プロローグ
初投稿!
タイトルは仮なのでいい案があれば感想欄やメッセージ等で送っていただけるとありがたいです。
「お、新刊出てる」
書店に小さく声が響いた。
男の名前は木暮 紡木。読書が趣味のどこにでもいる高校生だ。
「他の本は…出てないかー、残念」
そう言って俺は店をぶらぶらと歩き回る。
面白い本がないか探しているのだ。
しばらく店の中を歩いていたが、どうやら面白そうな本はなさそうだった。
「じゃあ帰るか」
そう呟きレジに行き店員に本を渡す。
「660円です。カバーをおつけしますか?」
「大丈夫です」
財布を取り出しお金を払う。
「丁度頂きました。こちらレシートです。ありがとうございました」
レシートを受け取り、俺は店の外へ歩き出した。
◇◇◇◇◇
家に帰っている最中に鳴き声が聞こえてきた。
「僕の風船ー!!うわぁぁぁああん!!」
「たいくん泣かないで?風船はまた買ってあげるから、ね?」
どうやら少年が風船を手放してしまったようで、街路樹に風船が引っかかっていた。
うーん…あれぐらいの木なら登れるか?
一日一善って大事だよな。
そう考え俺は少年に話しかける。
「よーし、風船取ってくるからちょっと待ってろよ」
少しいきなりすぎるかもしれないが、まあいいだろ。
「ぐずっ…おじざん誰?」
「通りすがりのお兄さんだよ」
「…ぼぐの風船取ってぐれるの?」
「おう任せろ!…取れなかったらごめんな?」
「すいませんありがとうございます」
俺が少年に話しかけているのを見た母親が感謝の気持ちを伝えてくる。
「いや大丈夫ですよ。急いでるわけでもないですしね」
そう言って手に持っていた本を置き木に登り始める。
しばらく手がかりを探し、ちょうどいいでっぱりを見つけると一気に体を枝の上へと引き上げる。
「よし、後は風船を取るだけだ!」
登った枝の上でバランスをとり、体を傾けて風船に手を伸ばす。
「もうちょっと…よし届いた!これお願いします」
無事落下することもなく風船を手に取り下にいる母親に手渡す。
そして木の下に降りようとした時に異変は起こった。
グラグラグラ…
俺が登っていた木が揺れ始めたのだ。
「地震!?いや、周りの木が成長してるんだ!!」
理由は紡木が登っている木が急激に成長したことだった。
成長前はせいぜい2メートル程の高さだったが、今は3階程度の高さはあるようだ。
そんな状況の中、俺は木に捕まりながら
「せめて本を取らせてくれっ!!」
と叫んでいた。
我ながら楽観的すぎるだろ…
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