表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/56

第十五話「幻惑」

怠惰と崩壊が霧の中を進んでいると、ふと前方に淡い光が揺れるように浮かび上がった。二匹は立ち止まり、緊張した面持ちでその光を見つめる。霧の中から、しなやかな身体を持つドラゴンが現れた。その体は青白い霧のように透明感があり、見ているだけで目がくらむような奇妙な存在感を放っている。


「私の名は『幻惑』。復活の使いとしてここに現れた。」そのドラゴンは穏やかな声で語りかけてきた。


怠惰は少し驚きながらも口を開いた。「幻惑……? 君が復活の使い?」


「そうだ。復活様の泉を目指す旅人よ。私はお前たちが正しき道を進めるよう、案内をする者だ。」幻惑の声は静かで心地よく、霧の中に響いている。


「復活の泉……そこに行けば、俺の力も完全に戻るのか?」崩壊が鋭い目を向けて問いかける。


「それはあなた自身が泉で確かめることです。ただし、この霧の中は危険が多い。注意深く進む必要があります。」幻惑は冷静に答えた。

三匹は霧の中を進み始めた。道は狭く、深い霧が周囲を覆っているため、進むたびに迷路の中を歩いているような感覚に囚われる。しばらく進むと、低いうなり声が霧の向こうから聞こえてきた。


怠惰は耳を澄ませた。「何かいる……?」


「狼だ。」崩壊が低い声で警告した。


霧の中から、輝く目を持つ狼たちの群れが姿を現した。彼らは怠惰たちが持っている食料に狙いを定め、じりじりと間合いを詰めてくる。


怠惰は少し焦りながら崩壊を見た。「どうする? 戦う?」


崩壊は一瞬だけ周囲を見渡し、短く答えた。「できれば避けたい。お前の力も使えない場面だ。」


その時、幻惑が静かに前に出た。「私に任せなさい。」


幻惑の目がかすかに輝き、周囲の霧がゆっくりと動き始めた。霧は渦を巻くように狼たちの周りを包み込み、彼らの視界を遮った。狼たちは困惑した様子でうろうろと歩き回り始める。


「何が起きているんだ?」怠惰が幻惑を見つめて尋ねた。


「私は霧を操り、彼らの感覚を惑わせることができる。これで彼らは方向を見失い、散り散りになるだろう。」幻惑の声は落ち着いていた。


やがて、狼たちは完全に霧の中で姿を消し、群れはどこかへ去っていった。


「すごい……。」怠惰は感心したように言った。


崩壊は幻惑を一瞥し、短く言葉を投げた。「助かった。」

狼たちを振り切った三匹は再び歩みを進めた。幻惑は道を先導しながら話を続けた。「まずはフェニスキの谷の入り口にある小さな町、リブホーンに向かいましょう。そこから先の道は険しくなるので、準備が必要です。」


怠惰は疲れた足を引きずりながら頷いた。「リブホーンか。少し休める場所があるといいな。」


「おそらくそうなるだろう。ただし、気を抜かないように。」崩壊が冷静に応じた。


霧が少しずつ薄れてきた頃、遠くに小さな町の輪郭が見え始めた。それがリブホーンだった。三匹はその町を目指し、足早に進む。フェニスキの谷の奥にある「復活」の泉を目指す旅は、まだ始まったばかりだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