第五十話
怠惰と崩壊が滅びの神殿の中に足を踏み入れると、冷たく湿った空気が肌に張り付き、暗闇に溶け込むような薄気味悪い空間が広がっていた。壁には不気味な紋様が刻まれ、薄青い光がかすかに漂っている。その光の中で、死者の体をまとったゾンビたちが群れを成して動き回っていた。
ゾンビたちは、怠惰と崩壊が神殿に入った瞬間、腐った骨と肉の体を引きずりながら一斉にこちらを向いた。そして、次の瞬間には低くうめき声を上げながら襲い掛かってきた。
「やっぱり何か出ると思ったよ!」怠惰が叫びながら『希望』の剣を抜いた。
「これだけの数、まともに相手してたらキリがない!」崩壊も叫び、周囲を見渡した。
怠惰は剣を振るい、ゾンビの一体を切り裂いたが、倒しても次から次へと新たなゾンビが湧き出てくる。崩壊も自身の『崩壊』の力でゾンビを吹き飛ばしながら、怠惰に向かって叫んだ。
「こいつら、倒しても再生するぞ!先に進むしかない!」
怠惰もそれに気づき、「わかった、奥に何かあるはずだ!」と言いながら、崩壊と連携してゾンビの群れをすり抜ける方法を探り始めた。
ゾンビたちは数が多く、狭い通路や広間で次々と襲いかかってくる。怠惰は『希望』の剣を光らせ、周囲を照らしながら進むルートを確認。崩壊はその力を使い、進行を妨げるゾンビたちを吹き飛ばして道を切り開いていった。
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神殿の奥へ進むにつれて、空気がさらに重く、そして冷たくなっていった。周囲の壁には、奇妙な古代文字が浮かび上がり、どれも「滅び」を象徴するような意味を持つものばかりだった。
「ここ、どう考えても歓迎されてないね…」怠惰が息を切らしながらつぶやく。
「それでも進むしかない。あの声が言ってたんだろう?ここに『滅びの光』があるって。」崩壊も疲労を見せながら答える。
その時、突然背後からゾンビたちが大群で押し寄せてきた。二匹が進んだ分だけ、後ろから新たなゾンビが迫ってきたのだ。
「くそっ、どれだけいるんだよ!」崩壊が苛立ちを見せる。
怠惰は振り返り、『希望』の剣を大きく振るった。その光が一瞬ゾンビたちを怯ませる。
「光に弱い…かもしれない!崩壊、僕が光でゾンビを止める間に、もっと奥まで進もう!」怠惰が叫ぶ。
崩壊は頷き、「わかった。だが無理はするな!」と答えた。
怠惰は剣を高く掲げ、光をさらに強く放ちながらゾンビたちの進行を一時的に食い止める。その隙に崩壊が前方の道を確認し、怠惰を導く形で二匹は再び走り出した。
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しばらく進むと、巨大な扉が二匹の行く手を阻んだ。その扉は黒曜石のように黒く輝き、中心には奇怪な目の模様が彫られている。
「ここが…目的地か?」崩壊が扉を見上げながら言う。
怠惰は剣を握り直し、慎重にその扉に近づいた。「この扉の向こうに…『滅びの光』があるんだろうね。」
だが、その時、背後から再びゾンビのうめき声が聞こえてきた。追いついた大群が、二匹を逃がすまいと迫ってきたのだ。
「ここでやられるわけにはいかない!」怠惰は『希望』の剣を構え、光をさらに強く放った。
崩壊は力を一点に集中させ、ゾンビたちが近づいてくる道を崩して足場を壊した。「これで少しは時間が稼げる!急げ、怠惰!」
二匹は巨大な扉を開ける方法を探し始めた。その扉は容易には動かず、古代文字が輝き始めた。神殿の真の試練が、今まさに幕を開けようとしていた――。




