変わらナイ日々
義父の部屋はきっちりと片付けられており
おそらくは襲撃の際にナイフを取り出した棚のみが乱れている状態だった
あの日以来、自室以外には足を踏み入れておらずどこか懐かしいような―――
そんな感覚を味わっていた
「この部屋、実は一つ足りないんです…わかりますか?」
マチャの問いに答えるため、少しあたりを見回す
弾倉の抜かれた小銃、いくつものナイフ、マチェーテ、ランプ―――
一通り目を通してふと気がつく
「親父の銃がない」
足りなかったものは義父、つまりは黒宮源一郎の愛銃
狩猟ではほとんど抜かない半分趣味の領域であった拳銃であった
リボルバーと呼ばれるタイプのものだった
「あたりです、実はメンテナンスも兼ねて預かっておりました」
そう言ってマチャはきれいな一つの箱を取り出した
黒塗りの木箱には鍵がかけられており、おそらくは夕食の際に差し出してきた鍵で開けるのであろうと予想がついた
「箱の中に、銃があるのか?」
と確認をするとマチャは頷いたあとに
「ソレに加えてお手紙を預かっております」
と返し、箱を晴に差し出す
晴は持っていた鍵で箱を開ける
中にはきれいに手入れをされたリボルバーが収納されており、蓋の裏地に"二通"の手紙があった
手紙を手に取り、驚愕する
義父以外の手紙の差し出し主、それは婚約者からだった
おそらくは無自覚であるが晴の体が震えていた
何が書いてあるのかと恐れをなしていたのかもしれない
なにかとんでもないことが書いてあるのかもしれない
そんな気持ちに震える晴をみたマチャは一言だけ
「明日、様子を見に来ます」
ソレだけ言い残し晴の家をあとにした




