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ポンコツ生産系チーターの助手  作者: 助手の助手
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研究費

「ハヤシ君。何か僕に言うべきことはないかね。」


「何の話ですか?」


「僕に謝罪すべきことがあるのではないかと言っているのだよ。」


「ミツクニ君に謝られることは幾つか思いつきますが、ミツクニ君に謝らないといけないことは思いつきませんね。」


「しらばっくれるのかい。僕が何も知らないとでも思っているのかな。魔道具の収益のことだよ。」


「分かりませんね。何が言いたいのですか?」


「僕は今日、タニヤ食堂で魔道具屋の男と会ったのだよ。男の話によれば、君は僕の大切な魔道具を売り払って私腹を肥やしているそうじゃないか!」


「はぁ~ぁ。溜息しか出ませんね。」


「何か反論はあるかね?」


「反論ですか。特にありませんね。魔道具を売り払っているのは事実です。」


「開き直る気か!僕がその気になれば独立して巨万の富を築くことだってできるのだよ!」


「なるほど。そう唆されたのですね。どうぞご自由に。」


「なななっ何だその態度は!そこは待ってくれと縋るところだろう!」


「縋って欲しかったのですか。私にその必要はありませんよ。」


「出っ、出て行っちゃうよ?いいの?」


「どうぞ。」


「引き留めるなら今だよ?今だよ?」


「ミツクニ君が独り立ちしたいのなら止める気はありません。」


「僕出て行っちゃうのかな?何処に行けばいいんだろう?」


「知りませんよ。ですがそうですね。もう気付いたと思いますが、君はその男に騙されたのですよ。」


「騙された!?」


「この工房は誰が準備しましたか?」


「ハヤシ君。」


「税金や維持費の支払は?」


「ハヤシ君。」


「研究費は?」


「ハヤシ君。」


「ミツクニ君は開発した魔道具を売ってお金に変えることが出来ますか?」


「できません。」


「代わりに売って研究費を出してあげているのは?」


「ハヤシ君。」


「総合して、ミツクニ君が好きな研究に打ち込めるのは誰のお陰ですか?」


「ハヤシ君です。すみませんでした!どうか僕をここに置いてください!そして好き勝手研究させてください!」


「同郷の好ですからミツクニ君が望むなら構いませんよ。それにしても、私は元々街中に工房が持てるほど稼いでいて、スラムにいたミツクニ君を拾い上げたのではないですか。ミツクニ君が居なくなっても困らないと分からなかったのですか?」


「その男がハヤシ君は僕の魔道具を勝手に売りさばいて稼いでいるって言ってたから。」


「男の名前は聞いたのですか?」


「聞いてないけど魔道具店で働いているって言ってた。」


「名前も知らない男の言うことを真に受けたんですね。ミツクニ君は騙されやすいようですから今後は気を付けてください。」


「肝に銘じます!」




 ミツクニの魔道具は珍しい上に高機能な物が多いので販売額はかなり高い。その男はミツクニを独立させて自分と組ませようと思ったのかもしれないな。だが、ミツクニの研究は趣味にはしり過ぎていて売れない物も多く、売れるものだけ上手く売りさばいても研究費の捻出がやっとな状況だ。金儲けに偏重した者と手を組まされれば好きな研究はできなくなるだろう。


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