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第6話 【異世界で沼に引きずり込まれる】


 もう昼を過ぎた時間だからなのか掲示板に張られている依頼の数は少なかった。


(端っこにあるGランク用の常設依頼、ね)


 言われたとおりに端っこを見てみると、ポツンと張られている汚い依頼書を見つけた。


 その依頼書を読んでみると、Gランクの依頼は街の中で完結するお手伝いが主な仕事のようだった。


 当然、報酬も相当安く設定されている。


(銅貨って日本円に換算していくらなんだ?)


 俺の場合は金の価値も知らないので本当に安いかどうかも判断出来ないが。


「どれにしようかなぁ~」


 殆ど選択肢はないに等しいが、せめて今日の宿代くらいは稼ぎたい。


 宿代がいくらなのかも知らんけど。






 俺が選んだのは荷物運びの依頼だった。


(これが常設依頼に出ているって、どんだけ忙しい職場なんだ?)


 そう思って現場に向かってみたのだが、辿り着いた先で俺が見たものは山のように積まれた荷物の山だった。


 どうやら、これを指定された場所まで運ぶのが仕事らしいのだが、流石に全部を運べという話ではなかった。


 時間内に運べた分だけ歩合で報酬が支払われる仕組みになっていた。


(確かに常設依頼になるわ)


 多くの人間が山のような荷物を次々と運び出しているが、それと同等か、それ以上に荷物が運び込まれて来て積み上がっていく。


(無限ループかよ)


 これは、あれだ。単純だけど大変な依頼って奴だ。






 時間内に俺は10回くらい往復して荷物を運ぶ羽目になった。


「つ、疲れた」


 魔女だった時は体力も無限だったが、今は完全に人間の身体に偽装しているので体力も有限だ。


 疲れ果てた俺は依頼完了の報告書を持ってギルドに戻って報告書を提出して報酬を受け取った。


「無事に依頼を果たせたようだな。これでお前はGランクを卒業してFランクとなる」


「早くね?」


「世の中には居るんだよ。仕事を途中で放り出して逃げ出す馬鹿が。そんな奴を弾く為のGランクだ」


「なるほどねぇ~」


 だからGランクはきつい仕事に設定されており、それを達成することで報告書を貰ってGランクを抜けることになる。


 最初に言われたことだが、ちゃんと仕事を達成出来る姿勢を見せることが重要だったようだ。


 まぁ、言ってみればやる気があるかどうかを試されたわけだ。


 そうして俺が得た報酬は銅貨で12枚。


「これって宿に泊まれる?」


「ギルド提携の宿の雑魚寝部屋なら一泊銅貨5枚で泊まれるぜ」


「何処?」


「ギルドの裏に建っている。行けばすぐに分かる」


「ありがとよ」


 そうして俺は受付のおっさんに礼を言ってからギルドを出て裏に回り……。


「ボロいなぁ~」


 紹介されたボロの宿屋に入った。


「らっしゃ~い」


 ここでも受付に座っていたのはやる気のなさそうなおっさんで、俺は銅貨5枚を払って雑魚寝部屋へと案内された。


 案内された部屋は意外にも広く、既に5人の人間が思い思いの場所に陣取って座り込んでいた。


(なるほど。雑魚寝部屋だ)


 魔女だった時なら絶対にこんな部屋には泊まれなかったが、今ならそれほど抵抗を感じない。


 俺は適当な壁に寄り掛かって座り、鞄を手元に置いて休むことにした。


(下手に手放したら盗まれそうだな)


