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20行ショート  作者: 冬月やまと
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VOL3.みんな平等

 谷中茂は、それなりの大学を出て、それなりの会社に勤めていた。

 入社五年も経つと、同期は出世競争に乗り遅れまいと、日々目を血走らせて頑張っている。

「おまえ、ちゃんと先のことを考えてるのか?」

「世の中は理不尽なものだぞ。どれだけ頑張ったて、用済になれば、ポイさ」

「そうそう、だからうならないように、高いポストに就かなくちゃいけないんだよ」

 同僚らと呑みに行くと、必ずそんなふうなことを言われた。

 だが、茂は、世の中が理不尽なんて、思ったことはない。

 結局、自分のやったことが返ってくるだけだと思っている。

 今日を楽しまなくてどうする。

 老後を考えていたって、人間なんてものは、いつ死ぬかわからないんだ。

 そんな考えの茂だから、出世争いからも、とうに脱落していた。

 ある日、突然、戦争が起きた。

 間違ってか、意図的にかはわからないが、どこかの国が、核爆弾を発射したのだ。

 逃げる暇もなく、茂の会社の近辺にも、核弾頭が飛来した。

「こんなことってないよ」

「ああ、こんなことなら、もっと人生を楽しんでおけばよかった」

 核の飛来を認めた瞬間、茂の心に、同僚の嘆きが飛び込んできた。

 結局、どんなに人生を犠牲にして頑張ったところで、死は突然に訪れる。

 死は、どんな人ににも平等だ。

 茂の意識が途絶える瞬間、それを思い、茂は、初めて理不尽という言葉を解した。



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