80/440
VOL.80 残酷な帰還
「もうすぐですね」
操縦席のスクリーンにが映し出される景色を見ながら、航海士が顔を綻ばせる。
「ああ、そろそろ肉眼でも見えてくるはずだ」
いつもは沈着な船長の声も弾んでいる。
「懐かしいな。二百年振りですかね」
「そうだな。その間いろいろあって、とうとう俺たち二人だけになってしまったな」
十五人で、交代で冷凍スリープしながら、目的の惑星を調査に出かけてから、二百と十二年が経つ。その間に、スリープ装置の故障や病気や、ホームシックによる自殺や船外作業による事故などで、今では船長と航海士の二人だけになっていた
そんな苦難を乗り越え、目的通り人類が移住できる星を見つけての岐路だった。
「あれ、おかしいな。土星はとっくに過ぎたはずなのに」
スクリーン現れた地球と思しき星の周りには、無数の岩のような塊が輪になって、星の周りを取り囲んでいる。
「いや、地球だよ。あれは、人工衛星だ」
アップした画像を見て、船長が叫ぶように言う。
「本当ですね。いつの間に、あんなに沢山打ち上げたんだろう」
「そんなことはどうでもいいが、これじゃ着陸できないな」
船長が顔をしかめた途端、いくつもの人工衛星からレーザーが発射された。
二人が旅している間に、宇宙人の襲来に何度も遭っていた地球は、それに対する防衛手段を講じていたのだった。




