盗聴
真田信綱のところには榊原康政が補給係として物資を持ってきた。同じく怒露駿技愛 から運んできた愛話勝 と武器もろもろである。
「真田様。こちらを空軍の方々にお渡しください。大御所曰く空軍なら使いこなせるとの事でございました」
「榊原殿。あいわかった。で、それでだ。昌幸、これは一体何だ?」
「兄上、これはですな。ゴニョゴニョゴニョという訳で」
「なんと、誠か?」
「大御所のおふざけでしょう。炎の将にふさわしいとか何とか」
「またそれか。その呼び名はあまり好きではないのだが」
どうやらまた炎がらみの武器のようです。
「真田様。大御所は今回各部隊に愛話勝 を配置し連絡を取ると仰っておられました。またそれがしの軍勢もお加え下さいますようお願い申し上げます。それと昌幸様。昌幸様にはこれを。陸軍司令官の出番だそうです」
こ、これは!完成したのか!でもこれは陸軍関係なく………はないか。まあいいや、大御所だし。
「榊原殿、お役目大義であった。休むがよい。すぐに出番が来るゆえな」
昌幸は榊原康政を下がらせた。信綱と昌幸は合流してきた伊達小次郎と軍議を開き、今後の事を相談した。
曾根昌世は信平のところへ愛話勝 と武器を運んでいた。
「信平様。大御所よりの荷物、運んで参りました。今回の戦では愛話勝 を連絡手段として使うそうでございます。それとこれは空軍の方にとの事でした」
「これは見た事があるぞ。そうだ、確か真田の庄で」
「改良版でございます。百田殿が寝る間も惜しんで完成させたとか。それ以外にも武器を持ってきておりますので後で源三郎に説明しておきます。また、それがしでございますが、大御所よりこの部隊の軍監を申しつかりました。よろしくお願い申し上げます」
「なに、軍監ですか。わかり申した。曾根殿は昌幸殿と並ぶ軍師と聞いております。こちらこそよろしくお願い致します」
信平は曾根を下がらせた。そうか、助さん頑張ったんだな。歳なのに。曾根殿が軍監か。源三郎と衝突しなければよいが。
井伊直政は上杉景勝のところへ物資を運び込んだ。
「上杉様。大御所からの物資をお届けに参りました。今回の戦では愛話勝 を連絡手段として使うそうでございます。また、直江殿にという事で新兵器を持ってきております」
「井伊殿。大義である。何か作戦を言付かってないか?」
「はい。それにつきましてはゴニョゴニョゴニョ。後は成り行き次第との事でございました。またこの部隊の軍監を申しつかりました。よろしくお願い申し上げます」
さすがの勝頼殿も大阪城攻めには悩んでおるという事か。大筋は決めているのだろうが、敵は秀吉。成り行き次第か。
勝頼は補給係を軍監として各部隊に配置した。これには意味があった。戦は先読みを怠ってはならないのだ。
お市は海軍を使って大阪湾から砲撃を仕掛けた。
「とりあえず撃ってみて。様子見といいつつ全艦発射」
大阪城には砲撃は届かなかったが、城の外にいた毛利軍の一部に砲弾が炸裂した。海側にいた兵は移動し陸側に逃げたため砲撃の意味がなくなった。大阪城の堀に海からの川が繋がっているが、川を上るのは無謀に見えた。
お市は戦艦富士と楓マーク2を監視役に置いて信勝のところへ戻っていった。
三日後、勝頼から通信が入った。
「各部隊に告ぐ。作戦、ハゲタカ山に登れを実行する。各部隊に告ぐ。決行は明日早朝だ。心してかかれ」
武田各部隊は準備に入った。その通信を聞いているものがいた。大阪城天守には黒く塗られたアンテナが立っていた。城が黒の鉄板で覆われているため、外から見てもアンテナがあるようには見えない。
「右近よ。よくやった。見事な盗聴器だ」
そう、武田の愛話勝 と似た通信機もどきがそこにはあった。
「以前武田の電波なるものを受ける事ができました。それを安定化させるべく改良したのですが、どうやら完璧ですな。ハゲタカ山に登れとは一体?」
「それは大阪城へ仕掛けるという暗号だ。勝頼の言いそうな事だ。こちらから話しかけることはできるのか?」
「えっ、それは、いや。申し訳ありません。原理がわかりません」
受けることはできても発信はできないということか。まあいい、十分だ。秀吉は部下にここから聞こえてくることを一字一句逃さず記録し、速やかに報告するように命じた。
明日早朝に攻めてくる、どこからだ?
「外にいる毛利と清正に伝えよ。明朝仕掛けてくるとな」
勝頼はまだ海上にいて愛話勝 を使い作戦を指示した。さーてどうなるか見ものだぞ!秀吉め、やっと直接対決できる時がきた。ギャフンと言わせてやる。ん?なんでギャフンなんだっけ?まあいいや。黒田官兵衛と本多正信、そして風魔小太郎。どこでどう出てくるやら。