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第三十六話 新しい敵


怠惰と崩壊は岩陰を慎重に覗こうとしたその瞬間、横から突如、水色の何かが突っ込んできた。怠惰は驚いて後ろに跳び退り、崩壊はすぐに構えを取る。


目の前には氷でできた鳥が威嚇しながら舞い上がり、冷たい風を巻き起こしている。崩壊が低い声で言った。

「ただの自然現象じゃない。こいつ、生き物だ。」


しかし、その鳥は次の瞬間、形を変え始めた。氷が音を立てて砕け、そして再び形作られる。現れたのは、巨大な氷でできた狼だった。


怠惰は狼の赤い目を見つめながら言った。

「なんだよこれ、化け物じゃないか!」


崩壊は冷静に返す。

「容赦するな、来るぞ!」


狼は大きな体を軽々と動かし、鋭い爪と牙で二匹に襲いかかる。その攻撃は速く、重い。怠惰は素早くかわしながら剣を振り、崩壊は大地を揺らして反撃する。


しかし、狼の氷の体は非常に硬く、怠惰の剣や崩壊の攻撃もなかなか効果を与えられない。さらに、狼は自ら砕け散った氷を瞬時に再生させる能力を持っていた。


怠惰は歯を食いしばりながら叫ぶ。

「いくら壊しても意味がないよ!」


崩壊は目を細め、冷静に狼の動きを観察していた。そして、ある瞬間に気づいた。

「再生する前に、核を狙え。胸のあたりに光が見える。あそこが弱点だ!」


二匹は連携して狼の隙を突き、崩壊が動きを封じると同時に、怠惰がその輝く核心に渾身の一撃を放った。剣が核心を貫くと、狼は轟音を上げて砕け散り、氷の破片となって地面に散らばった。


怠惰は肩で息をしながら言う。

「やっと倒せた…なんなんだ、こいつ。」


崩壊も疲れた様子で頷きつつ、散らばった氷の破片を見つめた。

「ただの敵じゃない。死者の国に繋がる道を守る存在かもしれない。」


二匹はようやく息をつくと、改めて岩陰を覗いた。そこには予想以上に大きな氷の洞窟が口を開けていた。洞窟の中からは冷気が漂い、奥には青白い光が揺らめいているのが見える。


怠惰は洞窟を見つめながら言った。

「この洞窟、明らかに普通の洞窟じゃないね。行くしかないんだろうけど…嫌な予感しかしない。」


崩壊は険しい表情を浮かべながらも頷いた。

「行こう。ここを抜ければ、死者の国に近づくはずだ。」


こうして、二匹は氷の洞窟の中へと足を踏み入れていく。

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