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25. グリーンウッドの森 2

 この世界に着いた時に、グレーウルフが出てきた森だ。

 あの時は、逃げるしかできなかった。今は、少しは戦える。

 それでは森の中に入る。


 ひとまず、キノコを探そう。

 気配察知スキルを発動させる。対象はキノコだ。


「おお、かなりの気配がある」


 片っ端から採取していこう。

 朽ちた木、木の根元そういう場所にあるキノコを採取していく。


 最初に見つけたキノコ。唐辛子が逆さまになったような形。

 ソラちゃんに解析鑑定をしてもらったら、カエンタケであった。

 触れるだけでもまずいキノコだ。


 次だ次。

 そこからは順調だった。

 椎茸、エノキ、舞茸、しめじ、そして、松茸。

 もちろん、ソラちゃんの解析鑑定で安全は確認できている。

 全部、神空間に収納した。


 次に探すのは食べられる木の実だ。

 気配察知スキルを発動。森の奥の方に密集した気配がある。

 そこにいくまでにも点々と食べられる木の実の気配もある。

 密集地を目指して、途中の木の実を確認していこう。


 まず、初めに見つけたのは、柚子だった。これはいい。唐揚げとの相性が良さそうだ。

 幸先がいい。次は、りんご、いちじく、ざくろ。

 この森は本当に食材が豊富だな。ヴィリジアンヴィレッジで農業が発展しない理由がわかるな。


『マスター、この先に蜂の巣があります。』


 メーティスさんが教えてくれた。

 蜂の巣といえば、はちみつ。はちみつといえば甘味。是非とも手に入れたい。

 メーティスさん、なんとか獲る方法はないかな?


『非常に危険です。キラービーは大きく毒性も高い魔蟲です。隠密で距離を取ることをお勧めします。』


 キラービーですと!?それは死ねる。

 もちろん、避けますとも。

 隠密スキルを発動して、迂回して木の実の反応が密集している場所へ向かう。

 あってよかった隠密スキル。


「おお!これは」


 密集して生えていたのはオリーブだった。

 オリーブといえば油。今回一番の収穫かも。


「これは、村で栽培してもらう必要があるね」


 夢中になってオリーブを集める。

 結構な量があるが、ソラちゃんの神空間にどんどん入れていく。

 大漁大漁。ふふふふふ。


「グォォォ」

「・・・・・・・」


 ははは、まさかね。そんなお約束な展開ないない。

 そりゃ、ダーシュから滅多に出会うことがないと聞いた時点でフラグだよなぁとは思った。

 そっと振り返る。はい、確定です。

 そこには、グレーグリズリーが立ってた。5mを超える巨体。

 師匠が隠密を使って倒せると言っていたが、すでに見つかってしまった場合、どうしたらいいんでしょう?今から発動しても無理だよね。


 とりあえず、目を見てそっと後ろに下がる。

 グレーグリズリーが突っ込んできた。そして、左手で殴りかかってくる。

 なんとか左側に飛んで躱す。

 ワム○の神砂嵐を躱すジョセ○の気持ちが少しわかった。


 冗談を言ってる場合じゃないのは分かってる。

 なんとか生き延びることを考えよう。こんなところで死んでたまるか。

 短剣を構える。魔力をコントロールして多めに魔力を流す。体にも魔力を流す。


 グレーグリズリーが右手を振りかぶり殴る。

 短剣で受けようと構える。しかし、グレーグリズリーの右手は左手よりも段違いに速い。

 左の脇腹に激痛がはしる。吹き飛ばされて背中から木に激突し、直径50cmはある木が折れる。

 亀の甲羅がクッションになってくれた。それでも体に魔力を流していなければ死んでいた。かなりのダメージだ。

 やばい、生きて帰れる気がしない。逃げるか?しかし、熊の走力は時速約50km。この世界の魔物であればもっと速いこともあり得る。逃走スキルでも逃げ切れないだろう。


 立ち上がった俺をみて、グレーグリズリーが突っ込んでくる。

 そして、左手で殴りかかる。攻撃はワンパターンのようだ。というか、それで狩れると思っているのかもしれない。左手が牽制で右手が本命。右手の攻撃は速すぎて避けられない。この左手をどうにかするしかない。さっきは避けられたのだ、斬りつけるのも可能なはず。ギリギリで躱し短剣で切り裂く。

 だいぶ深く切り裂くことができた。グレーグリズリーも手傷を負ったことで、一旦こちらを警戒して距離をとった。

 左の脇腹の痛みが激しい。睨み合いが続く。目を逸らしたら次の瞬間右手が飛んでくるだろう。


 魔力で魔素をコントロールし、グレーグリズリーの顔の周りの空気をなくす。

 常に警戒は怠らない。空気がなくなったことで、呼吸ができずにグレーグリズリーが苦しみ始める。ただ、顔を動かされるとすぐに空気がなくなった場所がかき消された。それでも、左手の傷と原因不明の呼吸困難がグレーグリズリーの戦意を削いだらしい。

 後ろを向いて帰っていく。


『マスター、グレーグリズリーの撮影を推奨します。』


 急にメーティスさんからアナウンスが出た。

 ユニークスキル撮影者起動。

 焦点距離40mm にセット。F値は気にせずさっと撮影する。

 カシャ。おっと、シャッター音が・・・・ふぅ。やつは気にせず帰っていくようだ。


 なんとか生き残った。

 撮影結果を表示する。魔素を表示すると、一部魔素が濃い部分が見えた。


『告、魔素の濃い部分が弱点です。そこを貫くことでグレーグリズリーを倒すことが可能と推定』


 おお、撮影者は戦闘に活かせないと思っていたが、魔物の弱点を知ることができるのか。

 撮影・隠密・気配察知・魔力を流すことで強化される短剣。

 気配察知で相手を見つけ、撮影で弱点を把握、隠密で近づき、短剣で刺し殺す。結構凶悪じゃね?

 というか、完全に暗殺者仕様。ミコト様、最初からそのつもりだったな。


 グレーグリズリーとの戦いのおかげで自分の方向性が見えた。

 次は、グレーグリズリーを倒す。そのつもりで修行しよう。自分の命くらい守れないと話にならないからな。


「アキラ、大丈夫ぅ?」

「ありがとう。ソラちゃん。脇腹は痛いがなんとか帰れそうだよ」


 気配察知スキル発動。隠密発動。

 これ以上、魔物に出会わないように、森の入り口へ向かった。


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