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初陣の報告

勝頼は古府中に躑躅ヶ崎の館で信玄にお目通りを申し出た。部屋に入るなり、


「この小童めが、大将は自ら手を出すものではない。背後に構え采配を振るものだ。」


いきなり怒鳴られた。あれ、見てたの?


「余の忍びから聞いた。一歩間違えたら命を落としているところだ。こんな戦で命を落とされたら死んだ湖衣姫に顔向けができん。」


その後も説教が長々と続いた。


「二度と自ら前に出ないと約束しろ、そうでなければ従軍はさせん。」


えー、それじゃあ折角鍛えた甲斐がないじゃん。どっかの3倍速い赤い人みたいに、


自らも強くて采配も振る人になりたかったのに。


「承知しました。二度と前に出ないと誓います。槍を持つときは攻め込まれた時のみと致します。武田の名に恥じぬよう行いを改めます。ところでお屋形様。」


「まて、勝頼。聞きたい事がある。忍びが申すには何やら不思議な道具を使っているらしいが、何なのだ?夜なのに火も使わず急に明るくなったそうだが。」


「電気の力を使いました。お屋形様に差し上げるべく持参致しました。」


一度でも使えばどっかから情報は漏れる。特に間者がうじゃうじゃいて見てるし、今回も父上が心配して間者に見張らせていると思ってたから、電気を使った以上説明の必要がある。しかも急いで。ほう、れん、そうはきちんとしないと、という事で高遠に帰らず古府中に直行したんだけど、やっぱ正解だったね。


「この箱の中に電気が貯まっております。それを少しずつ取り出してこの電球に流しております。雷の小さい物とお考えください。ただ、貯めている電気は徐々に無くなりますので、ご注意を。お入り用なら後で誰かに届けさせます。ただ、これは武田家の物。門外不出でお願い致します。」


あと、箱を運ぶときはひっくり返さない事、中には毒が入っているのでこぼしたら水でよく流すように伝えた。


「父上、それと報告がございます。先日贈呈した、武田1号ですが、今回伊勢守の前では役に立ちませんでした。離れた敵には有効ですが相手が手練れな場合、銃を抜く暇がありませんでした。父上はだいぶお気に入りでよく練習されてるようですが、使いどころが難しそうです。」


「勝頼は色々な物を作るが、誰の知恵じゃ。」


「夢に見るのです。おそらくは諏訪大明神のお告げかと。それを試行錯誤しながら作成しております。」


そう言うしかないもんね。とっても便利、諏訪大明神。


『あんまり褒められると、照れてしまいます。』


あれ、誰の声だ、こりゃ。


「諏訪大明神か。川中島では諏訪勢の活躍で勝ったような物だ。そなたは諏訪の血を引く者。武田家に加護をもたらしてくれているのかもしれん。」


「お屋形様、今、女人の声がしませんでしたか?」


「いや、聞こえんが。」


「???。」


気のせいか。気を取直して、


「お屋形様。武田1号は相手が離れている場合、威力を知っていて怯えた場合は効果はあります。威力は絶大です故。現在20丁作りました。ご重臣の方に贈呈したいのですが。この勝頼、武田家の武将として早くお役に立ちたいのです。」


「ならぬ。敵に奪われたらどうする?」


「簡単には真似できませぬ。それに先程の弱点もあり、実は改良した武田2号の試作を行なっています。次の戦には間に合わせます」


「あいわかった。次に重臣を集めて軍議を行う際に出席せよ。」


歴史より早く初陣を迎えた。戦にも出れる。三方ヶ原まであと9年。



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