VOL.14 偉大なる発明
俊彦は、小さな頃から、化学が大好きだった。
最初はいろんな化学薬品を混ぜ合わせるのが好きだったが、高校生になった頃から、ノーベル賞を取りたいと思いだした。
目標は、ノーベル賞を発起した、ダイナマイトの発明者であるノーベルを超えることである。
俊彦は、人体を破壊せずに、他の物体だけを破壊する薬品の製造に没頭した。
これが完成すれば、掘削工事やトンネル工事など、どこかで用法を間違えても、人命を失わなくて済む。
戦争でも、相手の船や飛行機や戦車を破壊しても、乗組員の命は奪わなくてよくなる。
俊彦は、日々、実験に没頭した。
幾度も調合に失敗し、時には、小さな爆発騒ぎも起こした。
火傷はしょっちゅうだし、何度か、実験室を破壊したこともある。
そのため、高校は二度移った。
大学でも、失敗を繰り返し、何度も転入を繰り返した。
彼を知る者は、いつしか彼のことを、マッドサイエンティストと呼ぶようになった。
俊彦は、大人になっても、夢を諦めなかった。
とある製薬会社に入社し、会社の目を盗んでは、夜な夜な実験を繰り返した。
そしてある日、とうとう完成した。
俊彦は期待に胸を膨らませ、特別な物質の容器に入れていた、完成と思われる薬品を一滴、床に垂らした。
あっという間に、地球を含め、人間以外の物がすべて消滅してしまった。




