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VOL.61 狼少年
ある村に、嘘つきで有名な少年がいた。
その村は、山の麓にあった。
大雨が降る度に、少年は、土砂崩れが起きて村を呑み込みそうだと騒いだ。
最初の数回は、村人も少年の言葉を信じて、大慌てで避難した。
しかし、何事も起こらなかった。
そのうち、村人は少年の言う事を信じなくなった。
それでも、少年は嘘をつき続けた。
元々、少年の両親は、この村の出身ではない。
都会の生活に嫌気がさして、過疎化が進む村に移ってきたのだ。
そんな両親を、村の人々は快く思わなかった。
いくら村の人達と打ち解けようとしても、誰からも冷たくあしらわれた。
そのうち、心労のためか、両親が相次いで亡くなった。
身寄りのない少年は、行き場もなく、村に残った。
さすがに、村の人達も少年を追い出すわけにはいかず、最低限の生活ができるだけの面倒は見てくれていた。
代わりに、少年は朝から晩まで、馬車馬のように働かされた。
ある日、大雨が続き、本当に土砂崩れが起こった。
少年は、その兆候を見た時、またもや騒いだ。
村の人達は、誰ひとり少年の言う言うことを信じず、土砂に呑み込まれた。
少年の遠大な復讐の計画は、まんまと成功した。




