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VOL.91 幸せを掴む
あの頃はよかったなぁ。
達也は、大学生時代の頃を思い出していた。
学費と生活費は親に出してもらい、小遣いはバイトで稼ぐ生活。
いくつものバイトを掛け持ちし、一生懸命頑張れば、それなりに遊ぶだけの収入が入ってきた。
嫌なバイト先だったら辞めればいいだけで、選り好みさえしなければ、いくらでも金を稼ぐ手段はあった。
達也は、稼いだ金で、友人と遊び、飲み、歌い、青春を謳歌していた。
それが、今ではどうだ。
結婚し、子供も出来たものの、それが故に身動きが取れず、どんなに職場が辛かろうと嫌だろうと、おいそれと転職ができない。
どんなに頑張っても貰う給料は変わらないし、どんなに稼いでも、自分が自由に使えるお金はほとんどない。
これが、幸せだろうか?
達也は、こんな生活に、いい加減うんざりしていた。
離婚しようかと考えたこともある。
しかし、妻に非があるわけでもないし、子供はやはり可愛い。
今、離婚すると、きっと後悔する。
それに、子供のい寝顔を見ていると、毎日の辛さなんか吹っ飛んでしまう。
結局、達也は幸せなのだ。
それを自覚すれば、達也は本当の幸せを掴めるだろう。




