私はルピノス!主に愛の戦士だ!
「ここが『本部』・・・」
この階層もまた建物の中みたいだけど、今度は・・・木と紙で出来た建物?
この床って靴のまま歩いたら傷がつきそうだけど、脱いだ方がいいのかな・・・
・・・ってここダンジョン!!
危なかった・・・自分から防御力を下げさせる罠・・・
人の良心につけ込むなんて許せないよ!
「ふーん、いい感じによく燃えそうなダンジョンね」
「加熱っちゃう?」
あれ? こちらの方々は違う感想のようです?
「へえ、木の家って言うのも落ち着きがあっていいね」
「ああ、素足で歩いたら気持ち良さそうだ」
お、こちらは僕寄りの感想。
ちょっと安心。
「この床とか柱ってすごく綺麗だけど見たこと無い木だなあ。木の板に紙を貼った壁っていうのも面白いね。よし、全部持って帰って建材にしよう。錬成で取り外してっと・・・」
「む、ならば俺の分も頼む。一室をこの壁と床にリフォームしたい」
・・・と思ったら違う意味で物騒だった。
みるみるダンジョンの壁が剥き出しに・・・本当の意味で根こそぎって感じ。
何だか『母』さんの悲鳴が聞こえてきそうな・・・
「だったら進みながら全部もらってきましょ。ここってもう来れないかもしれないし。さあほら、カルアも見てないで一緒にやる!」
僕も参加が決定しました。
「何だテメ」
「作業の邪魔よ」
「スティール」
「おいコ」
「消えて」
「スティール」
時々現れるマサとかサブには即退場してもらって。
剥ぎ取り作業は順調に進む。
あれ? 何だか楽しくなってきた?
「ん? これって扉なのかしら?」
アーシュが見つけたのは、透けそうなくらい薄い紙を木の格子に貼った板?
「これは引き戸かな? よし、まるごとゲット」
張り切るノルト。とっても楽しそう。
消えたその扉の向こうにいたのは、ビックリ顔した雑魚リン。
「ナナナ、何だてめえラ!?」
懐からチャカを取り出してこっちに向けて、
「壁に穴が空いたらどうするのよ!!」
「チャカ『収納』、で『スティール』!」
そして部屋の中のアレやコレやも、もちろん全部収納。
部屋はお洒落なダンジョンの壁打ちっぱなしにリフォームされました。
こんな感じで結構進んできたんだけど、ここって何かちょっと雰囲気が違う?
今いる小部屋には何も置いてなくって、その奥の壁に大きな扉がついてる。
「前室? ならこの先は・・・あ、倉庫か! お宝たくさんあるかしら?」
うっきうきのアーシュ。
「それ! 根っこっそぎっ、根っこっそぎっ、根っこっそぎっ」
ちょっとテンションがおかしいワルツ。
「ここもちょっといい雰囲気だね。部屋ごと持って帰ろうか」
冷静に見えて実は今一番お持ち帰り熱が高いノルト。
「質の良い武具などがあればいいのだが」
こちらは本当に冷静なネッガー。安心する。
そして扉を開けると・・・
そこはやっぱり倉庫だった。ってもの凄く広い!
部屋中に立ち並ぶ棚には、たくさん陳列された武器、武器、武器・・・
大きなチャカや小さなチャカ、長いチャカや短いチャカ。
もうチャカチャカチャカとチャカだらけ。
あとは・・・鞘に入った、剣かな? 細くて少し反ってるけど。
他にもよく分からないものがいろいろと・・・
「うん、素晴らしいよね。これならきれいに棚ごと収納できるんじゃない?」
やっぱり持ち帰る気まんまんのノルト。
「んーー、この棚って、共有ボックスの一回分の大きさを越えちゃってるかも・・・ここのは僕が持ってくよ」
空間把握して、部屋全体を指定して・・・収納っと。
これでこの倉庫もすっきりシンプルなお部屋にリフォーム完了!
「じゃあ次行くわよっ!」
足元に転がる倉庫番雑魚リンだけをその場に残して、僕たち『お持ち帰り隊』の旅はまだまだ続く・・・
そしてとうとう最後の部屋。ボス部屋。
ここをクリアすればもとの場所に戻れるはず!