 まぁ、俺の荷物の大半はアイテムボックスの中に入っているので鞄には偽装の荷物が詰められているだけだが。


 その後、時間の経過と共に部屋に人は増えていったが、特に問題が起きることなく時間が過ぎていった。




 ◇◇◇




 翌朝。


 周りに人がいる環境では熟睡出来なかった俺は早朝に目を覚まして宿を出た。


 まだ店なんて開いていないだろうと適当に街の中を歩き回っていたのだが、冒険者ギルドの付近で露店が既に開店していた。


 売っていたのは朝なのに串に刺した肉を焼いた物だったが、折角なので1本買って話を聞いてみた。


 そうして話の中で銅貨の価値を自分なりに考察してみたのだが、どうやら銅貨1枚は日本円に換算すると約200円ということになるらしい。


(ってことは、あの宿の代金は一泊1000円ってことか)


 それが高いのか安いのかはちょっと判断が付かないが。


 ちなみに買った肉は怪しかったので食わずに捨てた。


 臭いから考えて食ったら高確率で腹を壊しそうだったんだよ。


 朝食には鞄から取り出すと見せてアイテムボックスからパンを取り出して食べた。






 まだ早いと思ったが、することがなくなったので冒険者ギルドに入ってみたのだが、予想に反して既に人だかりが出来ていた。


(あ、なるほど。この時間に依頼書が張り出されるから依頼書の取り合いが起きているわけね)


 混んでいるのは掲示板の前だ。


 そして依頼書を持って来た冒険者を処理する為なのか、今日は3人の美人な受付嬢が受付に座っており、3列となって並ぶ冒険者達を次々処理していった。


(なんだ、ああいう受付もいるんじゃん)


 昨日のおっさんは何だったのか。


 と思っていたら昨日のおっさんが壁に寄り掛かって室内の様子を伺っている姿を見かけた。


「…………」


 少し考えて俺はおっさんの隣に行って壁に寄り掛かり話し掛けてみる。


「今日は受付じゃないんだな」


「ん? ああ、お前か」


 おっさんは俺のことを覚えていたのか普通に返事をして来た。


「俺は元冒険者だ。暇な時間は受付にも座るが、こうして揉め事が起きた時の為に待機しているのが仕事だ」


「へぇ~」


 言われてみればおっさんは背が高く筋肉もムキムキで強そうだ。


「少し質問しても良いか?」


「……少しだけならな」


 おっさんは思ったより親切なので少しだけ質問をしてみることにする。


「さっきから冒険者が依頼書を奪い合っているが、冒険者って皆字が読めるのか?」


 こういう世界だと、あんまり識字率は高くないと思っていたが、掲示板の前で争う冒険者達は我先にと依頼書を奪い合っている。


「そんなわけあるか。あっちを見ろ」


「?」


 おっさんに言われて指差された方を見ると、部屋の片隅に机が置かれて数人の職員が依頼を持って来る冒険者に対応していた。


「何あれ?」


「代読屋だ。字の読めない冒険者の代わりに金で依頼書の内容を読んでくれる奴らだ」


「え? ってことは、あいつらって依頼書の内容も知らずに取り合っているわけ?」


「そういうことになるな」


「……確保した依頼書が達成不可能なくらい難易度が高かったらどうするんだ?」


「あっちにいるだろ」


 再度おっさんに指差された方を見れば、掲示板の前で争う冒険者とは違い、優雅に寛ぐ奴らが座っていた。


「奴らは高位冒険者だ。早朝の依頼の取り合いには参加せず、身の丈に合わない依頼を取ってしまった冒険者が助けを求めて来るのを待っているのさ」


「高位冒険者ってAランク?」


「流石にAランクはいねぇな。この街に常駐している冒険者の中で最高はBランクだ。Aランクも偶に訪れるが、滅多に依頼は受けない」


「へぇ~」


 ということは、あの連中の大半はCランクってことか。


「お前は依頼を取りに行かないのか?」


「Fランクになったばかりの俺が争奪戦をしてもねぇ」


 どんな依頼があるのか知らないが、昨日の様子を考えれば順当に常設依頼で小銭を稼ぐ方が吉だろう。


「Fランクの常設依頼だとゴブリンの討伐か薬草採取だな」


 おっさんは俺が掲示板で確認する手間を考えてか依頼の内容を教えてくれた。


「ゴブリンねぇ。ゴブリンなんて素材になんの?」


 ファンタジーの定番の魔物だが、あれを狩って素材になる部分が想像出来ない。


「ゴブリンは害獣の一種に分別されている。ゴブリンを倒しても素材にはならんが、放置すると勝手に繁殖して群れを作る。そうなると僻地の村を襲って被害が出るから、そうなる前に倒して間引く必要がある」


