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20行ショート  作者: 冬月やまと
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VOL.5 魂

 秋彦は、超ポジティブで、いけいけの営業マンだが、勘違いが激しいのが、唯一の欠点だ。

 今日は、珍しく落ち込んだ顔で、会社に帰ってきた。

「どうした?」課長が、問いかける。

「今、商談を進めてる外資系の会社が、思う通りにいかなくて。きっと、僕の英語力が足りないせいだと思うんですが」

「おまえにしちゃ、珍しいな。そんなことで落ち込むなんて」

「さすがに、何回も無駄足を踏めば、いくら僕でも落ち込みますよ」

「語学力なんて、大した問題じゃないよ。全力でぶつかればいいんだ。だからといって、本当に体当たりをしろと言ってるんじゃないぞ」

 秋彦の性格を熟知している課長は、念を押すことを忘れなかった。

「そんなことは、わかってますよ」秋彦が苦笑する。

「要は、ここだ」課長が、自分の胸を叩いてみせた。

「魂をぶつけろ。全力でぶつかれば、道は開けるさ」

「わかりました」

 秋彦が元気よく答えた途端、ばったりと倒れた。

 ぽかりと開けた口から、おたまじゃくしのような形をした、霧状の塊が飛び出した。

 その塊は、窓のところまでゆらゆらと漂うように進んでいたが、スっと窓をすり抜けると、ある方向を 目指して、凄い勢いで空中を飛び去っていった。

 魂が飛び去った方角を憮然とした顔で見つめながら、呆れた口調で、課長が呟いた。

「あいつ、本当に、魂をぶつけに行きやがった」


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