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スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました  作者: 東束 末木


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セカンケイブ出発前の出来事です

今日は座学の最終日、試験の日。

その試験は午前中のうちに全部終わり、

「うん、みんなよくがんばりましたー。結果はー・・・全員合格でーーっす!」

「よおっし!!」

「ふふん、当然ねっ!!」

「やったあぁ!!」

「ダンジョン、ふぉー」

「っよし!!」


でも実はそれだけじゃなくって、座学が不得意だったワルツとネッガーは、この特別授業のおかげで、なんと座学が得意科目に。

やっぱりレミア先生ってすごく凄いかも。そしてやっぱり謎。



「みんな久しぶり! どうやら全員無事合格したみたいね」

歓声のなか教室の扉が開き、そこに姿を見せたのはクーラ先生。お久しぶりですっ。

教壇に向かって歩くクーラ先生は一瞬レミア先生と微笑みを交わし、そのレミア先生の横に立つと、僕たちに向かって話し始めた。


「という事で、今からはレミア先生に代わって私の出番。じゃあ早速今日これからの予定を伝えるわよ? まずはこの2週間のみんなの特訓の成果を見せてもらうわ。みんな、すっごいメンバーから集中指導を受けてたって聞いたわよ?」


すみません・・・

僕はギリー係とネッガーの応援でした。

あ、あと気配察知をほんの少々。


「そのあと外でお昼ご飯を食べてから、ダンジョン攻略の装備や消耗品類の買い出しよ。今回は授業の一環として行くから、費用はすべて学校が負担する事になってるの。今日のお昼ご飯も費用に含めていいって話だから、合格祝いと景気付けって事で豪勢にいきましょ」

「「「「「やった!」」」」」


「あとひとつ連絡事項。明日からあなた達を連れてダンジョン攻略に行く訳だけど、ダンジョンは森とは危険度が全然違うわ。そこでの指示は何よりスピードが大事。だから今日からはあなた達に『君』とか『さん』は付けないから。みんな、いいわね?」

「「「「「はいっ」」」」」

「よし、じゃあ技術実習室に移動するわよ。私に見せてちょうだい、あなたたちのこの2週間の成長を」



今回はチーム戦闘とかじゃなくって、ひとりずつ順番に成果を披露する事に。

「じゃあ最初はあたしが行くわ!」

ってアーシュが見せてくれた魔法は・・・なんと全属性!

アーシュ、ついに全属性魔法師になるっ!

しかも、別々の属性の組み合わせまで出来るようになってて、二度ビックリ!

ワルツの「水」+「冷却」みたいな感じで組み合わせてたんだけど・・・

でも「光」+「水」+「風」で虹を作り出すとか、意味が分からないよ。


「じゃあ次は僕かな」

ノルトは土魔法を強力にしてきたんだって。

やっぱりダンジョン攻略だから戦闘力重視で強化してきたのかな。

「穴! 壁! 沼! 火山弾!」

一瞬で落とし穴!

的のすぐ前に石壁が出現!

的の周りが泥沼に!

溶けかけの溶岩で的を集中砲撃!

ノルト・・・この2週間でパーティ最強戦力に!?

ちょっ校長先生! これ軍事的脅威レベルじゃない!?


「わたしの出番。アーシュ、よろしく」

「ああアレやるのね。了解よワルツ」

そしていつものように魔法で水を出し・・・え? なんか多くない?

コップ2杯だったのがバケツ2杯くらいになってるよ?

それが大きな岩みたいな氷になって的に・・・え? その下の地面にめり込んだ?

狙い外れちゃったのかな? でもワルツもすご・・

「激☆加熱」

「障壁ぃっ!!」

ドガアアァァーーーン!!!!

アーシュが張ったらしい大きな障壁の中で、とんでもない大爆発!?

そして地面に残る大きな穴・・・

きゃー校長先生! これ絶対軍事的脅威レベルっ!!


「さあ、次はカルアね。どんな凄いのを見せてくれるか楽しみだわ!」

ややや、ヤバイヤバイヤバイ!

ここまでハードルが上がったところで僕!?

僕「気配察知」だけなんですけど!? しかもネッガーの超劣化版なんですけど!?

ああっ、ワルツ、お願いそのキラキラした目はやめて!!

