第四十二話 黄泉の戦い
怠惰と崩壊は慎重に黄泉の村の奥へと足を踏み入れた。村は死の静寂に包まれており、冷たい風が骨と土の匂いを運んでくる。家々は崩れ落ちており、地面には人間やドラゴンの骨だけが散らばっている。その光景に怠惰は背筋が凍る思いだった。
「ここ、本当に…誰も生きてないんだね。」
怠惰は不安そうに呟いた。
崩壊も警戒しながら周囲を見渡し、
「ただの廃村にしては、妙に生々しいな。油断するなよ。」と答えた。
村の中央に差し掛かると、朽ち果てた噴水が見えた。その噴水はかつて清らかな水を湛えていたのだろうが、今は枯れ果て、緑色の苔とひび割れた石がその名残を伝えている。
怠惰は噴水の跡を見ながら、ここにかつて人々の生活があったことを感じ取った。だが、それは同時にこの村の過去の悲劇を思わせ、彼の心に不安と恐怖を呼び起こした。
「ここで何があったんだろう…」
怠惰がそう呟いた瞬間、地面から低く響く音が聞こえてきた。それは骨が擦れ合うような不気味な音だった。
「気をつけろ!」
崩壊が叫ぶと同時に、周囲の骨が一斉に動き出し、形を成していく。骸骨たちは人間やドラゴンの姿となり、空の目で二匹を睨みつけた。
「うそ!…これ、全部動いてるの!?」
怠惰は後ずさりながら叫んだ。
「どうやらここは本当に黄泉の入り口らしいな…!」
崩壊は即座に構えを取り、怠惰にも剣を握るよう促した。
骸骨たちは低い唸り声を上げながら、一斉に二匹に向かって襲いかかってきた。怠惰は咄嗟に『希望』の剣を光らせ、迫り来る骸骨を斬りつける。その光は骸骨を粉々に砕いたが、倒れても次々と立ち上がってくる。
「数が多すぎる!これじゃキリがないよ!」
怠惰が焦りながら言うと、崩壊は足元の地面を崩壊させる力を使い、一帯を巻き込むように攻撃した。骨の軍勢の一部を吹き飛ばしたが、それでも動きを止めることはなかった。
「力押しじゃ限界があるな…!」
崩壊は周囲を見渡し、何か手がかりを探し始めた。その時、怠惰が噴水の中央に奇妙な石が埋まっていることに気づいた。その石は骸骨たちと同じく不気味な輝きを放っていた。
「崩壊!あの石だ!あれがこいつらの源かもしれない!」
怠惰は石を指差し叫んだ。
崩壊はすぐに反応し、
「わかった、援護しろ!」
と言いながら、噴水の方へ突っ込んでいった。
怠惰は骸骨たちの攻撃を避けながら『希望』の剣を振り、崩壊が石に向かう道を切り開いた。崩壊が石の前に到達すると、全力で拳に『崩壊』の力を込め、石を粉々に砕いた。
すると、骸骨たちはその場で一斉に崩れ落ち、再び動かなくなった。村の静寂が戻り、怠惰と崩壊は息を切らしながら立ち尽くした。
「…なんとか、終わったみたいだな。」崩壊がそう呟くと、怠惰も安堵の表情を浮かべた。だが....