「なるほど。害獣だ」


「報酬は領主から出されている。前にゴブリンを長期間放置して万単位にまで膨れ上がって街が滅びた経緯があって、それ以来、領主が金を出してゴブリンを間引く習慣が出来た」


「うへぇ~、万単位かよ。夢に出そう」


「……当時の冒険者は実際に長期間悪夢にうなされたらしいぞ」


「経験したくない話だね」


 ゴブリンの強さは知らないが、そんなのに囲まれてみたいとは思えない。


「ゴブリンの討伐を受けるなら、しっかりと装備を整えることだ。ゴブリンは雑魚の代名詞だが、集団で襲われればDランクの冒険者でも苦戦するし、洞窟なんかで襲われれば一気に難易度が上がるぞ。奴らは夜目が効くし、簡単な罠くらいなら使って来るからな」


「そうするわ」


「ちなみに討伐証明としてゴブリンの左耳を切り取って持って帰る必要がある。その小奇麗な鞄ではなく汚れた皮袋を買うことをお勧めする」


「……そうするわ」


 ゴブリンの左耳を鞄に入れることを考えれば、確かに俺のリュックは酷いことになりそうだ。


 ナイロン袋とか欲しい。


 というか本当に親切なおっさんだな。


「一応、確認しておくんだが……」


「ん?」


「実はギルドマスターだったりしないよな?」


「…………」


 沈黙するなよぉ!






 親切なおっさん――ギルドマスター(仮)と別れて俺は改めて掲示板に張られたFランク用の常設依頼を確認する。


「なるほど。ゴブリン退治と薬草採取だわ」


 というかゴブリンは兎も角、薬草なんて見分けも付かないんだが、他の奴らはどうやって判断しているんだ?


 先生が薬草を扱っているのを見たことはあるが、あれは俺から見れば草である。


 草以外の何物でもないので専門知識がない奴には見分けることは困難だ。


 森でサバイバルしていた頃は食用出来るか食って腹を壊さないかで判別していたが、薬草と言える効能を持つ草は見たことがない。


 そう思って困っていたのだが……。


(あ。よく見たら依頼書に薬師ギルドで薬草の判別法を教えてもらえるって書いてある)


 どうやら専門家のところに行って教えてもらえということらしい。






 ギルドで薬師ギルドへの道を聞き、そのまま薬師ギルドに向かった。


 薬師ギルドは流石に冒険者ギルドよりも綺麗にしてあったが、それなりの人数が所属しているのか随所で人の気配がする場所だった。


 俺は受付で冒険者ギルドから来て薬草の見分け方を習いに来たと告げたのだが……。


「本当に?」


 何故か受付嬢には大いに疑われた。


「え? これって冒険者の常識というか登竜門的な通過儀礼じゃないの?」


「薬草採取なんて一口に言っても、薬草の種類が何種類あると思っているんですか? 冒険者からしたら傷を治す薬草なんて1種類で良いと思っているのかもしれませんが、そういう薬を作る為にも何種類もの薬草を混ぜ合わせなければならないんですよ」


