第三十八話 協力戦
怠惰は自分の剣が白く光ることを思い出し、剣をじっと見つめた。
「そうだ、この剣…『希望』の力がまだ残ってるかもしれない。」
崩壊がうなずきながら提案する。
「よし、作戦を立てよう。お前がその剣で狼の気を引くんだ。やつを引きつけて、俺が一点に『崩壊』の力を溜める。そのタイミングで奴を俺の正面に誘導してくれ。」
怠惰は不安を抱えつつも決意を固めた。
「わかった。崩壊、頼むぞ。」
怠惰は『希望』の剣を持ち、思い切り振りかざした。その瞬間、剣はまばゆい光を放ち、洞窟内を白く染め上げた。光に反応した氷の狼が怠惰に向かって突進してくる。
「よし…来い!お前の相手はこっちだ!」
怠惰は剣をかざしたまま狼を引きつけ、洞窟内を駆け回る。狼の鋭い爪がすぐ背後をかすめ、怠惰は冷や汗を流しながらも耐え続けた。
その間、崩壊はじっと構え、力を一点に集中させていた。彼の周囲の空間が揺らぎ、淡い紫の光が収束していく。全身から力が溢れ出し、次第に洞窟の空気が重くなる。
崩壊は低く叫ぶ。
「…準備はできた。怠惰、今だ!」
怠惰は狼を崩壊の正面に引きつけながら走り続けた。そして、崩壊の声が響く。
「いまだ!」
怠惰は振り向きざまに狼の注意を引き、剣を輝かせながら崩壊の方へと誘導する。狼は怠惰に向かって突進を続けたが、衝突寸前で怠惰が横へと飛び退いた。
「さあ、終わりだ!」崩壊が叫ぶと同時に、溜め込んだ『崩壊』の力を狼の胸へと叩き込んだ。
「貫通!!」
紫のエネルギーが狼の体を貫き、その力は一気に広がった。狼は苦しそうな咆哮を上げながら、その巨大な体が細かい破片となって四散していく。氷の棘や鋭い爪もすべて砕け、跡形もなく消え去った。
怠惰は肩で息をしながら剣を地面に突き立て、崩壊の方を見た。
「やったな…崩壊。」
崩壊も疲れた表情を見せながらも、小さく笑みを浮かべる。
「これで、邪魔者はいなくなったな。だが、この先がどうなっているか分からない。油断はするなよ。」
二匹は短い安堵の時間を得たが洞窟の重い雰囲気はまだ消えてはいなかった。




