転職サイトで聖女を募集していたので面接に行ってみたら地獄でした
「自分が聖女として採用されるべき理由を述べてください」
私は何をやっているんだろう。
転職サイトで転職先を探していた私は、『聖女募集』という求人を見て、応募をしてしまったのだった。
ほんの出来心。
応募したって面接に進むことはないだろうという楽観論が生んだ悲劇。もしくは喜劇。
だって、私の隣に座っている一人目の回答がこれだ。
「私は高校生の頃、異世界転移して聖女として世界を救ったことがあります。その経験は必ず御社でも役に立つと思います」
現実でこれは痛すぎるでしょ。厨二か。
面接官のスーツの男性3人は真顔で頷いて聞いていた。
「どのようにして世界を救ったのですか?」
一番右側のバーコードハゲの面接官が彼女に質問した。
「一度聖女の偽物だと言われて追放されたんですけど、流れ着いた村が居心地良くて手伝っている内に魔王様から求婚されて魔王の妻として世界を統一しちゃいました」
なろう系かよ。
「わかりました、次の方どうぞ」
次の方、私。
え、この流れで?
突然の流れに私の頭は軽くパニックになってしまった。
「……どうしました?」
「むしろ、御社が私に選ばれるべき理由をお聞かせください」
私は面接最大の禁忌を犯してしまった。
質問に質問で返す禁忌。
しかも上から目線。
面接官3人は見るからに動揺していた。
「我が社は」
左側の面接官、残念な雰囲気のするイケメンが口を開いた。
「聖女派遣業界で最下位の座に甘んじています」
「瀬良、よせ」
「いえ課長、正直に言うべきです。今回もダメだったらもう会社を閉じるって。最後の予算を振り絞って求人を出したんじゃないですか。我が社には今、我が社を救う本当の聖女が必要なんです!!」
イケメンが泣いている。真剣な話なのだ。
突っ込みどころが多すぎて私は全然泣けないし感動できないけど。
「申し訳ありませんが、私は聖女経験もないですし、聖女らしいことをしたこともありません。私は御社にふさわしくないと思います」
言った。
すがすがしい気分だった。
面接官は3人とも呆然としている。
「失礼します」
私は席を立ち、面接室を出て、そのまま帰路についた。
こうして私の転職活動一社目は終わった。
3日後、面接官のバーコードハゲが家を訪ねてくるまでは。
「我が社に聖女として入社していただきたい! 貴女こそ真の聖女!」
「やです。なんでですか」
「他は大手に採用されてしまったんです」
「なおさらいやです。口説くならせめてイケメンの方が来なさいよ」
千字でまとめるって大変ですね!
展開、描写、台詞、いろいろ工夫しないとまとまりません。表現上どの記載が必須で、どの記載がなくても影響しないのか、いい勉強になりました。
現在連載中の物、よかったら読んでってください。
○追放された伯爵公子は、超文明の宇宙要塞を手に入れました。
https://ncode.syosetu.com/n5606gg/
○異世界転移して初日に殺されてしまった俺は
https://ncode.syosetu.com/n8845ge/