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第四話 D.P.の追跡

ディシェウィキへと向かう道は、荒野を抜け、緑豊かな草原へと続いていた。朝露に濡れる葉が陽光に輝き、鳥たちのさえずりが聞こえる。しかし、怠惰と崩壊はその美しい景色を楽しむ余裕はなかった。


「道が平坦すぎる。見晴らしが良いのは悪い兆候だ。」

崩壊が低く唸るように言う。


「え、どうして? 歩きやすいじゃないか。」

怠惰は少し緊張しながらも、崩壊の言葉の意味を測りかねていた。


「追われる側にとって、目立つのは命取りだ。」

崩壊の言葉に重みがあり、怠惰も思わず辺りを見回した。


そのときだった。遠くで地面を震わせるような重い足音と、空を裂く風切り音が聞こえてきた。


「来たか……。」

崩壊の赤い目が細められる。


「来たって……?」

怠惰が問いかける間もなく、空の彼方から数体の影が現れた。それは鋼鉄の甲殻を纏ったドラゴンだった。翼にはD.P.companyのロゴが刻まれている。


「D.P.companyの捕獲部隊だ!」

崩壊が叫ぶと同時に、影は急降下して二匹を狙い始めた。


捕獲部隊のドラゴンは機械のように正確な動きで二匹を包囲しようとする。その背には人間の操縦者が乗っており、指示を送っているのが見えた。


「怠惰、奴らの動きは俺が引きつける! お前は隙を見て逃げろ!」

崩壊は鋭い声で指示を出し、すぐさま翼を広げた。


「でも……!」

怠惰が反論しようとするも、崩壊はすでに空高く舞い上がっていた。


崩壊は自ら囮となり、鋼鉄のドラゴンに突進していく。その動きは猛々しく、鋭い黒い鱗が陽光を受けてきらめく。


「来いよ、D.P.companyの犬ども!」

崩壊が挑発すると、鋼鉄のドラゴンはその攻撃に応じるように咆哮を上げた。


怠惰はその間に逃げ道を探した。だが、心の中では葛藤が渦巻いている。


「崩壊を置いて行くなんて……そんなの無理だ!」


そのとき、彼の目に小さな崖の裂け目が映った。ここなら捕獲部隊の視界から隠れられるかもしれない。


「崩壊! あそこに隠れられる場所がある! 一緒に逃げよう!」

怠惰が叫ぶと、崩壊は一瞬だけ振り返った。


「わかった。お前が隠れ場所を見つけたなら、そこを使う!」


崩壊は捕獲部隊に向かって最後の威嚇をし、その隙に怠惰と共に崖の裂け目へと滑り込んだ。


裂け目の中は暗く、狭い空間だった。怠惰と崩壊は息を潜めながら外の様子を伺う。鋼鉄のドラゴンが裂け目の周辺を探しているのが聞こえるが、奴らの視界に二匹の姿はない。


「ふう……なんとかやり過ごせたか。」

崩壊が低い声でつぶやく。


「でも、どうしてD.P.companyがこんなところまで来たんだろう?」

怠惰の声には不安が混じっている。


崩壊は険しい顔で答えた。

「お前が旅立った時点で、D.P.companyはお前を捕らえようと全力を挙げている。俺たちがこれから行くディシェウィキにも、奴らの手先が潜んでいるだろう。」


「……こんなの、平穏じゃないよ。」

怠惰はため息をつき、しっぽを垂らした。


「だが、それでも進むしかない。自由を助けるためにもな。」

崩壊は怠惰の背に爪を軽く乗せ、力強い声で言った。その言葉に、怠惰のオレンジの瞳に少しだけ光が戻った。


二匹は裂け目を抜け、再びディシェウィキへの道を進み始めた。

D.P.companyの追撃は避けられたが、これからの旅がさらに危険なものになる予感が二匹の心を重くしていた。


「ディシェウィキには、きっと答えがあるはずだ。」

崩壊の声に頷きながら、怠惰は一歩一歩を踏みしめて進んでいく。


空は夕日に染まり、次なる運命が彼らを待ち受けている――。

鋼鉄の甲殻を纏ったドラゴンだった。とありますがそれは怠惰視点ではそう見えただけで実際は培養された肉体に装備を付けた、完全な機械です。命は宿っていないが血は通っている。

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