第二話 「崩壊」との邂逅。
怠惰は旅を続けていた。青い鱗は道中の埃で少しくすんでいたが、彼のオレンジ色の瞳には親友・自由を助けるという明確な目的が宿っている。目的地であるディスティランドはまだ遠い。それでも彼は足を止めることなく進んでいた。
しかし、どこへ行くのかを怠惰は決めていなかった。そのため怠惰はとりあえずディスティランドの方向にむかっていたのだが、知らないうちに方向が少しずれていたようで怠惰は広大な荒野に足を踏み入れた。太陽が傾き始め、周囲が夕焼け空で赤く染まりはじめた頃、不意にどこからか重低音のような唸り声が聞こえてきた。
「……何の音だろう。」
耳を澄ませながら、怠惰は音の方へ向かった。
そこに現れたのは、全身が黒い鱗に覆われた大きなドラゴンだった。赤く鋭い瞳が、怠惰をじっと見据えている。その姿は威圧感そのもので、怠惰は思わず後ずさりした。
「……誰だ、お前は。」
黒いドラゴンが低い声で問いかける。
「ぼ、僕は怠惰。wordsのドラゴンだよ。」
怠惰は少し声を震わせながら答えた。
「怠惰、か。ふん、また珍妙な名前だな。」
黒いドラゴンは軽く鼻を鳴らしながらも、興味を示した様子で近づいてくる。
「俺の名は崩壊。お前もD.P.companyと関係があるのか?」
「D.P.company……知ってるの?」
怠惰の目が驚きで見開かれた。
「顔を見れば、分かる。ものすごい焦ったような顔をしているからな。俺は奴らの裏を暴くために動いている。あいつらがドラゴンたちに何をしているのか、そしてその先に何を企んでいるのかをな。」
崩壊の声には怒りが込められていた。その一言一言に、彼の並々ならぬ覚悟が滲み出ていた。
崩壊に何があったのかを聞くのは…と怠惰は思った。
崩壊は怠惰を近くの洞窟に招き入れた。そこは彼が情報を集めるために使っている隠れ家だった。壁には地図や資料が貼られ、床には何冊もの分厚い書物が積み重なっている。
「D.P.companyは表向き、ドラゴン保護や研究をしていると称しているが、実際は違う。奴らの目的は、wordsを利用して支配力を強化することだ。」
崩壊は一枚の紙を差し出した。それはドラゴンの解剖図や実験記録のようなもので、見るだけで胸が痛み奴らへの怒りが湧いてくるような内容だった。
「奴らはwordsの力を奪い、兵器として使うつもりだ。そのために、俺たちドラゴンを捕らえ、能力を引き剥がしている。」
「自由も……捕まったんだ。僕の親友で、同じwordsのドラゴンだった。でも、そんなことが起きているなんて……。」
怠惰の声には動揺が混じっていた。
「お前の親友も、もう実験台にされているかもしれない。」
崩壊の言葉は冷酷だったが、真実を見逃さない強さがあった。
怠惰はしばらく沈黙した後、崩壊を真剣な目で見つめた。
「君が僕と一緒に来てくれたら、きっとD.P.companyを止められるはずだ。僕一人じゃ無理だけど、君とならできる。」
崩壊は怠惰の申し出に目を細めた。そして、しばらく考えた後、低く息を吐いた。
「……面白い提案だな。俺も一人では限界を感じていた。お前と組むのも悪くない。」
崩壊は力強く頷き、その瞬間、二匹のドラゴンの旅路が一つになった。
青い鱗と黒い鱗――全く異なる二匹のwordsのドラゴンが手を取り合い、D.P.companyの真実を暴き、仲間を救うための旅を始まった。
荒野に沈む夕日が、彼らの未来を赤く染めていた。
紹介
怠惰:身長頭からしっぽまで2mぐらい。一応羽があり、とべる。26歳。♂
崩壊:身長4mぐらい。見栄えは恐ろしいが、そこそこ優しい。350歳ぐらい。♂
ドラゴンの種類について:怠惰、崩壊共に四足歩行だが二足歩行のドラゴンもいる。
手が器用な奴もいる。