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風魔小太郎対服部半蔵

「うううー、離れろ!そのお方からすぐに離れるのだ!」


本多忠勝は叫びながら庭から部屋の中へ飛び込もうとするのを、井伊直政は必死に背後から忠勝を抱え抑えていた。


「本多様、冷静に。落ち着いてください。」


「これが落ち着けるか、おい、そのお方に何かあってみろ。貴様ら手足をもぎ取ってくれるわ!」


井伊直政は忠勝を抑えながら冷静に侵入者に問いかけた。


「何が望みなのです。我々は刀を置きます。抵抗はしません。逃げたいのなら人質を解放していただければ追うのをやめましょう。どうされますか?」


風魔忍びは一人が徳姫の喉に刃を当て、もう一人が信平を抱いていた。


「大崩で風魔忍びの腕利きを討った者の名を教えろ。」


直政はわからなかった。そこに真田昌幸がやってきた。


「ほう、北条の忍びか。ここまで入り込むとはあっぱれである。ところで、そのお方達は武田家にとって大事なお方。返しては頂けぬか。」


「返して欲しくば問いに答えよ。誰だ、風魔小太郎を討ったのは?」


昌幸は驚いた。大崩で楓が死んだ事は聞いていたが勝頼が討ったのが風魔小太郎だとは知らなかった。小太郎といえば神出鬼没な風魔の棟梁の名前だ。恐らく勝頼も殺したのが小太郎だとは知らないだろう。


「うーむ。そもそも風魔小太郎という物を武田家の者は存じておらん。ただ、強い敵を斬った者なら知ってはいるが。」


「誰だ?」


「名を教えれば人質を解放するか?そなたらの安全は保証する。」


「この女と赤児は誰だ?」


「徳姫様と信平様だ。そなたらには荷が重いぞ。」


風魔忍びは、さて、これは拾い物だ。徳姫は正室、となればこの赤児は勝頼の子だろう。だが、確かに荷が重いかもしれん。成り行きに任せる事にした。彼らは城に侵入して隠れ、情報を取る事が目的であり、戦闘はそれ程強くないがすばしっこい。機会があれば逃げおおせる自信があった。


「そうか。それは大事なお方だな。無事に逃げれれば解放しよう。で、風魔小太郎を倒したのは誰だ?」


「お屋形様だ。」


「!!!」


そうか。それではこの赤児は許せぬな。さてどうするか。







その頃、勝頼は清水港へ向かっていた。 船を見ている怪しい連中がいたという情報が入り服部半蔵とその配下を連れていた。


「どうもおかしい。戦力が分散させられている。何かの意志に引っ張られているようだ。」


勝頼は大きめの独り言を言った。それを聞いた半蔵は、


「それがしも感じておりました。ですが、今の武田家は大国。この程度では何ともありますまい。それよりもお屋形様のお命を直接狙う者が出るのではと危惧しております。」


「その為にお主らがいるのであろう。周囲の警戒は怠るなよ、領地とはいえ敵の間者は入り込んでいるゆえな。」


清水港には巡洋艦 楓が3隻埠頭につながれていた。他の船は九州と常陸へ輸送船の護衛、造船所へ補給に行っていた。

港で船を見ていたのは風魔である。五人の風魔忍者は合図の狼煙を上げた。するとと沖から小船が近づいてきて、楓に侵入しようとした。北条水軍の生き残りである。護衛に兵がいて、争いとなったが、風魔忍者の苦無に倒れ海へ落とされた。

北条水軍は楓一隻を奪い沖へ出ようとした。そこへ勝頼ら30名が現れた。


「む、お主は?生きていたのか。いや、確かに斬った。」


「ほう、ではお主がか。あえて名乗ろう。私は風魔の小太郎という。名を教えてもらおう。」


「勝頼だ。そうか、双子なのだな。」


まさか、武田勝頼が兄者を殺したのか?顔を知っているのならば間違いはないであろう。ここで討つか?敵の数が多過ぎるし本当に兄者を殺したのなら相当の手練れだ。今は勝てまい。


「兄者の仇をとりたいところだが分が悪そうだ。今日は引こう。」


と言いながら、火薬玉を投げてきた。素早く避けリボルバー雪風を連射したが、当たらず、楓に乗り込まれた。楓の艦板は10mはある。逃すか!と半蔵と五人の忍びも楓に飛び移った。

艦板上で戦いが始まった。


水軍の衆は、手漕ぎで楓を沖へ出そうとしていた。楓には足漕ぎスクリューが付いていたがそれが何か彼らはわかっていなかった。船がゆっくり進んで行く、その艦板上では忍者どうしの戦いが行われていた。海上では忍法はほぼ使えない、肉弾戦+飛び道具の争いが繰り広げられ、配下の忍びは皆が倒れ半蔵対小太郎の一騎打ちになっていた。


お互いに動きは素早い、半蔵が苦無を投げては隙を見て忍び刀で突っ込む。小太郎は交わしながら忍刀で受ける。小太郎は懐から火薬玉を出し半蔵の足元へ投げ、爆発で半蔵が後ろへ飛ぶ事を想定して、位置を推測して苦無を投げる。半蔵はそれを読み、後ろに下がるのではなく苦無を避けながら前に出て小太郎を斬ろうとする。小太郎は何とか刃を受ける。と、その時半蔵の背中に苦無が刺さった。

小太郎の苦無はブーメランのように反転して半蔵の背中を捉えたのだ。しかも苦無には毒が塗ってあった。

半蔵がうっと呻いた瞬間、小太郎は勝ったな と一瞬気を抜いた。その時半蔵の足から刃が飛び出た。

勝頼が半蔵にプレゼントした仕込み靴である。靴底に刃が仕込んであり、20cm程の刃が敵を襲う。

小太郎の足を切り裂いたが、半蔵はそのまま海へ落下した。


勝頼は沖の戦いを見ていた。残っている者に海へ落ちた半蔵の救出に向かうよう指示をした。

半蔵も心配だが、楓を取られた事が悔しかった。警備が甘過ぎたか?まあ盗まれた楓は充電切れてるし、補給前だからさほど脅威ではないか、と思いながら駿府へ向かった。駿府の騒ぎを勝頼はまだ知らない。


盗まれた楓は沖へ出て小田原へ向かった。





大崩の造船所。ここにも風魔は現れた。お市を尾行しそこに何かの建物がある事を見つけた。ここで前回風魔が敗れた事を彼らは知らない。

森には忍びが作ったと思われる無数の罠があり、道路は一本道。武田の秘密がここにある可能性は高い。小太郎はここには何かがある、と忍者の勘で風魔忍者30名を投入していた。ここでも戦闘が起きるのである。





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― 新着の感想 ―
[良い点] いくら話のためでも、流石にどこもかしこも忍者にやられすぎではないかな。。
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