第二十四話 休憩
怠惰と崩壊はイワユリに案内されて森の奥深くへと進む。目の前に現れたのは、育ちすぎたツタや木々が壁のように立ち並び、外部からはまったく見えない村だった。木々の間には小さな家々が寄り添うように並び、その家々からは暖かな灯りがもれている。
「ここが私の住む村だよ。みんな優しいから、安心してね。」イワユリが振り返り、にこやかに言った。
村に足を踏み入れると、子供たちや大人のドラゴンたちが出迎えてくれた。イワユリは元気よく「ただいま!」と挨拶し、怠惰と崩壊を村の仲間に紹介した。
「この二匹が私を助けてくれたの!怠惰と崩壊って言うんだよ。」
村人たちは拍手とともに二匹を歓迎し、「ありがとう」「助けてくれてよかったね」と声をかけてくれた。その暖かさに、怠惰と崩壊は少し照れながらも笑顔を返す。
村の道を歩いていくと小さな家が見えてきた。
イワユリの家は村の中心にあり、ツタが壁を覆った静かな木造の家だった。家の中に入ると植物の香りが漂い、壁には乾燥させた草花が飾られていた。
「さあ、座って座って!」イワユリは二匹にクッションを勧めると、奥の部屋から籠いっぱいのお菓子を持ってきた。
「改めて、助けてくれて本当にありがとう。」イワユリは菓子をテーブルに置きながら、柔らかい声で言った。
怠惰はその言葉に頷きつつ、早速質問を切り出す。
「僕たち、ニアダフスクって都市を目指してるんだけど、どんな場所か知ってる?」
イワユリは少し首をかしげながら答える。
「あそこはあまり明るい場所じゃないよ。霧が多くて、昼間でも薄暗いし、住んでいる人たちもどこか影がある感じ。でも、どうしてそんなところに行くの?」
崩壊が口を開く。
「D.P.companyを追っているんだ。あそこに何か手がかりがあると思っている。」
イワユリは興味なさそうに「ふーん」と言いながら菓子を口に運んだ。だが、その態度の軽さにも悪意は感じられず、ただ深い関心を持っていないだけのようだった。
日が暮れて辺りが静かになり、村は穏やかな夜を迎えた。イワユリは柔らかな笑みを浮かべながら二匹に提案した。
「今日はもう夜だから、ここに泊まっていったら?疲れてるでしょ?」
怠惰と崩壊は互いに顔を見合わせると頷いた。
「ありがとう、イワユリさん。少しお世話になるね。」
イワユリの家の一室には、ふかふかの草と葉っぱで作られたベッドが用意されており、怠惰と崩壊は安心して横になった。
「イワユリの村って本当に静かで、ここにいるとすごく落ち着くな。」怠惰は目を閉じながらつぶやいた。
「だが、俺たちには先を急ぐ理由がある。休むのは今夜だけだな。」崩壊が静かに応じる。
村の外では森の葉擦れの音が聞こえ、穏やかな夜風が窓から入り込んでいた。束の間の安らぎを胸に、二匹は明日への活力を養うため、深い眠りについた。




