東海林彰
「えー、そこでナポレオンは言いました。ん? こら! 岡三太郎!」
「先生!」バッ! 居眠りしてた太郎は飛び起きた。
「間もなくバイクで暴走族な不良達が校庭に侵入します! 校門を閉じて下さい!」
と、助言したが。
「なぁに、言ってる。この時代に暴走族なんて存在が絶滅危惧種じゃないか」
と、なるのか。では。
「えー、そこでナポレオンは言いました。ん? こら! おかさ」
「先生! トイレ!」
「わかったわかった。行ってこい」
ダダダッ。太郎は走った。校門を閉める為だ。能力者と言えど、いろんなタイプがいるのはわかっていただけただろう。しかし、機械や兵器の前には無力な一般人と変わらない能力者もいるのだ。幸い、この高校は出入り口の校門は一つだ。守衛さんが一人常駐しているが、説得できると太郎には【見えて】いた。
「着いた!」守衛を探す。
「こらこら! 授業中だろ!」
「あ、守衛さん! 校門を閉めて下さい!」
守衛さんも能力者だ【シンパン】と言って、嘘か真か見抜ける。発動条件は太郎と同じく見ること。但し、一人ずつしか見えない。太郎より弱い【魔眼】の能力者だ。
「ふむ、バイクで暴走か。それはちと厄介だな。わかった! 校門を閉めよう!」
「ありがとうございます!」
「いや、やっぱりこのままでいい」
「えっ!」
しまった! ここにいたのか。ガリ勉の不良達のリーダー。【東海林彰】。
「間もなくここにボクの能力で思考変更されたカスどもがお前を倒しにやってくるよ」
ブオン、一唸りしてから大型バイクが大量に押し寄せた。だが、法定速度の倍でも太郎にかすり傷一つ付けれない。そして、バイク旋風が収まった時、不良達は倒れた。
「な、なぜだ!?」
驚いたのは東海林。そう太郎には【見えていた】どこをどうすれば不良達が倒れるか。それはバイクを狭い空間に押し寄せた事で起こった必然だった。簡単に言うと【バイク酔】したのだ。
「おぇー」「ゲホゲホ」と、不良達は戦闘不能。
「もしもし、警察ですか? 実は……」太郎はスマホで警察を呼び、警察が来て、不良達は捕まった。
東海林はと言うと逃げていた。狭い住宅街へ。
「冗談じゃない! なぜだ!」
「とんだ失態だな東海林」
「あ、【ボス】! 聞いてくだ……ぅ」ボコン!
ボスと呼ばれた謎の大きな男は拳を東海林の頭へ振り下ろした。
「これはイエローカードだ。次失敗したら……」
「う、ぐ、わ、わかっています! 大丈夫ですあの高校は必ず始末します!」