表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/158

45. Zの衝撃

「もしもーし。大丈夫ですかぁ」



 おかしいな。俺は露天風呂で写真の整理をしていたはずなのに、

 神界に全裸で倒れているのはなぜだ。


 いや、わかっている。今回は鬼を滅する柱な感じだ。

 そして、絶対そのセリフを言いたかっただけだろう。

 わざわざ意識まで奪って、目覚めるシチュエーションを作るとは、芸が細かい。

 こういうのは嫌いじゃない。


「じいちゃん・・・」

「誰がじいちゃんですか?」


 ・・・・


「って、何やらすんですか?ミコト様。というか、なぜ俺は全裸?」

「いや、だって君。露天風呂に楓が入ってくると、毎回倒れるじゃない?ちょうどいいなと思ってさ」


 ちょうどいいなと思ってさじゃないよ。


 いつも倒れるのは、いい感じに体が温まったところに師匠が入ってくるから。出るに出られず必ずのぼせる。最近は、のぼせた俺を看病するのが師匠の楽しみになりつつある。この前は膝枕されていた。あれは気持ちよかった。意識が戻っても寝たふりをしていたのは内緒だ。



「もしもーし、この前の膝枕はどうだったの?」



 ミコト様がニヤニヤしながら聞いてくる。

 くぅ。神様なんて嫌いだ。


 ここは一つ仕返しせねば気が収まらない。


「ミコト様、なぜ毎回、控えめな(胸が小さい)チョイス・・・」

「神罰」


 殴られた。


「そもそも、ミコト様は、おと」

「天罰」


 殴られた。


「2度もぶった・・・親父にもぶたれたこ、へぶし」


 無言で殴られた。


 そこは最後まで言わせてくれてもいいのに。



「冗談はここまでにして、また楓の魔素を吸収してくれたから、カメラを手に入れられたんだ。君に自慢しようと思ってね」


「自慢するだけかよ」

「まぁ、見てよ」


 ミコト様が見せてくれたのは、Nikanのフルサイズのミラーレスでエントリー向けと言いつつもプロも認める5の2型のカメラと50mm F1.4のレンズだった。


「この50mmのレンズはね、よくわからないけど、オールドレンズで撮影したような雰囲気で撮れるように設計されてるんだってさ!」


「ふーん。それはどういう」

「つまり、いい感じの雰囲気が出る!」


 ドヤァという効果音?が見える気がする。

 勢いで誤魔化そうとしているようだ。まぁ、撮ってみればわかるか。


「というわけで、今回のスタジオはここだよ」


 スタジオという名の撮影セットが目の前に広がっている。

 呪いによって目が見えなくなっている方のお屋敷と庭。

 病院のベットが並んでいる部屋。

 瓦屋根。


 これは撮り甲斐がありますな。


 新しいカメラを渡されてファインダーを覗く。


「うぉ!?背景がものすごくボケる。これがF1.4の単焦点レンズ!!」

「ふふん」

「それに、なんだか雰囲気が柔らかい?気がする」

「ふふん」


 なんでミコト様が自慢げなのか?解せぬ。


「僕が選んだんだからね!さぁ、早く撮って撮って。あ、それから用意したこの服もちゃんと着てね」


 制服のズボンに腰蓑・・・そして猪のマスク。


「こんなんで写真が撮れるかぁ!」


 マスクが邪魔でファインダーが覗けないという意味で


「やっぱり?じゃあ、黄色い羽衣・・・はなんか嫌だから、黒と緑の市松模様の方を渡してあげよう」


 そうか、道連れコスプレプレイを強要するために、全裸で連れてきたな。


「おでこに傷を書いて・・・これでよし!」

「いや、俺は撮る側なので」


「じゃあ、屋根から行こうか。ここで坐禅を組んで目を瞑って」

「はいはい」



「もしもーし、もしもーし」


 ああ、あのシーンね。

 目を開くと顔のすぐ近くにミコト様の顔があった。

 コスプレの完成度が高いが故に、すごくドキドキする。


 あれ?撮影チャンス?


 オールドスタイルカメラを構えてピントを合わせようとするが合わない。


 レンズには最短撮影距離(MOD)というものがあり、近すぎるとピントが合わないことがある。今回はMODよりも近づきすぎでピントが合わない。


「・・・近くて撮れない」


 図らずとも、同じ世界観のコスプレ者が集まる“併せ“となってしまった。


 このような場合、俺とミコト様を合わせて撮影する方がいい。

 そうすると、撮影を担当する人が足りないなと思う。


「ふふふ、はい、三脚」


 おっと、ミコト様は想定済みだったようだ。

 三脚とは、カメラを固定するための道具だ。これがあると、撮影者が離れていても撮影ができる。


 ミコト様に座ってもらって、写す範囲をあらかじめ決める。

 ピントもあらかじめ合わせておく。シャッターは、タイマー設定という手もあるが、

 ソラちゃんに押してもらうことにした。


 では、もう一度。


「もしもーし、もしもーし」


 あのシーンの完全再現できたのではないだろうか?

 その後も、俺は縄で縛られて親方的な方の屋形の庭に転がされたり、機能回復訓練をさせられたり、これ撮影に必要?ってのもありつつ、撮影を進める。


 それにしても、F1.4の背景からの切り離し感はすごい。

 そして、ミコト様と近いとドキドキしてしまう。

 最後の方なんて、ミコト様は男と頭の中で呟き理性を保つという得難い経験をさせてもらった。


『うふ、ふふふ、ぐふふふ』


 妙な思念を感じる。


「・・・・これで撮影会は終わりかな」


 ミコト様が急に撮影が終わりだと言い出した。

 なんか怪しいな。


「君をガウスに返す前に、少しお願いがあるんだ」


 ミコト様のお願いは碌なことがない・・・こともないが、ちょっと警戒するのは仕方ないと思うのだ。


「そんなに警戒しなくていいよ。君に最初にお願いした姉と兄を探してもらいたいってやつ。そろそろあれをお願いしたいなって」


 えー。ノーヒントで探すのは無理ですよ。


「あ、ノーヒントは無理ですって顔しているね。大丈夫、さっき大体の場所がわかったから。ちなみに、さっきの変な気配は僕の姉なんだ。BLが好きでね。思わず気配が漏れたようなんだ。それで、場所が特定できたんだよ。ありがとう、アキラくん♡」


 ミコト様=須佐之男命(スサノオノミコト)


 なので、


 姉=天照大御神(アマテラスオオミカミ)


 なんてこった、天照大御神はB L好きの腐女子、いや貴腐人でした。


「その場所なんだけど、エルノスタ大洞窟みたいなんだ。ちょっと遠いけど、頑張ってね!」


「えーーーーー」


「時に、アキラ君。F 1.4の単焦点はどうだった?」

「いや、ほんとに写りが別次元というか、被写体が浮かび上がってそれはもう綺麗でした」

「欲しい?」

「もちろん」

「じゃあ、はい」


 ミコト様がカメラごとくれた。


「報酬の前払いってやつさ。じゃあよろしくね」


 そう言って、俺がガウスに飛ばされる。


「謀ったな。シャ ァ ァァァ」


 後半は言葉にならない叫びだ。

 決して赤い機体を3倍で動かせる人のことではない。断じて!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