どうしよう、最近僕が出来るようになった事って・・・

なんかないか、なんかないか、なんかないか、なんかないか・・・

あっ、ひとつだけあった! もうアレでいいやっ!!


そして取り出した1匹の金属バット。

「解体」

「ブロック」

「スライス」

「ミンチ」

そう、これはバーベキューの会場で解体班の人たちがやってた金属バットの解体ショー。

あれをオリジナル錬成で再現したんだけど・・・


「ええっと・・・食肉加工魔法・・・なんてね・・・あははは」

ひいいぃぃぃーーーっ

この冷えきった空気・・・これまでの盛り上がりが嘘みたいに静かに・・・

ってワルツ? トコトコ近づいてきて、僕を見上げて・・・ナニ、カナ?


「カル師、わたしの、お婿さんになって下さい」

「は?」

「なんでええええぇぇーーっ!? ちょっとワルツ!? おおお、お婿さんって、いきなり突然何がどうしてどういう事よ!?」


うん・・・ホントに・・・


「どういう事も何も、今の魔法、レストランの為にある魔法。だからわたしと一緒にレストラン。カル師とわたしなら世界を獲れる。わたしもカル師と一緒が嬉しい」


いや・・・そんな・・・予想外すぎるってワルツ・・・

それに僕・・・ピノさん・・・


「ダメよワルツ! だってカルアは・・・カルアは・・・その・・・あたしと・・・」

「大丈夫。答えは今すぐじゃなくていい。カル師も今大変なのは知ってる。だからそれが終わってから。答えもその時でいい。わたしは重荷にならない女」


そう言い残して、僕が何か答える間もなく、ワルツは後ろに下がって。

ああああ、さっきまでよりももっと空気が・・・


「ええっと・・・つまりカルアが実演したのは、物語とかに出てくる『魅了』魔法って事でいいのかしら?」

「ちっ・・・違いますよぉぉ・・・」





ヒトツメギルド受付カウンター。

ピキーーン! ピキキーーン! ピキピキピッキーーーーン!!

「何っ!? この胸騒ぎ、まさか事案発生っ!?」

ガタッ

「どっ、どうしたピノの嬢ちゃん!? 発生って・・・まっ、まさかスタンピードでも起きるってのか!?」

ガタタッ

「何ぃっ!?」

ガタタタッ

「スタンピードだとぉ!?」

ガタタタタッ

「大変だ! ギルマスを呼べぇ!!」


突然の緊急事態!?に騒然となるギルド内。

ハッと我に返り、ひたすら彼らに平謝りするピノであった。

「すみませんすみません違うんです何でもないんですっ! ・・・・・・カルア君、あとで訊かせてもらうからね!」





「さて、じゃあ最後はネッガーね。最強職員直伝の『気配察知』、見せてもらおうじゃない」

獰猛な笑みを浮かべるクーラ先生。

やっぱり弟子の成長が一番気になってたんだろうなあ。

「はい、よろしくお願いします」

対するネッガーも獰猛な笑み。これって師匠譲り?


そして始まる、師匠と弟子の対決っ!

頑張れネッガー、君の成長は僕がずっと見てきたんだ。大丈夫、君はすごく強くなった。

だから君のその力を・・・

超パワーアップした君の力を・・・

クーラ先生に、そしてみんなに・・・見せつけるんだっ!!

そしてっ・・・


さっきの僕をみんなの記憶から消し去ってくれっ!!

頑張れネッガーーーーっ!!!!



「時間を掛けるつもりはないわ。一段階めは最初から解放していくわよ」

その言葉と同時に身体強化を開始するクーラ先生。

「一段階で・・・足りますかっ!!」

「!?」


クーラ先生に答えながら攻撃に移るネッガー。

身体強化直後のクーラ先生の一瞬の隙を見逃さなかったみたいだ。

展開した気配察知と視覚強化のおかげで、今なら僕にも何とか見える。感じ取れる。


「ちょっ、うそっ、まっ!?」

クーラ先生が体勢を整えようとすると、それを先読みしたネッガーが今度は逆方向から崩しにかかる。辛うじて避けたクーラ先生の反撃は、挙動を察知したネッガーにその芽を摘まれ、逆にカウンターを狙われる。

一旦離れようとバックステップすれば、低空から同速度で詰めてきたネッガーの追撃を受け、ここまでクーラ先生はまったく自分のペースに持ち込む事が出来ていない。

そして近距離での激しい打ち合い躱わし合いが始まり、ネッガーの初めてのクリーンヒットがクーラ先生に入るかに見えたその瞬間・・・


ボムッ!!

