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VOL.64 前へ
裕也は、公園のベンチに座り、澄み切った青空を見つめていた。
もう、何十分もそうしている。
青空とは程遠いほど、裕也の心は悶々としていた。
自分が勤めていた会社の、突然の倒産。
朝一でそれを知らされた時のショックは、今も抜けていない。
子供が生まれたばかりだというのに。
これから、どうやって家族を養っていけばよいのか。
倒産を訊いたときから、裕也はそればかりを考えていた。
妻に、なんと言おう。
裕也は、死にたい気持ちになった。
俺は、なんのために、青春を潰して学業に打ち込んできたんだ。
一生安泰だと思って選んだ、超大手の会社。
それが、あっけなく潰えてしまった。
人生なんてわからないものだ。
この世に、確実や安泰なんてあり得ない。
裕也は、三十路を過ぎてから、それを思い知った。
ええい、くよくよ悩んでいたって始まらない。
きっと、やり直せる。愛する妻と息子がいる限り。
前を向いて生きていこう。
愛する妻の顔を浮かべながら、裕也は勢いよくベンチから立ち上がった。




