁を待つか。


「身の程を教えてやるよ」


 ヌイセマカが襲いかかってくる。うん。1人を生贄に全員の心を折るルートに決定されました。ヌイセマカの攻撃を躱して躱して躱す。


「わぁ、ナンテスルドイコウゲキナンダァ」


 エースとビーツが苦笑い。


 葉隠流体術 霞落とし 


 葉隠流には投げ技だってあるんだぜ。攻撃を躱して懐に入り、切りつけた右腕を逆に決めた背負い投げで地面に落ちる頭にローキックを喰らわせる技だが、今回は頭を柔らかくすくって死なないように配慮する。腕は折れてるけどね〜。


「そこまでだ。アキラとか言ったか、やはり実力を隠していたか」


 あ、先ほどの試験管さん。


「ギルマス」


「エースとビーツが連れてきた時点で何かあると思っていたが、これほどとはな。おい、ランク書き換えだ。どう見てもこいつはAランク以上だ。ギルマス権限で試験なしでのAランクに昇格だ」



 エースとビーツはこのギルドの上位冒険者。その上にはAランクの冒険者1人がいるだけという。あの2人は結構な実力者だったらしい。


 かませ犬、いやヌイセマカは、桔梗に回復してもらって項垂れている。


 目立っちゃったよ。これ絶対面倒なことに巻き込まれるよね。





「聖女様がいらっしゃったというのはここか?ぜひ王宮へお越し願いたい」



 ほらぁ。王宮に呼ばれるとか、厄介ごとの気配しかないよ。


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