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13. 修行 I

13話目です。

この世界で生き抜くための修行が始まります。

 昼食を食べたあと、九尾稲荷大社に帰る事になった俺たちは、第一の赤い鳥居を目指して歩いていた。


「さて、世界樹の果実については、昼に話した通りじゃが、質問はあるかの?」


 世界樹の果実「ワルド」は非常に栄養と魔素が豊富な果物で、腐りやすい。それを、エルフの魔法で乾燥させた「ドライワルド」は、日持ちする保存食として、ヴィリジアンヴィレッジでは重宝されている。しかし、魔素に高い耐性のある、楓様やエルフは問題ないが、魔素の耐性が低い他種族は魔素中毒を起こし、食べすぎると死ぬという。しかし、魔素枯渇病という病の特効薬ともなり得るため、珍重されているようだ。


 人が死ぬとなるとワルドを特産品にするのは、結構ハードルが高いな。


「一通りわかったから、あとで実物を見せ欲しい」

「うむ、わかったのじゃ」


 それにしても、ドルフさんの家を出てから、ずっと楓様がニヤニヤしている。嫌な予感がする。


「それでは、今から修行を開始するぞ」


 どこからともなく取り出したのは、亀の甲羅の形をした岩だった。


「これを背負って、本殿まで行くのじゃ」


 亀の甲羅を背負って修行とか、どこのエロ仙人ですか!


「なぜ甲羅なんだ?」

「ふむ、妾にはわからぬが、ミコト様が修行といえば亀の甲羅だと啓示をくださったのじゃ」


 あいつか!神様っていうのは本当に暇なのか?


「妾が考えておった修行では、アキラは10秒も経たずに灰になるから、まずは、妾の修行に耐えられる様にするところから始めよと。人間の体は脆弱であることを忘れておったわ」


 さすがは神様に戦いを挑んだ九尾の狐。危ないところだった。

 ミコト様。グッジョブ!やっぱり修行といえば亀の甲羅ですよね!あいつとか言ってすみません。


「それでは、これを背負うのじゃ」

「重っ!」

「たった30kgじゃよ」

「これを背負って本殿まで歩いて行けと?」

「何を言っておる。走って行くのじゃ」

「えぇぇぇぇ」


 何これ拷問?

 俺がいやそうにしているのがわかったのか楓様が顔を寄せて耳元で囁いた。


「お主、この世界で死にたくはないのじゃろ。力をつけねばすぐに死ぬ事になるぞ」

「は、はい!」

「・・・。そうじゃ、40分以内に本殿に着いたら、褒美として、露天風呂で妾が()()()()マッサージをしてやろうではないか」

「ゴクリ。絶対だな?」

「ああ、約束じゃ。その代わり、40分を切るまで、毎日続けるぞ」


 おっしゃぁ。エロ仙人。この修行速攻で完遂してやらぁ。

 40分。それすなわち、2,400秒。この階段は1,000段。一歩当たり2.4秒。

 13歳の若い体でたとえ甲羅を背負っていても、気合と根性で一発クリアだ。

 エロパワーを舐めるなよ。




 そう思っていた時期が私にもありました。




 200段までは順調だった。500段は気合いで乗り越えた。

 700段で足が上がらなくなり、結局2時間かかってたどり着いた。


「なんじゃ、つまらぬ。せっかく久々に楽しめると思っておったのに」


 仰向けに倒れ込んだ俺の顔を楓様が覗き込んでそう言った。

 目の前で谷間が揺れている。


 楓様、ナニを楽しむおつもりでしょうか。


 拝啓、エロ仙人様。お探しのピチピチギャル(推定年齢数千年)は連れて行けそうにありません。

 こうして、毎日の階段ダッシュが決定した。


 5分後


「そろそろ立てるかの?次の修行を始めるのじゃ」

「もう、次の修行なのか。もう少し休憩を・・・あれ?この甲羅はずせない」

「そうそう、その甲羅は妾しか外せないようになっておるのじゃ。安心せい、次の修行には、体力は使わん」


 元ネタ通り四六時中30kgの甲羅をつけて生活するのか。

 まじか・・・。


 立つこともままならない俺は、楓様に支えられて、本殿の間にやってきた。


「さて、次は魔法の修行じゃ。お主に魔法の基礎を教えてやろう」


 魔法!ついにきたぞ。異世界といえば魔法。魔法といえば異世界。

 これはテンションが上がる。

 体はボロボロだが、やる気は出てきた。


「この世界は、魔素というもので満たされておる。この魔素を体内の魔力を使って操作することで、魔法を使うことができるのじゃ。魔素は目に見ることはできぬからの、魔素を動かす感覚を掴むのが魔法の初歩となる」


 そう言って、楓様は、コップに水を注いだ。


「感覚を掴むための最初の修行はこれじゃ」


 そう言って、人差し指をコップに差し入れ逆さまにし、ゆっくりとコップを引き抜いていく。

 そこには、コップの形に固まったままの水がプルプルと震えている。


「こ、これは、はも・・・呼吸法で取得できるアレですか?」

「何をいうておるのじゃ?これは、水中に含まれておる魔素を魔力で操作し、その場に止めておるのじゃ。コップの水を使うのは、ミコト様からのお告げじゃがの」


 また、あいつか。絶対、手のひらを広げて顔の前に持ってくるポーズのJOJ(マル)立ちしてるよね。

 この分だと俺の人生一度は使ってみたいセリフNo.1の「だが断る」を使う日も遠くないだろう。


 それはさておき、いきなり“水を空中に出す“とかよりはやれそうな気がする。


「アキラ、ソラとそっくりだよぉ」

 ソラちゃんが水と一緒にプルプルしてる。あぁ、かわゆい。


「そうそう、忘れておった」


 目の前の水がバシャっと弾けて顔がびしょ濡れになる。


「えーと、なんじゃったかの。よーく見てみろなのじゃ」


 楓様が指を突き出してきた。

「楓様、セリフと行動の順番が逆です」


修行といえば、これですね。

ん?ジェネレーションギャップ。なんですかそれ?


重たいリストバンドをはめてみたり。

1秒間に10回呼吸したり、10分間息を吸い続け、10分かけて吐き出す。

子供の頃、試してみたことありますよね。ね?(^_^;)




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