空気が音を立てて爆発した。



衝撃で後ろに飛ばされるネッガー。

そしてその爆発の中心地には、仁王立ちするクーラ先生の姿。

その雰囲気は・・・


「確かに随分成長してきたようね。そう、これが最強職員の戦い方か・・・。いいわ認めてあげるネッガー。あなたはこの2段階め(・・・・)に相応しい相手だと。そして、私の力を全身で感じ取りなさい!」

その言葉に呼応するように、ネッガーの全身から(ほとばし)る更なる魔力!

「まだだ! まだ終わらんよ!!」


「ふふっ、2段階めを出してきたか。流石に勝負どころは分かってるわね。でもっ!」

そして、一切の予備動作を見せずネッガーの前に移動したクーラ先生。

・・・この速さ・・・今完全に見失った!!


気配察知でクーラ先生の猛攻を捌き続けるネッガー。

しかし、その体勢は徐々に崩れ・・・ガードした場所に攻撃は来なくて・・・その逆への連打を浴びて・・・吹っ飛ばされたと思ったらその後ろに先回りされて・・・そこから空中に突き上げられて・・・あとはもう・・・ああ・・・・・・


そして身体強化を解いたクーラ先生。

その前に転がるネッガーは・・・ピクリともしない。

そんなネッガーにクーラ先生は優しく微笑み、


「強くなったわねネッガー。まったくビックリしたわよ、まさかこんなに早く2段階めを使わせられるなんてね。でもまだまだ。気配察知からの動きが反射的過ぎるわ。だからフェイントへの対処でだんだん追い付かなくなったのよ。ま、魔物はそうそうフェイントなんか使わないけどね。あとは・・・もっと速くもっと強い攻撃に対応出来るよう、力と速さを上げなさい。以上よ」


「あ、ありがとう・・・ござい、ました・・・がふっ」

あ、ネッガー意識あったんだ。よかった。

「カルア回復お願い。いやー思ってたより強くなってたから、ちょっとムキになり過ぎちゃった。てへっ」


ああ、これは確かにちょっと・・・ってこれ中回復が必要な大ケガっ!!

「てへっ」ってレベルじゃないって・・・


そして回復―ダンジョン行く前だから復元にしたけど―が済んで起き上がったネッガーは、すっごく晴れやかで満足げな表情で。

そっか、一度は追い詰めて2段階めも解放させた訳だし、達成感を感じてるんだろうなあ。

よかったね、ネッガー。

そしてこれならきっと、みんなの記憶も上書きされて・・・


「ワルツ、おそろしい子・・・」

・・・されてなかった。



「よし、じゃあみんな、片付けて町に繰り出すわよ!!」

「「「「「おおーーーっ」」」」」


片付け・・・って、この穴だらけでボロボロの実習室の・・・片付け?

「さあカルア、ノルト、あなた達の見せ場よ。『土魔法』でさくっとやっちゃって」

はい、ですよねー。

あ、でもこれくらいの範囲と時間だったら、それよりも・・・


ちょっとだけ魔力循環を速めて、

「『復元』!」

のほうが簡単だよね。

はい、元通りっと。

「「「「「・・・・・」」」」」


「はぁ、あたしたちも随分進歩したと思ってたけど、結局あんたの魔法が一番・・・ここまで来るともう、『とんでもない』を通り越して『インチキ臭い』のよねえ」


それ絶対褒めてないよね、って言うか僕の魔法って「インチキ臭い」の・・・?




そして僕達は街へ。

最初はもちろんお昼ご飯から。

「どこに行くかはお楽しみ。まあ私に任せなさいって」

そういってクーラ先生が連れてきてくれたのは、

「あれ? このお店って」

「ふふ、流石にアーシュは知ってるか。ちょっと前にベルマリア家で立ち上げた店だものね。・・・さあみんな、このお店よ。その名も『英雄の食卓』。何とここは、カバチョッチョの物語に出てくる街の『名物料理』を出してくれる店なのよ!」


なっ何ですと!? そんな夢のようなお店があったなんて!?


