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20行ショート  作者: 冬月やまと
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VOL.97 人の振り見て

 俺は、いつも不平と不満を胸に抱え生きていた。

 何をしても面白くなく、誰をみても文句ばかりが口を突いてでた。

 そんな毎日が、面白かろうはずがない。

 俺が犯罪者にならなかったのは、ひとえに気が弱いせいだ。

いや、お蔭というべきだろう。

 そんな俺を変えてくれた、あるひとつの出来事があった。

 いつも通り、文句を口の端に乗せながら、テレビを観ていたときのことだ。

 それは、普通のニュース番組で、暴風雨で新幹線が長時間止まったニュースのときに、乗客にインタビューしている場面だった。

 ある者は怒りに顔を朱に染め、ある者は疲れた顔で、それぞれ鉄道会社や係員を罵ったり、愚痴をこぼしたりしていた。 中には、新幹線が嫌いになったという奴までいた。

 そんなこと言ったって、天候は自然現象だから仕方がないじゃないか。

 その時の俺は思った。

 無理して列車を運行させて事故を起こしてしまえば、それこそ、人命に関わるじゃないかと、文句を言ったり、起こっている人に疑問を感じたりもした。

 そこで、はたと俺は気付いた。

 今までの俺も一緒だったのだと。

 そう思うと、なんだか、くだらないことで不平や不満を抱えるのが馬鹿らしく思えてきた。

 それからの俺は、幸せになった。

 気付けてよかったと、つくづく思う。


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