母の死
確かナントカマイシンだったような気が。作り方がわからん。
とりあえず、ペニシリンは青カビだからなんか発酵してるものとかが効くんじゃないかと、色々試してみた。
諏訪には味噌はある。母上はオオタニシが好きだったよな。山に入って山芋、川に入ってうなぎ。
とにかく色々煎じたり、発酵させたりしたが一向に良くならない。
川中島に出陣中の父上に手紙を書こうとしていたら、里美さんがお見舞いにに来た。
「四郎殿、ご無沙汰しております。」
「里美様、わざわざのお越し、誠にありがたく言葉になりません。今、父上に手紙を書こうとしておりました。」
「手紙は私めが。古府中の恵里様とも話し、湖衣姫様にお目にかかった後たしなめようと存じます。」
「恵里様とは、ああ5人目のお方ですね。」
父上は元気だ。そうか、五郎盛信の母親か。あと、お菊とお松の。今のところ歴史通りだ。
お菊は上杉景勝夫人だからいいけど、お松を幸せにするにはどうするか?武田と織田信忠が残ればいいのか。こりゃ大変だ。
と、まだ見ぬ妹の心配をしてる場合でないことに気づき、
「里美様、父上への手紙、お願い申し上げます。早く戦が終われば良いのですが。」
父上は冬になる前に戻ってきた。川中島で200日お見合いをしていたそうで武田の勝利だったそうな。
今川の雪斎和尚が仲裁に入ってとりあえず収まったという歴史通りに進んでるけど、双方勝ったと言ってるよね、こういう時。
母は父に会うのを拒んだ。病が移るのを恐れたのだろうけど、父上は無理矢理入ろうとしたので、母上は父上を待たせ化粧をしたそうだ。それでもやつれた顔はごまかせなかったようだ。
父上は何も言わずに古府中へ帰っていった。
1555年 母上は逝った。