「お昼の時間を過ぎたから、そろそろ()き始めた頃ね。今だったらそんなに待たずに食べられるでしょ。さあ入るわよ」

そして僕たちは店に入り、空いているテーブルへ。


メニューには食べた事の無い料理の名前が色々並んでるけど、

「一番上に書いてあるこの三品が『名物』の代表格と言われているの。初めて来たのなら、まずこのどれかから選ぶ事をお勧めするわ」

ってみんなでそれを選ぶ事に。


「じゃああたしは『とろろ汁セット』にする」

「む、俺は『蒲焼きセット』だな」

「僕も『とろろ汁セット』かな。山の幸って事で」

「ならわたしは、海の幸。『焼蛤セット』」

うーん、僕は・・・

「よし、『蒲焼きセット』に決めた」


「うん、全員決まったわね。すみませーーーん!」

「はーーーーいっ、ただいまーっ」


そして注文したのがすべて届き、みんな揃って

「「「「「いっただっきまーーーす」」」」」



蒲焼き、とっても美味しかった。

他のもすごく美味しそうだったから、次はピノさんを誘って一緒に来ようっと。



お昼ご飯が終わり、次は必要なアイテム類の買い物。

「そう言えばあなたたち、フタツメまではどうやって行くつもりでいるの?」

「ああ、それだったらあたしが馬車を手配してあるわよ」

「「「「えっ!? アーシュが馬車!?」」」」


(よみがえ)るパーティ会場までの思い出。

あの緊張しか無かった、まさかの王宮馬車の思い出。


「もう何よ!? この間のはちょっとしたサプライズ! 今度は普通の馬車に決まってるでしょ!」

「だよね、よかったぁ・・・」

「だから乗り物は大丈夫よ。馬車だから移動時間の暇潰しでも考えましょ」


「あ、だったら『転移』で行くとかは?」

「そんなのダメに決まってるじゃない!」

「ええ、どうして?」

「決まってるでしょ。それじゃ『冒険者らしくない』からよ。そう思わない?」

「う・・・思う」

「でしょ。せっかくなんだから、冒険者らしくいきましょ」


不意にクーラ先生がおかしそうに笑い、

「ふふふ、これだけ無茶苦茶な魔法を使う子達が『冒険者らしく』って・・・」

「・・・クーラ先生の身体強化も大差無いと思う」

「「「「確かに!」」」」

「ええーー、私ってそう認識されてるの?」

「だってあの反則級の強さ・・・十分おかしいよね?」

「「「「うんうん」」」」

「ううーー・・・でも・・・ちょっと反論できないかも」

そして撃沈した。



そんな話をしながら到着したのは、街の中心からちょっと離れた場所にある、すごく大きな道具店。

「ここはよく使われるいろんな道具を有名工房ごと数種類ずつ揃えているお店よ。各工房の製品から自分に合いそうなものを選べるし、あちこち回らなくって済むからってここで一通り揃える人も多いの。その代わり特殊な仕様の尖った製品とかは扱ってないけどね」


ほえぇぇ、このお店面白い!

あっちもこっちも道具だらけで、見てるだけでワクワクするっ!


「足りないものを買うのはもちろんだけど、古くなってきてたり壊れそうなものはこの機に買い換えておきなさい。自分の身を守る為の物だし、ダンジョンの中で買い換える事なんて出来ないんだから。それに、なんたって今回は『学校のお金』で買えるチャンスよ! こんなサービス滅多に無いんだからね!」



「携帯食は軽くて歩きながらでも食べれるようなものが人気よ。でもあなた達って『ボックス』を持ってるから重さとか関係ないし、結界を張っちゃえば魔物の群れの中でもゆっくり食事できるのよね・・・うーん・・・」

「とりあえず3日分くらい買っとく? 足りなかったら一度ダンジョンを出てまたここに転移して来ればいいんだし」

「あれ? 『冒険者らしく』は?」

「ふふん、ひとつの事にばかりこだわっても仕方ないでしょ」



「照明とかは・・・アーシュが光魔法を使えるのか。でもまあ魔力切れのタイミングで必要になる可能性もあるからね。ランプとか古かったら新調しておく? あ、でもセカンケイブって確か一部区間を除いて発光壁で明るかった気が・・・」

