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黒田官兵衛は佐々木さん

ある日の夜、勝頼はお市の部屋でまどろんでいた。


「そういえば徳様が懐妊されたとか。やっぱり若い子の方が気合が入るのでしょうね。」


「いや、そんなことはない。たまたまだよ。お市といる方が安らぐし。」


「ふーん、そういう事にしておきますか。ところで凄い船を作ったとか。」


「ああ、戦艦駿河に駆逐艦清水に、あと小型の鉄甲船も作ったよ。毛利にも織田にも負けないやつ。」


「小型船は名前付けてないの?」


「名前?付けてあるよ。小型船は、巡洋艦で武沙威(ムサイ) って言うんだけど。」


「え? まさか………。小型船からさらに小さい船が出てきて、それが 小武沙威(コムサイ) じゃあないよね?」


「え?………………………… (何でわかった) 」


こんな平和な日が続けばいいんだけどね。





黒田官兵衛、この時は小寺官兵衛と名乗っているこの男。そう、あの有名な秀吉の軍師になる男である。この時はまだ、播磨の国の豪族、御着城主小寺氏に仕える家老である。

小寺家では、織田に味方するか毛利に味方するかで家臣が割れていたが官兵衛の押しで織田に味方する事になった。

その結果、官兵衛は織田信長に会うために姫路を出て岐阜へいくのだがまず近江へ向かった。そう、近江には沙沙貴神社がある。

小寺に仕えるため小寺姓を名乗っているが、元々の姓は黒田である。近江の黒田に住み着いた佐々木家が黒田を名乗ったのが始まりで、実は佐々木源氏の本流なのだった。


官兵衛は、祖父から聞かされていた沙沙貴神社を訪れた。深い意味はなかったが、近江へ来ることはあれば寄ってみたいと思っていたのである。

そこで、沙沙貴綱紀と出会った。


「もし、小寺様ではないですか? それがしは沙沙貴綱紀と申す者。織田信長様にお仕えしております。」


「そうですか。ここは沙沙貴神社で間違いないでしょうか?」


「はい、ここは佐々木家の発祥の地でございます。」


「ところでなぜ私の名をご存知なのでしょうか?」


「信長様のご命令で播磨へ訪れた事がございます。その時にお顔を拝見致しました。」


そうか、こいつ間者なのだな。織田家は毛利周辺の国衆を調べているのだろう。


「小寺様はなぜ沙沙貴神社へいらしたのです?」


「小寺は今名乗っている姓ですが、本来は黒田なのです。」


「なんと!それでは小寺様は佐々木源氏の本流ではありませぬか。これも何かの縁。それがしが岐阜城までご案内致します。」


綱紀は、近江であった浅井家滅亡の話や織田家の重臣の話をしながら岐阜へ向かうと、よりによって前から羽柴秀吉が現れた。


「そのお方は、どなたじゃ?」


綱紀は秀吉が好きではない。好きではないが、相手は重臣。


「播磨の小寺官兵衛様でございます。殿にお会いに行かれるそうです。」


播磨の官兵衛だと。秀吉はにやりと笑い、


「そうであったか。それならばそれがしがお連れ致そう。小寺殿、羽柴秀吉と申す。よろしく頼み申す。」


これが、羽柴秀吉と黒田官兵衛の出会いであった。



沙沙貴綱紀は、秀吉は相変わらずむかつく奴だったが、同じ佐々木源氏の官兵衛に会えて嬉しかった。

織田は今後毛利攻めに向かうであろう、又会えるだろうと思っていた。





戦艦駿河は、海路を九州へ向かっていた。勝頼との定期更新は四国が見えた頃途絶えてしまった。電波は堺位までしか届かないようだ。


「四国か、帰りに寄る予定だが海から見る陸は不思議な感覚だな。陸から海を見るのとは一味違う。」


昌幸は大友宗麟との会談の後、四国の長曾我部のところへよるつもりでいた。毛利には、まだこの船は見せたくなかった。


「何事もなく九州へ着くな。」


こちら側には異常はおきなかった。が、常陸へ向かった船団は、北条水軍とぶつかった。


北条の船は木造船20艘。漁を兼ねた訓練中だったが、突然現れた船団に驚き戦闘を仕掛けた。水軍の領地は海である。領海に現れた未知の船は敵である。


北条の船は武田の船に近づいて乗り込む作戦だった。武田の船団を囲むように近づいてきた。


「土屋様、どうなさいますか?」


「お屋形様から北条へは遠慮するなと言われている。殲滅する。」


小型船、勝頼曰く巡洋艦 武沙威(ムサイ) は北条の船に向かって桜花散撃改をぶっ放した。敵船の上で爆発した手榴弾の中から飛散する小型手裏剣。敵兵を直撃し戦闘不能にしていく。


「沈めた方がいいのでは?」


と曾根が土屋に向かって言うと、


「初戦闘なのですよ。遊ばせてください。」


と嬉しそうに、船員に命じた。


「 富士、武沙威(ムサイ) は敵船に向けて砲門を向けよ。撃てー、」


砲台から発射されたのは直径20cm程の鉄球である。勢いよく発射された鉄球は木造船の側面を直撃し、砕き穴を開けていく。

その穴から海水が浸水し、船は瞬く間に沈んでいく。一瞬で20隻の船は全て沈没してしまった。


「しまった。別の砲弾の試験ができなかった。弱すぎるな、木造船は。」




北条側では船が帰ってこないため、事件となっていた。結局船は戻らなかったが天候も良く遭難したとも思えない。北条氏政は配下の忍び、風魔小太郎に調査を命じた。











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