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石田三成、龍相手に奮闘するの巻

 勝頼は大阪湾へ向かっていた。


「ぼちぼち仕掛けてくるだろう。読み通りなら狙われるのは信平のところだろうな。問題は風魔だ、どう出てくる?」


 お幸が言った。


「私達が着く前に戦が終わってしまう事は無いですよね。あんなに特訓したのに」


「それは無いな。大阪城はそんなに甘くないし、敵には本多正信がいる。嫌な奴なんだよ、敵に回すと」


「知っている方なのですか?」


「いや、会った事はない。忠勝から聞いたのだ」


 本当は前世の記憶だけどね。前世では大阪城攻めで堀を埋めさせたのは本多正信と言われている。歴史通りなら頭いいんだよな、あいつ。






 石田三成は兵一万を率いて海から1kmのところに魚鱗の陣をひいた。武田軍と同じような鉄の盾を前面に出し、砲撃に備えている。盾の後ろに鉄砲隊、鉄砲隊の間に大砲を5台置いた。この移動式の大砲は射程距離500m、海まで届かすにはさらに前進しなければならない。


 武田軍がまた不思議な物を上陸させたので、様子を見ざるを得なかった。物見の報告によると例の龍らしい。


 伝説龍王弐号機(ゴーリータンク) が前進を始めた。キュルキュルとキャタピラーが回転する音がする。駆動はガソリンエンジンだ。続いて伝説龍王参号機(グレートゴーリー)伝説龍王伍号機(ゴーリーファイブ) がそれぞれ電動台車(デダイ) に乗って前進を始めた。参号機はガソリンエンジン、ゼンマイ駆動、電動を組み合わせている。伍号機は身長8m、その巨大な身体を動かすためにさらに蒸気ボイラーを積んでいる。伍号機が四人乗りなのは駆動系統の操作が大変だからだ。


「殿、武田の龍が前進を始めました」


「わかった。大砲の前の盾をずらせ。砲撃用意」


 右近は武田の龍なんぞ大砲で吹っ飛ばしてやればいいと言っておった。射程距離は短いがその分命中精度はいいと右近が自慢しておったがどうなるか。


「順番に撃て、撃ったら直ぐに次の砲撃の準備だ。撃てー!」


 石田軍の砲撃手はまず先頭の弐号機、タンクを狙った。弐号機に乗っているのは真・鬼神七兄弟の光太郎と弦だ。


「大砲が来たぞ、弦。避けろ」


「あいあいさー」


 キャタピラーが高速回転し進路を西から南へ変え、着弾点から離れた。大砲は続けて撃たれたが、弦は巧みな運転技術で上手いこと避けた。


「兄者、敵が正直に狙ってきてるので弾道が読みやすい。だいぶ敵に近づいた。こちらからも攻撃を」


 光太郎は石田軍まで200mのところから砲撃を開始した。弐号機の大砲が石田軍めがけて飛んで行った。

 弾は鉄の盾にあたり盾ごと吹っ飛ばした。石田軍は鉄砲隊を前進させ弐号機目掛けて発砲した。最初は弾が当たっても、さすがタンクだ、なんでもないぜ!だったのだが弾が当たるにつれキャタピラーが変形し駆動しなくなってしまった。塵も積もれば綻びができるのである。弐号機の足が止まった。


「兄者、動かなくなった。とにかく撃ちまくってくれ」


「了解」


 光太郎は大砲、マシンガンを乱射し石田軍の鉄砲隊を蹂躙した。石田軍は鉄の盾を再度前面に出し抵抗しつつ、騎馬隊が動きを止めた弐号機の側面から切りかかった。弐号機はアルミ合金、いわゆるジュラルミン製だ。刀程度で人力で斬った位では持ち堪えられるが、槍で何度も叩きつけられて数の暴力で圧倒されはじめた。


 そこに参号機が救出に駆けつけた。


参号回転翼(グレートカッター)


 参号機に乗るのは段、真・鬼神七兄弟の三男だ。段は参号機の胸に付けられた長さ2m程のV字型のジュラルミン製ブレードを投げた。参号機の胸には大きさ違いのV字型のブレードが五種類装着されている。ブレードはブーメランのように回転しながら騎馬隊をなぎ倒した。参号機は機動性に優れる近接戦闘型だ。さらにブーメランを二つ投げタンクの射線をクリアにした。徒士の兵が弐号機と参号機に向かって突っ込んできた。段は弐号機に向かって叫んだ。


「光太郎、今だ!」


 弦は砲弾の種類を変えた。徒士の兵に向かって砲弾をぶっ放した。


「行け、真拡散覇怒撃砲(ネオカクサンハドウホウ) !」


 弾は散弾だった。一発の砲弾は発射後小さな鉛弾となり周囲に拡散した。一発の砲弾で兵を一気に100人近く戦闘不能にした。散弾は全部で四発。兵がバタバタ倒れる中、弐号機は全弾砲弾を撃ち尽くした。その隙に光太郎と弦は背中の脱出口から抜け出し、参号機が乗ってきた電動台車(ドダイ) に乗り怒露駿技亜(ドロスギア)に向かって撤退した。


 石田軍は暴れ続ける参号機と無人となった弐号機に引き続き攻撃を続けた。ここで引くわけには行かないのである。三成の役目は敵の目を引きつける事であった。参号機は両手にV字型のジュラルミン製カッターを持ち近づく兵を切り刻んでいる。参号機の周りには味方兵が多く遠距離攻撃が使えない。近接戦闘型の参号機に対し、石田軍の作戦は間違っていたが初見では仕方がないであろう。この展開に持っていった武田軍の作戦勝ちである。


 石田軍の大砲は伝説龍王伍号機(ゴーリーファイブ) に狙いを付けた。大型の伍号機はいい的であった。伍号機は石田軍から300mのところまで来ていた。


「あのでかいのを撃てー!」


 伍号機は左手に盾を持っていた。電動台車(デダイ) から降りて両手で盾を持ち踏ん張った。砲弾は盾を直撃したが伍号機にはダメージがなかった。盾はへこんだが。



 その頃、島左近率いる別働隊は海中から怒露駿技亜(ドロスギア) 1号艦に取り付いた。そして侵入した。


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