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20行ショート  作者: 冬月やまと
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55/440

VOL.55 茶番

「ここは、死んでも通さぬ」

「意地を張るな、権之助」

「意地ではない。主君を守るのが家臣の務め」

「あんな主君でもか」

「どんな主君であろうが、主君は主君」

「あいかわらず、融通の利かぬ奴」

「なんと言おうと、ここは通さぬ。通りたければ、わしを倒してゆけ」

「どうしてもか? ならば、仕方がない。いざ、ゆかん」

 二人は、剣を交えた。

 実力は伯仲とみえ、何十合打ち合っても、なかなか勝負はつかない。

「何をしている。今のうちだぞ」

 夢ノ進の声と共に、二人の勝負を見守っていた侍共が、先へと駈けていった。

「あ、卑怯」

 叫び、後を追おうとする権之助の体を、夢ノ進の刃が掠めた。

「お主の相手は、この俺だ」

 二人が、再び刃を重ねる。

「みんないなくなったようだな」

 二人きりになったのを確かめて、権之助が言った。

「そうだな。お互い、暗愚な主君を持つと苦労するな。では、行こうか」

 二人は、肩を並べて、誰もいない方へと歩きだした。


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