母の病気
館に戻ると母上のお付きの女性がオロオロしていた。
「あ、四郎様。お戻りのところ申し訳ありませんがこちらへ。」
襖を開けると医者がいた。医者が言うには母上は労咳でもってあと1年だそうだ。
確か死んだのが1555年、今が1554年だからあってんじゃん。このまま死んじゃうのか。
何で母上の顔が昔の恋人なのか謎は永遠に解けないのか。あれ?母上の血を引いているのは俺だけだよな。
てことは、俺の子孫が実は生き延びてて、それが繋がって彼女に??。いや、無いな。いつかは解こうこの問題。
そもそもこれはタイムトラベルなのか異世界なのか。今のところ歴史は同じだから、タイムトラベルかも。ここで一句。
『死ぬまでに 謎をときたい 美濃流くん』
母に面会を頼むと遠くから話すならと許可を貰えた。
「母上、四郎です。」
「四郎殿、母はもう長くはないであろう。四郎殿には諏訪を再興していただけなければならぬ。
母の遺言と思って聞くがよい。諏訪家は歴史ある家じゃ。無くしてはならぬのじゃ。
母の代で終わらせては諏訪大明神様に死んでも顔向けができん。」
「承知しました。武田家を支える諏訪家の棟梁として必ずや諏訪の家を守って参ります。今はそれよりもご静養ください。
何か精のつく物をご用意致します。」
「 四郎殿。医者の薬を飲んでおる。そなたには何か不思議な感じがする。
我が子ながら天下人になるような。言葉にはできないのですが、諏訪の神を見るような。」
「この四郎が神なら母上の病気を治してみせますぞ。気を強くお持ちください。」
母の寝床を離れて部屋に1人になった。流石にこの歴史は変えられないよな。
労咳って結核だよね。医療は専門外だからなあ。