第五十三話
怠惰と崩壊は、生と死の門を目の前にして立ち止まった。その巨大な門は黒と白の模様が絡み合い、どこか不気味ながらも荘厳な雰囲気を放っている。だが、二匹の視線は門の前に立つ一人の男へと向けられていた。黒いローブに包まれた男――ディスペンサーが、奇妙に歪んだ笑みを浮かべながら二匹を待ち構えていた。
「やあ、君たち。ずいぶんと楽しそうに旅をしているみたいだね。」
ディスペンサーは杖を軽く地面に叩きつけ、静かな声で話し始めた。
「だが、ここで終わりだ。この門は君たちのような甘っちょろい連中が通れるような場所じゃない。」
怠惰は剣を握りしめながら一歩前に出た。
「ディスペンサー…!お前がここにいるってことは、D.P.も死者の国の力を狙っているってことだな!」
崩壊は冷ややかな目でディスペンサーを睨みつける。
「俺たちの邪魔をする気か?門を通るのに、お前が何の権利で阻む?」
ディスペンサーは薄く笑い、杖を振り上げた。
「権利?そんなもの必要ないさ。強者が決めるのだよ、誰がここを通るべきか。そして残念ながら君たちは、その資格がない。」
その瞬間、ディスペンサーの杖から漆黒のエネルギーが放たれ、二匹へ向かって疾風のように迫った。怠惰と崩壊は即座にその場を飛び退き、攻撃をかわす。
「なるほど、少しは動けるようだね。でも、これからどうなるか見ものだ。」
ディスペンサーはさらに杖を振り、地面から黒い影が立ち上がり、いくつもの異形の兵士のような形を作り出した。
「またかよ!」怠惰は剣を構えながら叫ぶ。
「こういうの、ほんとに勘弁してほしいんだけど!」
崩壊は冷静に状況を見つめながら、拳を構えた。
「怠惰、俺が雑魚を片付ける。その間に奴をどうにかしろ。」
怠惰は小さく頷き、「分かった!任せて!」と言うと剣を握り直し、ディスペンサーに向かって駆け出した。
ディスペンサーは怠惰の動きを冷静に見極めながら、軽く杖を振ることで防御の魔法を張る。「君のような未熟者が私に勝てると思っているのか?その希望、どこまで通じるのか見せてくれ。」
怠惰はその言葉に腹を立てながら剣を振るが、ディスペンサーの防御の魔法がその攻撃を全て弾き返す。
「何だよこれ!全然通らないじゃないか!」怠惰は焦りの色を見せた。
その間、崩壊は黒い影の兵士たちを次々と粉砕していたが、終わりが見えない数に苛立ちを覚えていた。
「くそっ、いくら倒してもキリがない!怠惰、何か方法を見つけろ!」
ディスペンサーは笑みを浮かべながら、さらに強力な魔力を放つ。
「怠惰。君の力など、この場所では何の意味もない。」
怠惰は一度立ち止まり、剣を見つめた。
「希望の剣…お前はこんなもんじゃなかったはずだよな。こんな奴に負けてたまるか!」
その瞬間、怠惰の剣が再び光を放ち始めた。その光はディスペンサーの闇をも切り裂くような強さを帯びている。
「何だと…?」ディスペンサーは驚いた表情を見せる。「その剣、ただの武器じゃないのか?」
怠惰は剣を強く握りしめながら叫んだ。
「この剣は希望の剣!お前みたいな奴に負けるわけないだろう!」
怠惰は剣を振り下ろし、その光の刃がディスペンサーの防御魔法を切り裂いていく。崩壊もそれに気付き、影の兵士たちを一掃すると、怠惰に加勢するべくディスペンサーに向かって駆け出した。
ディスペンサーは追い詰められ、苛立ちを隠せない様子だった。「こんなはずでは…!」
だが、彼は最後の力を振り絞り、周囲の闇の力を自分に取り込んで巨大な姿へと変貌を遂げた。
「これで終わりだ!私は滅びの化身となり、君たちを飲み込む!」
ディスペンサーは不気味に笑いながら襲い掛かる。
怠惰と崩壊はその姿を見上げながら、再び剣と拳を構えた。
「崩壊、あいつを倒すぞ!これが最後の戦いだ!」怠惰が叫ぶ。
「分かってるさ。全力で行くぞ!」崩壊も覚悟を決めた声で応える。
二匹は力を合わせ、死闘の幕が再び上がる。




