表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/225

信忠の願い

 桃は戊装備のゼータに乗り織田信忠の陣へ行った。信忠は穴掘りに集中している。なぜかここに佐々成政もいた。成政は正門からに侵入に時間がかかると見て嘗ての主人である織田信忠の応援に来ていたのだ。なんせ兵が二万もいる。物凄い勢いで穴が掘られ土が運ばれて行く。掘られた土は高く積み上げられ城から穴掘り進捗が見えないように工夫されていた。すでに正門の辺りまで掘られていそうだ。


「信忠様。大御所の指示で応援に来ました。これで掘ればあっという間に外堀を越えられます」


「信忠様。ならば成政はその穴から侵入して城内を撹乱致します。桃殿でしたな、その機械を貸していただきたい」


 佐々成政がとんでもない事を言い出した。桃は、


「いや、佐々様。それは危険です。万が一敵が待ち構えていた場合、このゼータ戊装備は武器がない上に装甲も薄くひとたまりもありません。それに操縦できないでしょう?」


「それは例の変型とやらはしないのであろう。ただ真っ直ぐに進みそのドリルとかいうやつを回せばいいのならばさほど難しくはないのではないか?わしの部下にも器用な者がおる。そいつに操縦を教えてくれ。どうもここにいると感覚がおかしくなるようでな。何でもできる気がしてくるのだ。それに桃殿はここにいてはいかん。そなたにはそなたの」


 信忠が会話に割り込んだ。


「成政の言う通りだが、桃殿。頼みがある。というより桃殿にしか頼めん。彩を、沙沙貴彩を救ってやってくれないか」


「信忠様。何を仰るのかと思えば、それは無理です。あの裏切り者はこの手で殺します。絶対にこの手で」


「彩を縛っていた黒田官兵衛は死んだ。もし彩が迷っているようなら」


「申し訳ありません。わたしには、わたしには………、佐々様。配下の方に操縦を教えます。ここに寄越して下さいませんか?」


 桃は信忠の依頼を断り、逃げるように話題を変えた。冗談じゃない、彩を許せるわけがない。その時、尾張での出来事が頭に浮かんだ。あいつは私を殺せるのに殺さなかった。なぜ?もしかして跳ね橋の足下銃弾もあいつなの?迷っちゃダメ、彩は敵だ。


 佐々成政は部下にゼータ戊装備を操縦させ自分も穴に中に入っていった。桃は行き場を失ってしまった。勝頼はどこへ行ったのか?正門には戻れないし。とりあえず電動台車(デダイ)が集まっている場所へ行く事にした。あそこなら何か残っているかもしれないと。




 大阪城の西側では井伊直政率いる二千と大谷刑部率いる三千がぶつかっていた。直政は駿河茶々(シズオカチャ)を河に多数従えていて船からの攻撃も交え数に勝る大谷勢と互角に戦っていた。そこに本多忠勝隊が加勢に現れた。一気に大谷勢を圧倒し、大谷刑部は討ち取られた。


「直政。このまま城へ向かうぞ。大谷勢が出てきた入り口があるはずだ。船で内堀に侵入組と陸から突入する組に分けて進むぞ」


 西側は武田が完全に制圧した。




 石田三成は帳簿を見て、秀燐丸がまだ5台残っている事に気付き甲賀勢にまわした。そして自らはあの機体に乗り込んだ。外堀の攻防は武田軍が続々と橋を渡り移動式の盾を使いながら内堀に向かって前進してきている。トーチカからは機銃の攻撃が続いているが鉄の盾が頑丈でたまにしか敵に当たらない。あの盾をなんとかしなければと、三成は秀燐丸に特攻を命じた。


 豊臣製装甲車 秀燐丸が猛スピードで盾に突っ込んだ。盾を支えている蝶番は勢いに負けてそれごと倒れた。そこをトーチカからの機銃が襲う。秀燐丸はとにかく盾を倒す事に集中して体当たりを繰り返した。


「倒れた盾を起こすのだ。急げ、うわー」


 兵の掛け声が飛び盾を再び起こそうとするが、銃弾を喰らってしまう。里見勢に続き伊達勢も盾を倒され銃撃を受けている。それを見た後方の蘆名幸村は敵の装甲車の足を止める作戦を指示した。伝令は素早く伊達小次郎に届けられ、伊達軍は盾を細かいパーツに分解を始めた。実は壁と呼ばれる巨大な盾はネジで簡単に組み立て、分解が可能だった。その間も豊臣の銃撃は続く。消耗する中、伊達軍は元は盾だった鉄を装甲車の車輪に絡ませて動きを鈍らせた。そこの長槍隊が車輪に槍を巻き込ませ車輪が回らなくした。動きが止まった秀燐丸の出入り口をこじ開け、中にいた操縦士を討ち取った。


 一気に三千の兵を失ったが、豊臣の攻撃はこれで終わらなかった。再び猿一番があらわれた。いや、前の猿一番とは違う。両肩に砲筒が載っているのは同じだが両腕に刀のような武器を持っている。また、武田軍が前進したからか、内堀の方にある曲輪からの攻撃が届くようになりまたマキビシ手榴弾が空を飛び始めた。幸村は、


「どれだけ蓄えがあるのだ、お幸殿。頼みます」


 と言って兵に道を開けさせた。電動台車(デダイ)に乗ったゼータ丁装備+フルアーマー+色々装備のもう何でもあり伝説龍王Z(ゼータゴーリー)が前面にあらわれた。


 と、その時、地面が地響きとともに揺れた。地震?いや、地下で大爆発が起きていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