「まぁ、そりゃそうだ」


 先生だって複雑な手順で薬品を作っていたし。


「薬草採取というのは、そういう繊細な作業なのです。そんなことが大雑把で適当な冒険者に出来ると思います?」


「……ひょっとして薬草採取って受ける冒険者が全然いないの?」


「偶に勘違いして雑草を持ち込む冒険者ならいますよ」


「OH……」


 そんなのと同列に思われたくない。


「それで、本当に薬草を判別する為の授業を受けますか?」


「むむ。それって授業料とか掛かるの?」


「私達にとっては一般知識ですから、それでお金を取ったりはしませんよ。授業に付いて来られるかは、あなた次第ですけど」


「……受けよう」


 ちょっと自信ないが、これでも《朝露の魔女》の弟子という自負があるのだ。






 薬草の授業は最初に実物を見せられて、それを観察しながらスケッチするところから始まった。


「あら。意外と上手いじゃないですか」


 俺の授業を担当するのは継続して受付をしていた女性だ。


「こうして自分でスケッチすることにより、薬草の細部まで観察して覚えることが出来るようになります」


「なるほど」


「次に薬草の細部の説明なのですが……」


 流石にスケッチして終わりということはなく、薬草の詳細な説明が始まった。


「…………」


 なんというか、前世で言うオタクの気配を感じる。






 自分で描いた薬草のスケッチに薬草の各部位の特徴を書き込んでいく。


「なるほどねぇ~」


 先生が夢中になる気持ちが少しだけ分かった気がする。


 俺は別に薬草に興味津々という訳ではないが、こうして詳細に効能の話を聞くと――錬金術師としての性が疼く。


「要するに、この薬草から効能のある部分を抽出して、それから不純物を取り除きながら濃縮して効果を高めていくわけだな」


「そうです! よく分かっているではありませんか!」


 俺が要約して纏めると薬師は嬉しそうに頷いていた。


「それって魔力の混ざった水を混ぜたりしたら効果が変わったりするの?」


「それは……錬金術師の分野ですね」


「やっぱりそうなのか」


 話を聞く内に思ったのは、魔力的な物質と組み合わせれば面白いことが起こりそうだということだった。


「錬金術に興味がおありで?」


「以前、知り合いから教授されたことがある」


 世界の頂点に立つという《朝露の魔女》からな。


「良いですね! この街には錬金術師ギルドがないので共同開発が出来ませんでしたが、薬師と錬金術師には切っても切れない関係があるのです! あなたが錬金術師になってくれるのなら大変助かります!」


「お、おう」


 なんか、グイグイ来るんですけど。






 その日、俺は何故か真夜中まで調薬と錬金術の実験に付き合うことになり、既に作られた薬品に魔力を混ぜた水を加えることにより、どんな変化が起こるのかを散々記録させられた。


 魔女だった頃は魔力水なんてポンで作れたのだが、人間が魔力を使って魔力水を作るには色々と複雑な手順が必要で、安定して魔力水を作れるようになるまで大変だった。


 作れてからの方がもっと大変だったけど。




 ◇◇◇




 気付いたら俺は薬師ギルドの研究室の机で寝落ちしていた。


 身体を起こして周囲を見渡すと――薬師達が死屍累々の状態で爆睡していた。


(錬金術師が1人いるだけで騒ぎ過ぎだろ)


