始まりの話5
銃を握りしめ村に侵入した二人は村の広場に焼け焦げた遺体が積み重なっているのを見つける
ある程度覚悟はしていたとはいえ、悲惨な光景に絶望せざるを得なかった
よく見ると村から街への道路に向かって車輪のあとが見えた
かなり深く跡がついていたことから何かを大量に運んでいたことが伺えた
彼らが被害確認をしようとしたとき、晴がどこかからする物音に反応した
誰かが家探しするような物音は彼らから見てちょうど右手にある家―――
簡素に言えば村の食料品を扱っている店の方から聞こえた
晴は手で軽く合図し、店の入口を見張れる位置に有生も連れて隠れた
ライフルの安全装置はとうに外し、いつでも撃てるように構え〈誰が出てくるか〉を注意深く見つめていた
店から出てきたのは獣人だった
何かを言っているようだったが聞き取れずとりあえず銃を向けて様子をうかがうことにした
しばらく様子を見ているとなんとなくではあるが単語単語を聞き取ることができた為、ざっくりとした様子が判明した
端的に言えば、既に襲撃は終わっていた
かの獣人は家探しをしていたため取り残された
彼ら獣人は馬車のようなものを使っているため移動が早く、既に遠い場所にいるであろう
ということが理解できた
一体何人が犠牲になったのだろうか、近隣の村も襲撃にあったのであろうかなど晴の頭の中を思考が巡った
その時、隣にいると思っていた有生がいないことに気がついた
すぐに視界を動かして探し始める
すると彼は獣人に忍び寄っていた、既に目と鼻の先だった
手には狩りでは滅多に使わない手斧を持ち、表情は怒りに満ちていた
一瞬どうするか戸惑った、獣人を撃って排除するか?なにか注意をそらさせるか?
その迷いの間に有生は魔族に襲いかかっていた
その手の斧は見事に魔族の首をはね、息の根を止める―――
それと同時に有生の首が弾け飛んだ