変わらなイ日々
マチャは数日間世話を焼いてきた
どれ、道具は足りていますか?だの調味料は私が用意しましたよ!だの
しまいにはおそらく旅路で使うであろう燃料までふんだんに提供してきた
お代を支払おうとすると徹底的に拒否をし、せいぜいその日に狩ってきた肉の一部を受け取るだけだった
次第に晴は不思議になった
そもそも二、三日滞在して去っていくマチャはどうしてこんなに長居をしているのか
普段の商いの話はせず、まるで家族のように自分と生活し食事をともにするのか
とある日の夜、聞いてみることにした
食事を用意し、マチャを呼ぶ
無骨なステーキにかぶりつくマチャに話を切り出した
「なぁ、なんでずっとここにいるんだ?」
マチャは食事の手を止め少し困ったような顔をすると
「ええと、やはりお邪魔でしたか?」
と聞き返してきた
その問いに首を横に振ることで答えると、マチャはぽつりぽつりと話しだした
他の村は全て全滅していたこと、いつものルートで周る予定だった村で唯一この村のみ生存者がいたこと
その生存者の表情はまるで亡者のように気迫もなく、ただそこに存在しているだけだったこと
「その生存者は…俺のことか」
という晴の問いに頷くマチャ
「なんとなく、捨て置けなかったんですよね 実際仲の良かった村の方々ですし」
と涙声になりつつもマチャは話した
しばし泣くマチャを晴はただ見つめることしかできなかった
ふと、マチャが思い出したかのように鍵を取り出す
「あなたのお義父さんの部屋にある金庫の鍵です、あなたはそれを見なくてはいけない」
先ほどと打って変わって強い言葉で晴に差し出した
「少なくとも、これを見届けてもらわないと帰るに帰れないんです」
あまりの気迫に押され、晴は義父の部屋へ足を踏み入れた