 どうも今までこの薬師ギルドには錬金術師が不在だったらしく、俺が来たことで出来ることが爆発的に増えた。


 それで薬師達が徹夜で実験を繰り返した結果、日頃の寝不足も加わって、この集団寝落ち事件に繋がったわけだ。


「あぁ~、腰痛てぇ~」


 寝落ちでガチガチになった身体を解すと、今日の予定を考える。


 自慢じゃないが、もう薬草なら完全に見分けられるようになったし、採取の仕方も完璧であると自負出来る。


 昨日はそれくらい濃い1日だった。


 折角なので街の外にゴブリン退治と並行して薬草でも探しに行こうかと外へ歩き出し……。




「何処へ行くんですかぁ~?」




 背後から肩をガシッと掴まれて歩みを止めた。


「いや。その……俺って冒険者だから、薬草でも採取して来ようかなぁ~と思って……」


「そんなの専門家に任せれば良いんですよぉ~。あなたにはあなたにしか出来ない大事なお仕事があるんですからぁ~」


「…………」


 やばい。逃げそこなった。


 このままだと沼に引きずり込まれる。


 思わず後ずさった俺は――背後から足をガシッと掴まれて顔が引き攣る。


「に~が~さ~ん~ぞ~」


「ひっ!」


 ゾンビのように俺の足にしがみ付く職員を見て思わず悲鳴が漏れる。


「さぁ、我々と薬師の道を究めようじゃないか。かの有名な《朝露の魔女》だって言っている。日々の地道な研究こそが高みへ向かう最短の道だと!」


「絶対に嘘だ!」


 怠惰なあの人が地道なんて言葉を残すわけがない!


 だが群がって来る薬師共から逃げることが出来ず、俺は今日も延々と薬師と錬金術師の合同研究に付き合わされるのだった。




 ◇◇◇




 気付いたら2週間が経過していた。


 何を言っているのか分からないと思うが、俺にも分からない。


 延々と研究に参加していたら、いつの間にか時間が過ぎていたのだ。


 うん。今日も目が覚めたら周囲は死屍累々で、どう考えても地獄以外の何物でもなかった。


 オタクの研究者はこれだから嫌なんだ。






 何故か、全く、これっぽっちも納得していないが、俺には薬師ギルドの中に住居の一室が与えられて、そこで寝泊りすることになった。


 ついでに薬師ギルドに登録されて、薬師用のカードが作られた。


(俺って錬金術師じゃなかったっけ?)


 まぁ、正確に言うと薬師ギルド所属の錬金術師ということになっている。


 本来なら錬金術師は錬金術師ギルドに所属するものだが、この街には錬金術師ギルドが存在せず、同時に他に錬金術師も居ないのでそういう処置になった。


 そもそも、どうして錬金術師がいないのかというと、どうやら薬師に比べて錬金術師の数は少なく、こういう辺境の街には居ないことが多いのだとか。


 大きな国の大きな街には多くの錬金術師がいることもあるが、小さな国の小さな街だと錬金術師がいないことも珍しくないのだ。


 ここは典型的な小さな国の小さな街なので、錬金術師がいる方が珍しい。


 そういう訳で俺は貴重な錬金術師として薬師ギルドに所属する羽目になってしまったのだ。


「冒険者だって言ってんのに」


 別に冒険者ギルドと薬師ギルドの両方に所属することに問題はないと言われて両方の所属になったが、やっぱり納得いかん。






 そうして俺は久々に薬師ギルドの外に出た。


 泊まる場所は確保したし、2週間の研究への参加で報酬も得ることが出来た。


 そういう意味では全くの無駄な時間という訳ではなかったが、どうにも連日の徹夜のお陰か頭が重い。


(薬師共め、扱き使い過ぎだ)


 俺はふらふらと歩いて行った。






 やっと冒険者ギルドに到着した。


「まさか、ここに戻って来るまで2週間も掛かるとは……」


 ちょっと薬師ギルドで薬草に付いての授業を受けて直ぐに帰ってくるつもりだったのに。


 俺は溜息を吐きながら冒険者ギルドの中に入った。


 もう昼を過ぎた時間なので当然のように人の姿は疎らで、受付には例のおっさんが……。


(いや。そういえばギルドマスター(仮)だったんだっけ)


 そのギルドマスター(仮)が退屈そうに座っていた。


「ちわ~っす」


「おう、久しぶりだな。何処に行ってたんだ?」


「……ちょっと薬師ギルドまで」


「へぇ。薬草の見分けは出来るようになったか?」


「完璧に、な」


「ほぉ」


 伊達に薬師共の無理難題に付き合わされていたわけではない。


 マジで現存する薬草なら完璧に見分けられる自信が出来たわ。


「それなら薬草採取でも受けるか?」


「そうだな。気分展開にゴブリン退治のついでに行ってくるわ」


「おう。頑張れよ」


 こうして俺はやっとFランクの常設依頼を受けることになったのだった。




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