部屋には当然扉が付いてるけど、もう僕達に『扉を開ける』という意識はない。
だって、扉だってお持ち帰りの対象だから。
「『収納』!」
そして突入。
「オヤジ! 奴らとうとう来やしタ!」
「分かっとル! ゆけぃマサ! お前がワシの最強の鉄砲玉ジャ!」
「ヘイ、オヤジッ! ウオオオオォォォ!!」
「スティール」
ドタッ・・・
「今のが母が警戒しとった能力、カ・・・。 こうして見ると恐ろしいもんじゃノウ」
こいつ・・・
今のでスティールを確認したのか・・・
「フンッ、あんたがここのボスね? 今の呼ばれ方からすると『オヤジゴブリン』ってところかしらね」
オヤジゴブリン・・・
確かにがっしりした体格で、ちょっと風格みたいなのもあるかも。
アニキにオヤジ・・・もしかしてここのゴブリンって超大家族だったりとか?
「威勢の良い小娘じゃノウ。その通リ、ワシがここのボス、『オヤジゴブリン』ジャ。貴様らはワシらの『地上大侵攻』を阻止しに来た冒険者かノ?」
地上大侵攻? そういえば、誰か他のゴブリンもそんな事言ってなかったっけ?
「『地上大侵攻』? 何よそれ?」
「それこそが母より賜りし我ら地下ゴブリンの悲願ジャ。ニンゲン共を駆逐して地上を我らの物とすル。貴様らもここに来る途中に見ただろウ、母が産み出したあの大量の武器ヲ! 無限に生まれる手下共があの武器を持チ、それを率いるこのワシが地上の王となるのジャ! あれほど大量の武器があれば、ニンゲン共などあっという間に――」
「ああ、あの武器だったらあたし達が全部貰っといたわよ?」
「――滅ぼして・・・何?」
「だから、あの倉庫の武器は根こそぎ貰っといたわよ。あそこはもう空っぽ。武器はひとつも残ってないって言ってんのよ!」
あらら、オヤジゴブリンの顔がみるみる真っ赤に。
もしかして凄く怒っちゃってる?
って、血が無いのにどうして赤く・・・魔力が赤くなってるとか?
「ナナナ、何じゃト!? 今すぐ返セ! この盗っ人どもガ!!」
「ふん、そんな物騒な話を聞いたら返す訳が無いでしょ! それにあたしたちは泥棒じゃなくって冒険者よ! 覚悟しなさい! 後はもうあんたを倒せば全部お終いなんだから!」
そう、僕たちは冒険者! お持ち帰り隊は単なる副業さ!
「む、この気配・・・カルア、この部屋のものを全部収納するんだ!」
え? まさかのネッガーからお持ち帰り指示?
今日からお持ち帰り隊がメインに!?
「生意気な小娘メ、じゃがそう上手くいくかナ。ここにいるのがワシだけじゃと――」
ネッガーのリクエストに応えてスッキリリフォーム。
「収納」
ってあれ? その後ろから・・・もう1匹!? うそ!?
「――いつから勘違い・・・って何ジャ!? 部屋が急ニ・・・ム、センセイ!?」
「オレの気配を感じとり部屋を丸裸にしたカ。 どうやら中々の戦士がいるようダ。オヤジ殿、一宿一飯の恩義、今こそ果たさせて貰おウ」
油断した!
ちゃんと俯瞰してれば隠れている事に気付けたのに!
「まあ1匹増えたくらいどうって事無いわ。こいつらも『アニキゴブリン』と大した違いなんて無いでしょ。さっきのあの戦法で2匹まとめて仕留めるわよ!」
「気を付けろ。多分あいつらは相当強いぞ。結界に閉じ込めるのは難しいかもしれん」
「それなら大丈夫、結界に閉じ込める方法がもうひとつあるんだ。あのさ・・・」
凄いよノルト! ビックリ作戦第2弾!!
「それならやれる! 完璧な作戦だよ!!」
「さっそく開始よ! 行っちゃえカルア! 部屋ごと全部で!!」
「うん! 部屋全体に『結界』!!」
ゴブリン達を僕らごと結界に閉じ込めて・・・
そこから結界を小さく!
