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VOL.67 約束
「ごめん、待ったかい?」
二人が交際を始めた二回目の記念日に、夏雄は遅刻してきた。
小夜子は、そんなことをとても大事にする性格だった。
夏雄は、少しいい加減なところがある。
小夜子は、夏雄のいい加減さに少しうんざりしていたが、一応約束は守るので、これまで付き合いを続けてきた。
「どうしたの? どこか具合でも悪いの?」
文句を言おうとした小夜子が、夏雄の顔が青白いのに気付いた。
これまでの怒気を含んだ声とは違って、心配そうな顔になる。
「なんでもない。さあ、行こう」
二人は、最初のデートの時と同じように、映画を観て食事をし、海の側の遊園地で観覧車に乗った。
観覧車に乗っているとき、小夜子のスマホが振るえた。
親友の由香里からの電話だ。
彼女は、今日のことを知っているので、滅多なことがない限り、電話などかけてくるはずがない。
小夜子が夏雄に断って電話に出る。
「今、どこよ」
小夜子の耳に、由香里の悲痛な声が飛び込んできた。
「夏雄さんが事故で亡くなったのよ」
小夜子は驚いて横を見た。
今まで隣にいたはずの、夏雄の姿は消えていた。




