言葉にするなら一目惚れ
今まで人を好きになった事なんてなかった。いつも誰かが寄ってきて、その人が飽きるまで一緒にいた。だけど就活の時に僕の考えは180度変わった。その時の彼女が受けるからと一緒に受けた就職の面接でその人と出会った。他の2人のだっせえスーツ姿と違ってオフィスカジュアルを着こなしている女性。淡々と質問する声、その面接の最中どうしても助けに来てくださいと部下に言われ中座したのは彼女だけだった。僕は絶対にここに就職すると決めた。とんとん拍子に話は進み僕は彼女の部署に入れる事になった。家具のポップ作りが主な仕事だ。入ってみて気付いたが女性が多く僕は少し浮いているようだった。そんな時、教育係の桜先輩がいつも何かと話かけてくれるようになった。
「ほら、頑張ってるからチョコをあげよう。」
「いつも私の考えを察してくれてありがとう。」
「どうしたー顔が暗いぞ!飲みに行く?」
「女性の感覚で話されても分からない事多いよね、疲れてない大丈夫?」
いつも僕の変化に気付いて褒めてくれて慰めてくれる桜先輩は、会社で1番信頼できる人だった。だから僕は好きな人の事を相談すると決めた。桜先輩を食事に誘い僕のよく行くカフェで話をすることにした。
「単刀直入に言います。僕、板谷さんが好きです。だから板谷さんと仲がいい先輩に聞いてもらうしかないと、思ったんです。」
桜先輩はいつもとは違う笑顔で
「任せなさい。何でも教えてあげるわよ。」
と言ってくれた。僕はほっとしコーヒーを一口飲んだ。その後僕は板谷さんに日頃の感謝をこめて、小さなプレゼントをしたいけど何をあげればいいのか分からないと相談した。板谷さんはお酒が好きでプレゼントは、お酒か美味しいおつまみが良いかもよと教えてくれた。とりあえず今日はそこでお開きになった。カフェは桜先輩がごちそうしてくれて駅で別れた。僕は桜先輩の背中を見送りながらさっきの笑顔の意味を考えていた。