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VOL70 大逆転!?
俺は、ぐるぐる回るルーレット盤を、食い入るように睨んでいた。
これを外してしまったら、一文なしになってしまう。
大きな夢を抱いてこのラスベガスへやってきたのに、わずか一晩で全財産を失くすことになろうとは、そんなことは許されないことだと思いながら。
友人達には、お前はギャンブルには熱くなるタチだからやめておけと、今度のベガス行きは固く止められた。
だが、日本で行き詰っていた俺は、人生の賭けに出ることにした。
ここで一発当てて大金を掴み、後は悠々自適の余生を送るのだ。
しかし、それも儚い夢と消えつつあった。
まだだ、まだ、ルーレットが止まるまでは終わりじゃない。
そして、運命の時がやってきた。
高速で回転していたルーレットが、徐々に速度を落とし始めた。
小気味のよい音が、回転の緩さと共に小さくなってゆく。
最初は飛ぶように、各数字の前に掘られた穴の上を駈けていた白い球が、次第に穴の中を出入りするようになった。
今では、次の穴に移るのが、青息吐息のようになっている。
もうすぐだ、もうすぐ、俺の運命が決まる。
俺の心臓は、早鐘を打つように、せわしなく動いていた。
そして、とうとうルーレットは止まった。
玉が鎮座する数字を、俺はぽかんとした顔で見つめていた。




