守護者
…見た目はモンスターではなさそうだよな。
けど、人ならこんな所まで来れないよな。
さすがにLv80以上のモンスターがウロウロしているであろうこのダンジョンを89階まで登ってくるなんてまず無理だろ。
となると、あれは人型のモンスターかここに住んでいる人…いや待てよ?
このダンジョンが出来たのは最近だ。
つまり人が住んでいるはずがない!
そもそもこんな所に住むとか神経疑うわ!
あれ?
ブーメランぶっ刺さった気がする…
…とりあえず鑑定しとくか。
「鑑定」
鑑定の結果は…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鑑定が妨害されました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…あ、これやばいやつ」
俺が鑑定をしたのと同時に人影がこちらを向いた。
フードを被っているので顔は見えないのだが、視線があった…ような気がした。
次の瞬間、俺は反転し全力で逃げ出す。
「ーーーー!ーーー!」
人影が何かを叫んでいるが何を言っているかは全くわからないので走り続ける。
それに対して人影がとった行動は…
トラップに落ちていたゴーレムを転移させ、追いかけさせるというものだった。
トラップにいたはずのゴーレムが一瞬で穴の外に現れたのだ。
あの人影のせいに決まっている!
それでも俺は諦めずにダンジョンを駆け回ったが…
終わりの時がやってきた。
一直線の通路で2体のゴーレムに挟まれたのだ。
「終わったなぁ…」
ゴーレムが徐々に近づいてくる。
どうせなら一思いにやってほしいものだと思っていると、ゴーレムがピタリと止まり後ろから例の人影が現れ何かを口にする。
「ーーー?ーー…ーーー」
人影は言葉を喋っていたが…
もちろん何を言っているかはわからない。
しばらく人影が何かを喋っているのを聞いていると、何かのスキルの効果だろうか?
断片的にだが、人影が話していることがわかるようになった。
「なんでここにーーが?…まさかーとーーー?それともーーーーなのか?」
うーん…わからん。
とりあえず、話さえ出来れば何とかなるかもしれない。
さっきから言葉がわかるようになったのはスキルのおかげだよな?
明らかに取得が早すぎるけど…
確認すればわかるだろ。
スキルを確認してみると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・大陸共用語Lv1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おそらくさっきの言葉が大陸共用語なんだろう。
とりあえずレベル上げるか。
俺は残っていたスキルポイントを使い、探索共用語のレベルを2に上げる。
すると、何となくだが共用語の話し方がわかる。
単語がわかる…と言った方が正しいかもしれないが。
とりあえず話してみるか。
「…私、紡木、貴方、誰?」
仕方ないだろ?
初めて触れる言語なんだし…
伝わればいいんだよ!
伝わるかはわからないけど…
「今、喋ったか?…もう一度言えるか?」
よし、行けそうかも!
言葉もさっきより聞こえるようになってる!
「私、紡木、貴方、誰?」
「私は世界樹の守護者レイ・フィルベンスだ。紡木、お前はどうしてここにいるんだ?」
世界樹の守護者?
人かどうかはわからないが、声からすると男のようだ。
で、どうしてここにいるかか…
「木、成長、ここ、来た」
「…すまないわからないな。こちらの言葉は理解できているようだが、話すことは苦手なのか。…仕方ないついてきてくれ」
フードの男はそう言って歩き出す。
俺はゴーレムがいるため逃げ出すこともできず、大人しく男について行った。
口調などから察するに、そこまで悪印象は持たれていないようなので殺されるなんてことはない…はずだ。
しばらく男について行くと、この前見つけたものと同じような扉があった。
男は難なくその扉を開けて中へと入って行く。
扉の中は大きな広間になっていて、中心には巨大なゴーレムがいた。
「こんなゴーレムがいるとか…さっきこいつに見つかってなかったら詰んでたな…」
…これ聞こえてたらやばいんじゃね?
「何か言ったか?」
あぶねっ。
「いいえ」
これ共用語のレベル高くなった時に何か言っちゃいそうで怖いから気をつけとかないとな…
男はそのゴーレムの横を素通りし、奥にあったドアも開けて進んでいく。
ドアの先には階段があり、その階段を登った先には…
木造建築が立ち並ぶ街が広がっていた。
その光景を目にし動きが止まった俺に男が語りかける。
「私の街へようこそ、紡木」
とりあえず区切りまでかけたので、ここまでの書き直しをしようと思います。
2日程で戻ってくるはずですのでよろしくお願いします。