「一応最新機種とか見ておこうかしら。それを見て考えましょ」



「テントとかはモデルチェンジで軽くなったり設営が簡単になったりするのよね。あなた達だったら3人用テントふたつよね。そのあたりのサイズのをチェックしてみましょう」

「うん、ダンジョン以外で使う時には防水性能とか高いほうが絶対いいし、最新モデルを見てみようよ。まあでも重量とか設営の簡単さは、設営した状態でボックスに入れちゃえばあまり関係ないかもね」

「・・・」



「回復薬・・・あなた達って全員『回復』が使えるのよね。しかもカルアはバカ魔力のうえに『中回復』も・・・。うーん、持っとく必要あるのかしら?」

「お守り代わり? 家内安全?」

「ワルツ・・・」



「鞄・・・鞄かあ。あ、でもダンジョンによっては戦闘中の魔法の鞄とか収納の使用を妨害する部屋があったりするのよね。だから必要最小限のアイテム類を用意する鞄は持っていた方がいいわね。でもあまり大きいと結局使わなくなっちゃうから、入れる物を厳選して出来るだけ小さい鞄を選ぶといいわよ」

「おおー、なるほど!」

「ん? それって『ゲート』の収納も妨害されちゃうのかな・・・?」

「『ゲート』って、そんなお伽噺の・・・ってまさか!?」

「イイエツカエマセンヨ?」

「・・・あぁぁぁぁ」



「おお、わたし、これ欲しい」

「なになに? へえ、クッションか」

「ああ、確かに馬車での移動だと欲しくなるよね」

「あら、それだったら防水付きのを選ぶといいわよ。頑丈なのだったら屋外でちょっと座る時とかにも使えるから」

「んー、それだったら魔石でコーティングして・・・あと温度調節とか固さ調節とか・・・ああ、高さとかも出来るかな・・・他には・・・」

「ちょっとカルア!?」

「もし錬成で作るとしたら・・・ああ、木からの錬成で・・・やわらかい材質に変化させれば・・・綿みたいな感じ? いや空気の入った小さな袋の集合みたいな構造にすれば・・・でもそれには粘度が・・・まてよ、魔石を混合すればいけるんじゃ・・・」

「ちょっとノルト!?」



「あとは外套とかも持っていたほうがいいわね。寒い時とか雨が降った時とかに羽織れるように」

「うーん・・・ねえカルア、あの温度調節付きの風を纏うのって、雨とかは防げないの?」

「んー、今のままだと無理かなあ。あ、でも頭の上に雨を防ぐ界壁を展開するだけだったら少ない魔力で出来るかも」

「じゃあそれ付けといて」

「りょーかーい」

「あなた達って・・・」



「あら、こんなところにも『魔石抜き』って売ってるのね。魔道具店にしか無いものかと思ってたわ。せっかくだからあなた達も買っておきなさい」

「ああ、それだったら全員持ってるから大丈夫よ。ちょっと事情があってお祖母様に持たされているの」

「ならいいか。・・・でもその『事情』っていうのは絶対私に言わないでね」



「さて、こんなところかしら・・・しかし全然お金使ってないわね。携帯食の追加を考慮しても、まだ半分以上予算が残ってるわよ? どうしようかしら・・・あそうだ、じゃあ服と靴を見に行きましょう。これだって重要な装備だものね。ああ、そう言えば服装のイメージを揃えてるパーティも時々見るわね」

「何それ、すっごくいいかも! うちも採用するわよ!!」

って事でオーディナリーダ公式冒険服(ユニフォーム)をみんなで選んで・・・



「よし、じゃあ買い出しはこれで終了ね。これで後は出発を待つだけ。出発は明朝8時、集合場所は学校でいいわね。いい、遅刻は厳禁。もし遅刻したら置いてくからね! ってワルツとノルトとネッガーは寮だから遅刻しようが無いし、カルアは転移でいつでも追い付けるし、アーシュが来ないとそもそも出発出来ないし・・・なんだか締まらないなあ」



こうしてついに、僕達のダンジョン攻略(引率付き)が始まる!




・・・その前にピノさんの「事情聴取」を受けました。

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