「今よ!」
「『転移』っ!」
小さくなった結界の外に、僕達だけ転移!
さらに結界を縮めれば・・・
「やった! これで後はこいつらをやりたい放題出来るって事ね!」
「おおお、ノルト参謀、天才軍師」
「ああ、本当に凄いな」
うん、本当に凄い作戦だよ!
これでもう勝ったも同然っ!!
なのに・・・
『クックックッ、この程度で閉じ込めたつもりカ?』
「なっ・・・何強がり言ってんのよ! 空間ごと閉じてるんだから、転移でも出来ない限りそこから出られないわ!」
「いや、ちょっと待ってアーシュ。何かおかしい。何故あいつの声が聞こえる?」
「えっ!?」
結界は空間ごと閉じるから、音は外には届かないはず。
『ワシはこの隠れダンジョンのボスとして、母と繋がっておル。だからワシの声は母を通して貴様らに届くのジャ!』
「ふ、ふん! そんなのネタが分かれば大した事無いわ! 結局あんた達がそこから出られない事には変わりないじゃない!」
『そしてワシには日に一度、特別に許されている事があル。母よ! 『ルール変更』ジャ! 今からこの部屋を『時空間魔法無効』フィールドとすル!』
オヤジゴブリンの声を受けてダンジョンの壁が光を放ち・・・そして、ゴブリン達を閉じ込めていた僕の結界が消滅した。
「嘘おっ!? そんなのってアリ!?」
「さテ、出られたゾ? じゃあ次はワシらの番じゃナ・・・ハッ!!」
オヤジゴブリンとセンセイゴブリンが揃って魔力を纏い・・・
「こっ、これは!?」
それを見たネッガーが硬直した。
「ネッガー? あいつらの強さ、分かる?」
「あ、ああ・・・オヤジゴブリンはゴブラオより少し弱い程度、そしてもう1匹のセンセイゴブリンの方は・・・ゴブラオよりも、かなり強い!」
「嘘・・・」
「オヤジゴブリンだけだったら何とかなるが・・・アイツは・・・」
「くっ! それでもやるしかないわ! 全員スーツ着装! 短期決戦よ!!」
「「「「「オーディン!!」」」」」
ってあれ? 着装出来ない!?
あっそうか! 着装も時空間魔法だから・・・
「何か知らんガ、どうやら手は尽きたようじゃノ。ならばそろそロ、行くゾ」
「ならば戦士ヨ、お前はオレが相手をしよウ」
ネッガーにセンセイゴブリンが襲いかかり、僕達にはオヤジゴブリンが。
まずい、完全に分断された!
僕達も何とかオヤジゴブリンの早さにはついていけるけど・・・
こっちの攻撃が相手に当たらない!
「くっ! 撲撲棒!」
やっぱり取り出せないか・・・
くそっ、何で最初から出しとかなかったんだ・・・
「なら『火山弾』! これも出ない!? まさかここの床、石じゃないの!?」
「『火球』っ!」
「ぬるいワッ!」
アーシュの白い火球もオヤジゴブリンの魔力の鎧を貫けない。
「直接、凍り付け」
「効かンッ!」
「ならば錬成で!」
「そんなものワシの魔力デッ!」
錬成も魔力の鎧で弾かれて・・・
なら!!
「うおおぉぉぉぉぉぉっ! 身体強化だあぁぁぁっ!!」
全・開っ!!!!
「ヌオォッ!? 何ジャ、この急激なパワーアップはア!?」
これなら一気に手数で相手を圧倒して・・・
通用してる! 戦えてる!! よし、ここからっ!!!!
「センセイ、頼ムッ!」
「お任せヲッ!」
センセイゴブリンがネッガーを弾き飛ばして僕の方にっ!?
「ホホウ、中々のパワーとスピードだガ・・・それだけだナ!」
「何をっ!」
「技術がなイッ! 戦術がなイッ! 美しさがなイッ! ただただ未熟ッ!」
何度も殴られ、蹴られ、壁に飛ばされ、地面に落ちたところで・・・僕の身体強化は終わった。
くっ、急いで回復・・・あれ? 出来ない!? 何で!?
