幸村の才能
秋山信友率いる岩村城勢が毛利軍の猛攻を必死に防いでいた時、信平自らが旗本に守られつつ前に出てきた。それにつられて、信平の前に陣取っていた兵も必然と前に押し出された。ただ、そんな中でも訓練の成果か陣は乱れる事なく真っ直ぐ前に進んだ。その兵と兵の間の通路?を走る物体があった。
その物体、今でいうみかん箱位の大きさの箱に龍の顔が乗っかっているように見える。箱には車輪とアンテナがついている。名付けて、小龍王 。簡単に言うと龍の顔が付いたラジコンカーなのだが、時速10km程の速度で信平陣を抜けて岩村城勢が奮闘しているところをもすり抜け、毛利陣へ侵入していった。
「な、なんか来たぞ。何だ?龍、いやカラクリ人形か?」
毛利兵は小龍王 を見て慌てて斬りかかった。が、素早くてあたらない。走る小龍王 に身体ごとぶつかり捕まえた兵がいた。
「こうやるのだ。わしが捕まえたぞ、ん?」
龍の口から黒い水が噴き出した。そう、圧縮空気によって相良油田から汲み出された原油をスプレーのように噴いたのだ。100台の小龍王 は毛利陣のあちこちに散らばり、同じように油をばら撒いた。そして、それを見た信平は
「放てー!」
毛利軍のあちこちに火矢が放たれた。原油に引火し火は一気に爆発的に燃え上がった。火だるまになり逃げ回る毛利兵。また、この攻撃により秋山隊と戦っている毛利軍は炎により分断されてしまい、立て直した源三郎によって全滅した。秋山隊は兵をほとんど失い、秋山本人も重傷を負っていた。
派手な攻撃だったが火が消えた後、結果を見ると武田、毛利共兵を2000人削っただけであった。秀麟丸により劣勢となった信平軍だが、小龍王 の活躍で盛り返した。再びお見合いとなり信平は次に小龍王改 の準備を始めた。そこに福島正則を煙に巻いた蘆名幸村軍が合流してきた。
幸村は、佐々成政と相談し佐々軍を囮に使ったのだ。佐々軍が北側に弧を描くように兵を移動させ、偃月の陣に組み替えつつ福島軍を避けて細川忠興に向かうように見せかけた。それを追って軍を移動させた福島軍の横を擦り抜けたのだ。
気付いた福島正則が兵を戻した時にはもう幸村はいなかった。後を追おうとしたその時、直江兼続が背後に現れ結局諦めた。幸村は戦闘をする事なく、敵陣を通り抜けたのである。
「兄上。源二郎でございます」
「源二郎、どうやってここに?」
「こちらでの銃声を聞き駆けつけました。兄上、よくぞご無事で」
「いや、危なかった。秋山様のご活躍がなければ崩されていたやもしれん。父上が良く言っておられた武田信玄公麾下の将軍は皆素晴らしい。わしなんぞ足元にも及ばん」
「秋山様はご無事で?」
「大怪我をなされた。先陣で槍をふるい敵の進軍を抑えてくれたのだ。今は休まれておる。で、お主はどうやってここに来れたのだ?」
幸村は信平様の前で説明するといい、源三郎とともに信平の元へ向かった。信平は旗本を使い次の攻撃の準備をしていた。信平の前に座った瞬間、愛話勝 から声が聞こえた。
石田三成は、目の前の巨大な兵器、伝説龍王伍号機 相手に一方的にやられていた。五号機は長さ6mもある剣を振り回し、兵を斬る、飛ばすを繰り返している。すでに鉄砲隊は全滅し、矢を射かけるもビクともしない。兵が何人も五号機の足につかまり倒そうとするが逆に振り落とされる。しつこく掴まっている兵は、もう1つの兵器、伝説龍王三号機 のグレートカッターとかいう回転する刀?で斬られる。少しずつ退却しながらだが兵がどんどん減っていった。
その時、突然伝説龍王伍号機の首が吹っ飛んだ。大阪城からの砲撃が命中したのだ。9階の砲台は、怪鳥ギャドンによりほとんどが使えなくなっていたが、西側の一門だけがかろうじて生き残っていた。なんとか一発だけ撃つ事が出来た。右近自らが慎重に狙いをつけ放った砲弾は、見事に巨大ロ◯じゃない、大魔◯じゃない、伍号機の首に命中したのだ。
伍号機は四人乗りだ。左腕係、右腕係、両足係、それと駆動係に別れている。首には人はいなかったが着弾の勢いで首が吹っ飛びそのまま仰向けに倒れた。
「今だ!畳み掛けろ!」
三成の掛け声と共に兵が伍号機の上に乗り、槍や刀でガンガン叩き始めた。
伝説龍王参号機 の操縦士、段は両手にブーメランを持ち交互に投げた。
「起き上がれ像府尹。参号回転翼 」
段は倒れた伍号機の上に乗った兵をブーメランで斬り飛ばした。兵の数は多く切っても切っても現れる。そこに轟音と共に大阪城からの援軍が到着した。装甲車 秀麟丸4台だ。
秀麟丸は伝説龍王参号機 に向かって機銃を乱射した。参号機はその機動性を利用して弾丸を避けようとしたが4台から発射される弾幕を避けられる訳もない。慌てて伍号機が持っていた盾の陰に逃げ込んだ。伍号機の上には石田兵がいる為秀麟丸は発砲を止めた。
「これは不味い。豊臣にあんな武器があったのか」
段が策を考えていると、伍号機が動き始めた。煙突から煙が強くなり上半身が起き上がった。上に乗っていた兵がうわーと落下する。と、盾も動いてしまい隠れるところがなくなってしまった。
「ええい、間の悪い。ダブルスクリューゴーリーパーーンチ!」
両腕から腕が回転しながら飛んでいき2台の秀麟丸に直撃した。この2台は稼働不能となった。残りは2台だ。腕が無くなりブーメランを投げる事が出来ない。ゼンマイで巻き戻している暇もない。あ、これ終わったか?
伍号機が立ち上がった。秀麟丸めがけてロングソードを叩きつける。あっという間に稼働不能に追い込んだ。
伝説龍王伍号機 には受信機が装備されている。その受信機から突然音声が流れた。
「あー、これでいいのか?石田三成が家臣、島左近である。お市様はそれがしがお預かり申した」