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大阪城決戦開始

作戦名、ハゲタカ山に登れが開始された。まずは各軍から一万ずつの兵が鉄板でできた高さ3m程の防御壁を移動しながら進み始めた。防護壁の下には車輪が付いており簡単に移動できるようになっている。


大阪城の南側、信勝本陣の前には信勝軍二万、5個の軍団で攻めているが兵の数は一番少ない。一見手薄そうに見えるが、本陣は海側にあり攻めようとすれば武田海軍の射程距離内である。また、東南側には大和から進んできた信豊率いる関東軍と尾張、駿河軍。信勝本陣を間接的に守る役目も負っている。東側には真田率いる美濃、東北軍。北東側には信平率いる信濃、上野軍、北側には上杉率いる越後越中軍、ここに蘆名幸村もいる。西側はお市率いる武田海軍が時折威嚇砲撃をして城兵を脅かしている。


秀吉は天守から敵の動きを見ていた。側にいる本多正信に問いかけた。


「ほうやはり動いたか。まさか盗聴されてるとは思うまい。5方向から進軍してきているが敵の狙いは何だ?」


「山に登れというのであればこの城を登るための何か、と見せかけてただの様子見では?この城を攻めて短い時間で決着がつくわけでも無し、いきなり総攻撃はないでしょう」


秀吉は勝頼の作戦名 ハゲタカ山に登れを聞いて何のことはない、攻めかかれという意味と受け取った。例の名前を変えただけであろうと。どうも勝頼は茶目っ気があるようだ。なーーーにがエネルギー充填120%だ、ボケが。できるわけねえだろ、焦らせやがって。


「であろう。ならばこちらから先に挨拶をしてやるとしよう。毛利、清正に伝えよ。こちらも作戦『雨降って地固まる』でいくとな」




大阪城からハンググライダー100機が飛び立った。そして真田率いる美濃、東北軍の上空へ近づいた。

昌幸は慌てず兵に指示した。


雨嵐乱連(アメアラレ) 用意!撃ち落とせ!」


昌幸の掛け声と共に荷台からさっと用意されたマシンガン雨嵐乱連(アメアラレ) 4台が一斉に空に向かって弾丸を連射した。次々と撃ち落とされるハンググライダー、と思いきや落とされながらも何かを投げつけてきた。


「いかん、盾展開。レバーを引け!」


先頭を進んでいた防御壁を運んでいた兵たちは落下してくる敵の手榴弾らしき物から仲間を守るため、落下地点に素早く移動し、横に付いているレバーを引いた。

盾が急に2m程伸びそこで折れた、今まで盾だった部分が倒れてきて簡易防空壕のようになった。そこに敵の手榴弾が炸裂したが盾によりほぼ無力化した。


マシンガン雨嵐乱連アメアラレによって次々と撃ち落とされるハンググライダー。ただ何発かは手榴弾が真田陣内で炸裂し、兵が吹っ飛んだ。そこに加藤清正軍一万が正面から突っ込み暴れまわった。昌幸はそれに気づき鉄砲隊で迎撃したが自陣に入り込まれ銃が撃てなくなり、乱戦模様となった。

伊達小次郎がすぐさま助けに入り、優位になったその隙に真田軍が立て直した、と、その時には加藤清正は引いていた。


「伊達殿すまない。しかし見事な引き際、あれが加藤清正か」


「昌幸殿。敵ながら見事ですな」


「これは小手調べです。しかし、我らの戦法をそのまま真似したとはいえよくぞここまで」


昌幸は感心していた。真似るのも相当な努力と訓練がいるのだが、それよりも物量だ。あんなのに無限に出てこられてはかなわん。上から下を攻めるのと下から上を攻めるのは全く違うのである。さてさて、と信綱のところへ報告に行くといきなり、


「昌幸。敵は未知数、敵を大御所と思って知恵を出せ。そのくらい手強いと思え」


大将真田信綱はしてやられたと思いつつ、炎の将の力を見せてやろうと勝頼から届いたお土産の準備に入った。






秀吉は天守から戦いを見ていた。


「上手いこといかんもんだ。もっと削れると思ったが。まあ仕方ない、次いくとしよう。あの軍が前に出てきてるな」


秀吉は信豊軍に目をつけた。秀吉も望遠鏡を持っている。信豊軍の中に織田信忠の姿を見つけ、


「まーだ生きてたきゃーも、しぶとい奴だのう。あの偉そうな面踏み潰したくなるわ」


秀吉は天守の下の階に設置した大砲を信豊軍に向けた。この大砲は穴山梅雪が小山城に設置した物より大型で射程距離も伸びている。それに加えた天守の高さ補正で相当遠くまで飛ぶはずだが実は設置後の試射が出来ていない。せっかくできた城と城下に落ちたら大変という事で怖くて誰も撃てなかったのである。平地からの試射では600mは飛んでいたが。


武田軍の開発したアームストロング砲もどきの射程距離よりは短いが、設置場所の利点は大きい。下から上へ撃つのと上から下へ撃つのでは全く違うのである。


「さーて、どこまで飛ぶかのう。一発撃ってみろ」


秀吉の掛け声と共に大砲が発射された。


『ズドーン』という重たい音と振動と共に、発射角45°で砲弾が発射され信豊軍目掛けて飛んでいく。武田軍の兵は皆、音のした方を見て大砲が発射された事を知った。弾はどこだ?

空中を視線で探し回る武田兵達。と、その時信豊軍の先陣の鉄盾に弾が炸裂した。弾の勢いで鉄盾は倒され多くの兵が犠牲になった。兵は慌てて下がっていった。


大阪城には堀が多い。城の石垣のヘリにある堀、その次の大きな堀が内堀で城から100mのところにある。外堀はさらに離れ500mのところに掘られていてその外側に大名屋敷や城下町がある。前世の歴史で城を攻めた徳川軍が堀を埋めないと勝てなかったのは、堀の防御性と城までの距離だった。家康の大砲が大阪城の天守を破壊できたのは容易に城へ近づけたからだ。


戦に備え堀の外の屋敷はすでに壊されていた。火をつけられると厄介なので本多正信の指示で取り壊されていたのだ。城下の火が城へ飛ぶことはないがそれを城から見るのは嫌なものである。人に嫌われる作戦が得意な本多正信ならではの先読みであろう。


信豊軍の先陣はその壊されて平地になった元城下町にいた。城からの距離は1000mはあろうか、そこまで城の大砲は届いたのである。つまり、武田軍はこれより近づくと犠牲が出る事がはっきりした。これは双方の軍にとって重要な境目となる。


勝頼は愛話勝(アイハカツ) で報告を受け、大砲は1000m、ハンググライダーは2000mと敵の空撃可能範囲がわかったので良しとし、次の作戦を指示した。作戦は五日後、作戦名は『そんなとこ触ったんだから責任とってね』であった。



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