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第十一話 思わぬ助け

金属的な音をガシャガシャと響かせながら、怠惰と崩壊を乗せたエレベーターが上昇していく。怠惰は荒い息をつきながら、緊迫した面持ちで気絶した崩壊の体を支えていた。


「崩壊、大丈夫?」

怠惰の呼びかけに答える声はない。黒い鱗に覆われた崩壊の身体は力なく揺れている。


「どうしよう……」

エレベーターが止まり、扉が開く音が響く。怠惰は警戒しながら外の様子をうかがった。幸いにも人影は見当たらない。


「早く、ここから逃げなきゃ……!」

怠惰は崩壊を引きずるようにして廊下を進むが、彼自身も疲労困憊で足がふらついていた。


その時、背後から足音が聞こえてきた。


「見つけたぞ、侵入者だ!」


D.P.companyの追手が迫ってくる。怠惰は焦りながら、崩壊を守ろうと立ち塞がった。しかし、自分には戦う力はない。


「どうすれば……!」


絶望的な状況の中、不意に暗がりから小柄な人間の影が現れた。


「おい、こっちだ!」


その声に驚いた怠惰が振り向くと、フードを被った人間の男が立っていた。


「フック?」


「あんたたち、こんなボロボロになって、大丈夫か!急げ、俺に任せろ!」

フックはポケットから小型の装置を取り出し、地面に投げつける。爆発音とともに白い煙が立ち込め、視界が遮られる。


「今のうちに逃げるぞ!」


怠惰は半ば引きずられるようにしてフックについていった。

裏路地を急いで進みフックの店についた。

フックの隠れ家である薄暗い部屋の中、怠惰は崩壊の横で心配そうに見守っていた。フックが手際よく崩壊の傷を調べ、簡単な治療を施している。


「これでひとまず大丈夫だ。命に別状はないが、かなり無理をしたみたいだな。」


怠惰は安堵の息をつき、フックに深く頭を下げた。


「ありがとう、フック。どうして助けてくれたの?」


「さっきまでのあんたたちの動きが気になってな。D.P.なんてろくでもない連中に立ち向かおうってんだろ?」

フックはニヤリと笑う。


「まあな、俺もあいつらにはちょっとした恨みがあってな。奴らに勇敢に立ち向かうあんたたちを応援したくなっただけさ。」


その時、崩壊が低い唸り声を上げ、ゆっくりと目を開けた。


「……ここは……?」


「崩壊!よかった、目が覚めた!」

怠惰が嬉しそうに声を上げると、崩壊はぼんやりとした目でフックを見た。


「誰だ、この人間は。」


「フックだよ。D.P.companyに不満を持ってて、私たちを助けてくれたんだ。」


崩壊はしばらく黙っていたが、やがて頷いた。



二匹のドラゴンが落ち着いたのを見てフックは地図を広げ、怠惰と崩壊に示した。


「ディスティランドに一直線に向かうのは無謀だ。あそこは奴らの本拠地だからな。まずは迂回してニアダフスクを目指すんだ。」

フックはすぐに向かうのは危険だというように強い口調で怠惰に話しかける。

怠惰は地図を見ながら、不安そうに呟く。


「でも、そんなに遠回りしてたら、自由が……」


フックは怠惰の言葉をを遮るように指をさした。


「途中でフェニスキの谷に寄れ。そこには“復活”の力を持つwordsのドラゴンがいるらしい。崩壊を治すためにも、同族に会うためにも行くといい。ニアダフスクまでそこまで遠回りではないしな。」


崩壊が疲れた声で言った。

疲れてはいるが安心したような声で。

「……俺のために足を止める必要はない。だが、俺らの助けになるなら行くべきかもしれないな。」


怠惰は崩壊を見つめて頷いた。


「分かった。フック、ありがとう。フェニスキの谷に向かってみるよ。」


フックは肩をすくめ、照れくさそうに笑みを浮かべた。


「俺は俺の好きにやってるだけさ。お前たちも好きにやれよ。」


こうして、怠惰と崩壊はフックに別れを告げ、「復活」に会い、崩壊の治療のため.フェニスキの谷を目指して慎重に進むことを決めた。

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