そして・・・
「きゃっ!!」
「むぎゅー」
「うわっ・・・」
「がふっ!」
みんなも・・・すぐそばに飛ばされてきて・・・
「サア、己の罪を悔いるがイイ。全員まとめて消し飛ベッ!!」
僕達の目の前に魔力の塊が迫って・・・
「ピノさん・・・・・・・・・ゴメンな、さぃ」
ドグアァァァァァァァァァァンッ!!!!!!
「間に合ったーーーーーーっ!!」
カルア達の前でその身を盾とし、その両手から放った魔力弾により迫り来る敵の魔力弾を破壊したピノ、いや銀色の戦士ルピノス!
「ホホウ、アレを止めるとは中々やるナ。貴様何者ダ?」
「黙れゴブリン。貴様などに名乗る名など・・・私は持ち合わせていない!」
「何だと生意気な奴メ! ならばそこの小僧どもと一緒に死ぬがイイ!」
標的をルピノスに変え、襲いかかるセンセイゴブリン。
カルア達の前に立つルピノスは避ける事が出来ない。だが!
「ルピノス・ナッコー!」
鈍く輝く愛のナックルダスターをその右手に握り締め、凄まじい速さの正拳突きをセンセイゴブリンに叩き付ける!!
ドゴォッ!!
「ガブァッ!?」
完全なカウンターを受けたセンセイゴブリンは、倍の速さで真後ろに撥ね飛ばされ、そして壁に激突!
「グフッ、ガフッ、ゴフッ・・・ク、何だ今のハ・・・全く見えなかったガ・・・」
「私は貴様を許さない! この程度で済むと思うなよ」
「クッ、まぐれ当たりの一発デ・・・調子に乗るナ!!」
「貴様程度いくら倒したところで調子になど乗れん。自惚れるな」
「何だトッ!?」
「言った筈だ。私は貴様を許さないと。ただ・・・それだけの事だっ!」
そう叫び、立ち上がったセンセイゴブリンに激しく迫るルピノス。
「くらえ! ルピノス・ナッコー! これはカルア君の分!」
「ゲボァッ」
「これはカルア君の分!」
「ブフォアッ」
「これはカルア君の分!」
「グハアッ」
「これはカルア君の分!」
「ボバァッ」
「これはカルア君の分!」
「ベルォッ」
そして、
「あとこれは・・・当然カルア君の分だっ!」
「ドブワァァァァッ!!」
ドサッ・・・
そしてその鈍く輝く目はオヤジゴブリンに向けられ・・・
「ヒイィィッ」
「ツギハオマエダ・・・」
「ヒウッ・・・」
白目を向いてその場に倒れるオヤジゴブリン。
その場でピクピクと痙攣している・・・
「こいつを倒さない限り扉は現れない仕様か・・・ならば」
そう言ってルピノスは体の前で、左手に見えない鞘を持ち右手でその柄を掴むようなポーズ。そしてまるでそこから剣を抜くかのように右手を動かし、
「ルピノス・ブレード」
しかし、そこに現れるはずだった光の剣は姿を現さない。
「これは・・・そうか、奴ら時空間魔法無効フィールドを。それでカルア君・・・」
そしてピクピク動いているオヤジゴブリンを見下ろし、
「やはり到底許せるものではないな。ならばせめて・・・カルア君の糧となりなさい」
そう呟き、カルアのもとへと歩いていった。
うう・・・ん・・・あ、れ?
「大丈夫か、カルア君?」
え? 銀色の・・・誰? それに・・・ああっ! ゴブリンたちは!?
「大丈夫! カルア君、もう大丈夫だ! ここにいた連中は倒したから」
え? 倒した? あんなに強い・・・ゴブリンを?
「ああ、私が倒した。だから安心してくれ。君達はもう、大丈夫だ!!」
そう・・・ってみんなは!?
慌てて見回すと、
「みんな気を失っているだけだ。あの敵を相手によく・・・君の仲間は、強いな!」
「はっ、はい! みんな・・・みんなすっごく凄いんです!!」
「ははっ、そうだな。さて、それで敵のゴブリンだが、実はまだ死んではいない。だから、奴等に君のスティールを試してみてくれ」
「は、はい・・・あっ、いやその、僕スティールは・・・」
絶対秘密に!
