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20行ショート  作者: 冬月やまと
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VOL.8 鏡

美代は、寝る前に、毎日、鏡に向かって毒づいていた。

上司の愚痴、同僚の悪口、お店の文句、通販で購入したものが気に入らないといった文句。

来る日も来る日も、日常の些細なことを取り上げては、愚痴と文句を延々と繰り返した。

ある日のこと、鏡に映る美代の顔が歪んで見えた。

なにかしら?

横から見ても、鏡に歪みはない。

歪みは、日を増すごとに酷くなってゆく。

そして、ある晩、ビシッという音と共に、鏡に亀裂が走った。

亀裂は、どんどん広がっていき、とうとう鏡は砕け散った。

同時に、美代の顔も破裂した。

郁美は、毎晩、鏡に映る自分向かって、今日はどんな良いことがあったかを話しかけていた。

どんな些細なことでも、喜びを見い出し、感謝の気持ちを述べ、明日への希望を語りかける。

笑顔も、忘れなかった。

辛いことがあっても、愚痴ではなく、自分のいたらなさのせいだと思い、反省の弁を口にした。

ともすれば、挫けそうになる心を、励まし、戒め、叱咤する。

そして、必ず、最後には感謝の言葉を口にした。

ある日から、鏡が徐々に輝き始めた。

郁美は、不思議な気持ちで、毎日輝きが増すのを見ていた。

ある日、目も眩まんばかりの輝きを発してのち、普通の鏡に戻った。

翌日、郁美は会社で昇進を告げられ、思いもかけぬ出会いをし、幸せな結婚をした。


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