表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20行ショート  作者: 冬月やまと
99/440

VOL.99 命の輪

 武志は、ずっと後悔していた。

 なぜ、あの時、拾ってやらなかったのか。

 冬の寒い晩、弱々しく路上に蹲る、痩せこけた仔猫。

 その姿を見た時、迷わず連れて帰ればよかった。

 誰かが、助けてくれるだろう。

 そう思い、後ろ髪を引かれる思いを振り切り、仔猫から目を逸らしてしまった。

 翌朝、そのままの姿で冷たくなっている仔猫を見た時、武志の胸は締め付けられ、激しい後悔に苛まれた。

 その夜から、毎晩夢を見、うなされるようになった。

 枕許に、あの仔猫が座り、悲しそうな目でじっと武志を見ている。

 武志は、眠りながらも、呻き声をあげて、激しくもがいた。 

 その光景を、武志は上から俯瞰している。

 一週間も経った頃、武志の頬はげっそりとこけ、別人のようになっていた。

 精神的にも参っており、肉体も精神も崩壊寸前だった。

 もう駄目だ。明日は、心療内科に行ってみよう。

 そう思っての帰り道だった。

 この間と同じ場所で、やはり痩せこけた黒い仔猫が蹲っていた。

 武志は、迷わず仔猫を連れて帰り、付っきりで看病した。

 その甲斐あってか、仔猫はみるみる元気を取戻し、三日も経つと、武志にじゃれつくようになった。

 その日から、武志の悪夢は消えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