表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20行ショート  作者: 冬月やまと
83/440

VOL.83 ブラックホール

 徹は、浜辺で奇妙な石を拾った。大きめのビー玉くらいの大きさで、まん丸く、表面がつやつやした真っ黒な石だった。

 中心部は、鮮やかな漆黒が渦を巻いているように動いており、自然のもとは思われず、まるで偉大な芸術家が造ったような気がした。

 その石を、徹はお守りのように、いつもポケットに入れていた。

 ある夜、残業で帰宅が深夜になったとき、数人のチンピラに絡まれ、殴られそうになったとき、徹は無意識にポケットの石を掴み出し、チンピラに翳した。

 ゴウッっという音と共に、渦が激しく回転し、数人のチンピラは、石に吸い込まれていった。味をしめた徹は、嫌いな上司や隣人に石を翳して回った。

 石は、その度に、目標となった人間を吸い込んでゆく。

 徹は、覇者になった気がした。

「消えろ」と心の中で呟いて石を翳すと、人だけはなく、電車だろうが車だろうがビルだろうが、その石は、なんでも吸い込んでくれる。

 ある日、徹は最愛の妻と、ささいなことで喧嘩をし、頭に血がのぼった徹は、いつのもの癖で、妻に向けて石を翳した。

 そして、妻はいなくなった。

 我に返った徹は、激しい後悔に苛まれ、生きるのが嫌になった。

「消えろ」

 徹は、自分に石を翳して、大声で言った。

 今日も、その石は、どこかで誰かに拾われるのを待っているかもしれない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