「ふふふ、気にする必要はない。私はクーラさんとモリスさんに頼まれて来た者だ。君の事も当然すべて知っている。大丈夫、私は君の味方だ」
「あはい・・・すみません、そうだったんですね。分かりました。でも・・・」
みんなをこのままにしておく訳には・・・
「大丈夫だ。彼らはすぐに処置が必要な状態ではない。それよりも君が時空間魔法を使えるようにするのが先だ。そうすれば、『回復』も『復元』も使えるようになるだろうからな」
「ああ、そっか・・・」
回復が使えなかったのは、これも時空間魔法だから・・・
よし!
まずはセンセイゴブリンから・・・
「スティール」
あれ? ダメだ・・・
「ん? 失敗か?」
「ええ。何故か発動しなくって」
「発動しない・・・もしや時空間魔法無効フィールドが?」
あ・・・
「そうか、聞いた事があります。スティールは時空間属性のスキルだって」
「そういう事か・・・その身をカルア君に捧げる事すら出来ないとは、この害虫どもが・・・」
あれ? 何だろう、この人ちょっと怖い? 寒い・・・?
「ああ済まない。別に君に怒っている訳じゃないんだ。そうか、あんな連中でもせめて君のスティールの進化に役立てばと思ったんだが、残念だ」
「あ、スティールだったらここに跳ばされる直前に進化しました!」
「そうか! そうか、よかった・・・本当に・・・」
あれ? 何だろう、すっごく喜んでくれてる。
今は怖いっていうより・・・何だか安心する感じ。
まるで・・・ふふ、ピノさんと一緒にいる時みたいに。
「ならこいつらはもう用済みだ。ちょっと待っていてくれ。すぐに片付ける」
そう言って銀の人は――あ、まだ名前聞いてない――センセイゴブリンのすぐ横にしゃがみ、その左手を・・・
ん? 左手? この人って左利きなの? いや、右手には何かを握ってるから、そのせいかな。あれって・・・ナックルダスター?
ピノさんにプレゼントしたのとよく似てるけど、あれってナックルダスターとしては普通の形だから、それも当然だよね。
で、左手を抜き手みたいにしてセンセイゴブリンの胸の上に・・・
え!? 今一瞬手が・・・って魔石持ってる!?
「ふむ、なるほど。すっごく速く取り出せば『魔石抜き』の真似事くらいは出来るか」
なんて耳を疑うような事を呟きながら、今度はオヤジゴブリンにも同じ事を。
「この魔石とゴブリンは君達が持っていくがいい。ここを発見したのもここまで踏破してきたのも君達だからな」
「え? でも・・・」
「気にする事はない。私はすでに十分な報酬を手に入れている。そのうえ君達の上前をはねるような事はしたくない」
「はい・・・そういう事なら・・・いただきます」
「うん、それでいい。こういう時は素直が一番だからな。さあ、仲間達を回復して、ここから出よう!」
そう言って銀の人が指差す奥の壁には・・・扉が!
やった! これで帰れる!!
で、みんなを回復して、少し待ってたらみんな気がついて・・・
「ううーーーん、って、敵っ!!」
「むむむ、わたし、生きてる?」
「くそっ、俺とした事が戦闘中に気を失うなど!」
「うわわああっ!!」
そして僕と銀の人でもう終わったって説明して・・・
「あ・・・あのっ!」
「アーシュ?」
「お、お名前を・・・あなたのお名前を、教えていただけますか?」
あ、そうだ。僕も聞きたいんだった・・・
「私か? わたしの名は『ルピノス』! 主に愛の戦士だ!」
「主に愛の戦士ルピノス様・・・・・・・・・すてき」
「ん? 今最後に何か・・・いや気のせいか? まあいい、それではみんな帰ろう。あの扉から帰れるはずだ!」
ルピノスさんか・・・なんて凄い人だろう!
本当にありがとう、ルピノスさん!!
帰ったらピノさんにたくさん話をしよう。僕達の大冒険の話を。
そしてもちろん・・・僕達を助けてくれたルピノスさんの話も!!
さあ! それじゃあみんな、帰ろう!
そして、僕達が扉をくぐると・・・